"お年玉泥棒の末路" 第2話
男に養ってもらうなんて、まっぴらごめんだわ」
本いわく、いわゆるエリートのキャリアウーマンなのだそうです。
文さんも修司さんも穏やかで優しいなのに、美佐子さんだけは顔ちも性格もまったく似ていませんでした。
度、文さんが困ったように言ったことがあります。
「誰に似たのか分からないけど、私の母がかなりきつい性格だったわね」
覚遺伝というものなのかもしれません。
とにかく美佐子さんは、いつもばっちりメイクに、気いの入った装とハイヒール。元々派な顔ちは、濃いメイクでさらにい印象になっていました。
「そりゃ姉さんから見たら、誰だってだよ」
修司さんはそう言って、私をフォローしてくれました。
態度や言葉がきつくても、同居しているわけではありません。だから最初のうちは、たまに会うだけならできるとっていました。
けれど、美佐子さんは像以に頻繁に実へやって来たのです。
美佐子さんは、体週に1度は実に顔をしました。
仕事帰りにふらりとやって来て、当然のように夕をべていきます。しかも、メニューや付けに文句を言いながら、いただきますもごちそうさまも言ったことがありません。
最初の頃、私は慣れない同居活ので、義姉に失礼があってはいけないとっていました。
広告
美佐子さんが来るは、しめに事を作り、箸や取り皿も用しました。
けれど、美佐子さんはそれを当たりのように受け取りました。
「今、また煮物? ね」
「付け、ちょっとくない?」
「私、仕事で疲れてるんだから、もうし気の利いたものしてよ」
そんなことを平気で言います。
文さんは、何度もたしなめました。
「美佐子、作ってもらっているんだから、そういう言い方はやめなさい」
けれど美佐子さんは、肩をすくめるだけでした。
「本当のこと言ってるだけじゃない」
私が妊娠期のあるも、美佐子さんは夕をべに来ました。
私はお腹が目ち始め、ったり座ったりするのもし変になっていました。卓につくと、美佐子さんは私のお腹をじろじろ見て、元にニヤニヤとした笑いを浮かべました。
「うちの会社の女子社員も妊娠したんだけど、ストレスで流産したのよ。直美さんも気をつけないとねえ」
いきなりそんなことを言われて、がぎゅっと縮むようでした。
に持っていた箸が止まりました。
文さんがすぐに顔を変えました。
「縁起でもないこと言わないの」
いつもの穏やかな文さんとは違う、厳しい声でした。
それでも美佐子さんは、悪びれた様子もなく肩をすくめました。そして私のお腹を指さし、わざとらしくため息をつきました。
広告
「子どもができると、体型崩れて戻らないらしいわよ。まあ、直美さんなら気にするほどのスタイルでもないか」
悪しかじませんでした。
文さんは呆れたように言いました。
「美佐子、あんたって子は……。直美さん、この子の言うことは気にしちゃだめよ」
文さんがそう言ってくれても、気にしないのは難しかったです。
修司さんもあとで私に謝ってくれました。
「姉さんは昔からああなんだ。本当にごめん」
でも、謝られても傷ついた言葉が消えるわけではありません。
私は、できるだけ美佐子さんと距を取ろうとしました。
けれど彼女は、私がどれだけ避けようとしても、実に来れば同じ卓につき、同じ空で嫌を言ってくるのです。
綾音がまれたもそうでした。
私は無事に産を終え、退院してに戻りました。文さんは涙ぐみながらさな綾音を抱き、修司さんも器用なつきで娘の頬を撫でていました。
のが、幸せな空気に包まれていました。
そんな、美佐子さんは産から1週以経ってから、お祝いを持って現れました。
こんなことは言いたくありませんが、そのお祝いは格サイトで購入したような国製のベビーでした。
物の値段が問題なのではありません。
気持ちがこもっていれば、どんなものでも嬉しいはずです。
けれど、美佐子さんはまれたばかりの綾音を覗き込み、最初にこう言いました。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
三年前に署名させた離婚届
「息子は金髪美女と再婚するのよ」――玄関先で勝ち誇る義母が突きつけてきたのは、一方的な離婚届だった。大手商社勤務の夫に裏切られ、三ヶ月の海外出張中にも不貞の影に苦しめられていた妻のナナ。だが、見下され続けた妻は取り乱すどころか、冷ややかに微笑んだ。義母も夫も知らなかったのだ。三年前に署名させた一枚の用紙と、水面下で集められた決定的な証拠の存在を。鳴り止まない何十件もの着信を前に、彼女は静かに告げる。「離婚届なら、とっくに提出済みですよ」嫁姑|夫婦2.0万字5 143 -
