"消えた人妻と15年の嘘" 第9話
黒田郎が率いていた保険詐欺グループ。
偽装事故を利用した犯罪。
ブレーキに細された。
記録から消された吉田拓也の事故。
田の息子がくなった事故。
警察幹部への賄賂。
揉み消された証言。
1つずつ、隠されていた事実が法廷に提された。
ゆみは証言台にった、最初は震えていた。
傍聴席には、佐藤健がいた。
渡辺恵子がいた。
吉田総郎がいた。
田武志もいた。
ゆみは度だけ目を閉じた。
そして、自分の言葉で語り始めた。
「私は、あののことをい忘れていました。でも、忘れていたからといって、なかったことにはなりません。私は逃げていました。けれど、もう逃げません」
彼女の声は途で何度も震えた。
それでも最まで話した。
黒田郎は、殺、証拠隠滅、組織犯罪に関わる複数の罪に問われ、無期懲役を宣告された。
当事件を隠蔽した警察幹部たちも処罰された。
いに埋もれていた事件は、ようやくのへた。
裁判の、田武志と吉田総郎は、静かに向かいった。
2はそれぞれ、子どもと孫を失っていた。
い、みの矛先は別々の方向を向いていた。
田はゆみを憎み、吉田は真実を追い続けた。
だが、最に分かった。
本当の敵は、黒田郎だった。
田は震えるで、吉田にをげた。
「私は、憎む相を違えていたのかもしれません」
広告
吉田はしばらく黙っていた。
そして、ゆっくりと言った。
「私たちの子どもたちは、きっと国で見ています」
それ以の言葉は必なかった。
佐藤ゆみは、渡辺ゆみという本名を取り戻した。
過の傷が消えたわけではない。
失われた命が戻るわけでもない。
自分が関わってしまった罪を、完全に背負いきれるが来るのかも分からない。
それでも、彼女はもう1ではなかった。
健は彼女の隣にいた。
渡辺恵子も、妹を見捨てなかった。
そして被害者の族も、真実を見つめることで、ようやく憎しみの先にあるものを探し始めていた。
1997911。
埼玉県の型スーパーの駐で起きた妻失踪事件。
それは、単なる失踪ではなかった。
15埋もれていた巨な犯罪と、忘れられた2の子どものをらかにする入だった。
最も平凡に見えるの背に、として最も劇な過が隠されている。
佐藤ゆみという名の裏には、渡辺ゆみという女性の消されたがあった。
真実は、いをかけても、いつか必ず姿を現す。
そしてその真実に向きった、はようやく、自分のを取り戻すことができる。
― 完 ―
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
深淵に沈んだ家族
1998年、仙台に住む14歳の森本純平は、インフルエンザで家族旅行に行けず、玄関先で父、母、姉、妹を見送った。 黄色いホンダ・アコードは、いつものようにクラクションを2度鳴らして角を曲がった。 それが、家族を見た最後だった。 事故なのか、失踪なのか、事件なのか。答えが出ないまま20年が過ぎたある日、純平のもとに岩手県警から電話が入る。 「ご家族の車を発見した可能性があります」 見つかったのは、岩手の森の奥に開いた巨大な陥没穴。そこには、何十台もの車が墓標のように積み重ねられていた。 その中に、家族が乗っていた黄色い車があった。 さらに後部窓には、鋭いもので刻まれた一言。 「助けて」 純平の家族は、なぜこの森にたどり着いたのか。車を売った中古車店の男は、20年前に何を知っていたのか。 そして、穴の底に眠っていたのは、ひとつの家族の悲劇だけではなかった――。ミステリー|行方不明1.4萬字5 46 -
完結第11話
半月傷の弟
42歳のタクシー運転手・中村蒼太は、会社を失い、家族とも離れ、3ヶ月もの間、車中泊を続けていた。 彼には、18歳以前の記憶がない。滋賀県の国道沿いで倒れているところを発見され、身元不明のまま「中村蒼太」という仮の名前で生きてきた男だった。 そんなある朝、梅田のホテルから乗せた1人の男性が、バックミラー越しに蒼太の顔を見て表情を変える。 「23年前に、弟を失いました」 男が口にした名前は、森田優。18歳で家を出たまま戻らなかった、行方不明の弟だった。 失踪時期、滋賀での目撃情報、そして左肩に残る半月型の傷。 偶然とは思えない一致が、蒼太の失われた過去を静かに揺らし始める。 自分は本当は誰なのか。 23年前、あの日の国道で何が起きたのか。 車内で眠るしかなかった男の人生は、1人の乗客との出会いをきっかけに、思いもよらない真実へと動き出す。ミステリー|行方不明1.6萬字5 0 -
完結第7話
足柄サービスエリア失踪事件
1991 年春、東名高速足柄 SA で起きた未解決だった悲劇。 大阪へ新婚旅行に向かう途中、「トイレへ行く」と言った妻が跡形もなく消えた。 夫は毎月現場を訪ね、テレビの人探し番組にも出演し、私立探偵まで雇い 11 年待ち続けた。 時が流れ老朽化した SA の改修工事で、ロッカーの隙間から古い財布が出土。 進化した科学捜査が財布から犯人の指紋を検出し、長年隠されていた殺人の事実が白日の下に晒される。 一方的な執着は愛ではない、拒絶を受け入れられない歪んだ欲望が一人の女性の人生を奪った実話。真相|遺體発見|行方不明1.1萬字5 7376 -
完結第11話
雪に閉ざされた 6 人の高校山岳部
「5 人が帰って来ないんだ…」 一人テントで待ち続けた少年の叫びが吹雪に飲まれる。 計画書を偽り、顧問の許可なしで冬山へ踏み込んだ 6 人の高校生。 予期せぬホワイトアウト、装備不足、分断された仲間たち。 凍てつく岩木山で繰り広げられた、冷たく残酷な 6 人の冬山物語。 生き残った二人が一生抱え続ける後悔と、4 人の少年たちの最後の足跡。 60 年経った今も遺族が山を見上げて涙する、実録山岳遭難ノンフィクション。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.7萬字5 1379 -
完結第12話
世田谷一家殺害事件:隠された真実
昭和から平成を跨ぎ、25 年も国民の心に重くのしかかった世田谷一家惨殺事件。 長年流れていた外国人犯・国際組織の説は、すべて犯人が仕掛けた壮大な罠だった。 今回、長年閉ざされていた目撃証言、パソコンに残る夫婦の秘密相談記録、最新 DNA 鑑定の結果が一斉に明らかに。 地域で穏やかな人物として知られた隣人が、なぜ一家四人を惨殺するに至ったのか。 先祖から背負わされた重い十字架、古き因縁、一家が踏み込んでしまった禁忌の領域 —— 邸宅の壁に刻まれた 25 年分の悲しみと真実、一語一句逃さずお伝えします。裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.8萬字5 454