完結第15話
元夫の再婚式に招かれた私には、秘密がある
離婚から五か月後、元夫が若い再婚相手を連れ、結婚式の招待状を届けに来た。だが由美が抱く生後二か月の男児を見た瞬間、元夫の笑顔は凍りつく。 由美は離婚時、すでに妊娠していた。さらに彼女の手元には、元夫の裏切りと消えた夫婦の財産を示す証拠も残されていた。 捨てられた妻が過去を暴くだけでなく、息子とともに自分の人生と安心して帰れる家を取り戻す再生の物語。夫婦|親子関係|不倫2.6万字5 349 -
完結第10話
義母に突き落とされたので、離婚します
十九年間、義母の虐待と夫の無関心に耐えてきたさつき。妊娠中、義母に階段から突き落とされ重傷を負うが、夫は愛人と過ごし、彼女の訴えを切り捨てる。 病室でさつきが残したのは、離婚届と「あなたが守らなかったものを、私は守ります」の一文。元刑事の父と証拠を集め、義母を実刑へ、夫を失職と離婚へ追い込む。因果応報|怒り|嫁姑|修羅場1.4万字5 1139 -
完結第12話
空港に置き去りにされた妻は、もう帰らない
欧州出張から帰国したゆりを、夫と義母は成田空港へ置き去りにした。「四時間歩いて来い」と笑いながら、彼女を貧しいラーメン屋の娘だと見下して。 彼女は、夫の不倫や会社資金四千八百万円の横領を示す証拠を、すでに揃えていた。 空港から一本の電話をかけた三時間後、取引停止が相次ぎ、夫の会社は大混乱に陥る。嫁姑|夫婦|修羅場1.8万字5 845 -
完結第13話
母の遺品と千万円の組紐
「これをどこで手に入れたんですか?」――家賃三ヶ月を滞納し、退去通告を突きつけられた三十九歳のシングルファーザー・大輔。六歳の娘を抱えて困窮する彼は、七十歳で逝った母の遺品である反物と組紐を売ろうとするが、店員に数百円のゴミ扱いされる。だが路地裏の老舗呉服店へ持ち込んだ瞬間、女主人は青ざめ指を震わせた。生前「古臭い」と見下していた母の手仕事。仏壇の奥から見つかった桐箱と、三十年分の手帳に記された数千万円に及ぶ謎の記録。母は何者だったのか? 箱の底に残された「困った時の支えにしなさい」というメモの真意とは――。親子関係|金銭問題1.9万字5 146 -
完結第20話
愛人と帰国した夫、30分の猶予
「この後彼女が来るから早く出て行けよ」 南の島から愛人と帰国した夫と義母は、日焼けした顔で私に吐き捨てた。十六年間、生活費を一銭も入れず寄生してきた挙句、亡き両親が遺した百坪の豪邸を乗っ取り、私を追い出す算段だ。届いた内容証明郵便を「慰謝料の小切手」と勘違いし、ハイタッチで完全勝利を確信する二人。 だが、愚かな親子はまだ知らない。十六歳の息子が密かに仕掛けたボイスレコーダーと、十五年前のベビーモニターが捉えた戦慄の記録を。そして、迎えに来た黒塗りの高級車の正体を。 「あと三十分後に消えます、ご安心を」 私が冷たく微笑んだその時、玄関のインターホンが鳴り響いた――。嫁姑|夫婦3.0万字5 308 -
完結第20話
妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘
事故で下半身不随になった妻を前に、夫・大介は「僕が君の足になる」と誓う。ところが五歳の娘・春だけは冷たく「帰る」と言い、父に病室の毛布の下を見るよう促した。 そこに隠れていたのは、事故当時に妻と一緒にいた浮気相手。家族を置いて密会していた妻は、事故の賠償や介護まで夫に押しつけようとする。 幼い娘の一言で裏切りを知った父が、離婚と親権確保を決断し、娘と二人で新しい生活を始める物語。夫婦|真実|真相|親子関係2.0万字5 1052 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 163 -
完結第20話
月30万円の親孝行は、誰の財布から?
夫から突然告げられた、義母への「毎月三十万円」の仕送り。妻・美奈子は反対せず、静かに「いいよ」と答えた。 三日後、銀行で残高四万円を知らされた夫は激怒する。だが美奈子は、二十二年間で家計へ補填した一千二百万円超の記録を並べ、「その三十万円、誰の収入から出すつもりだったの?」と問い返す。嫁姑|夫婦|介護|金銭問題2.8万字5 754 -
完結第15話
白米だけの夕飯を出されたので、家を出ました
年度末の仕事を終えて帰宅した麻子を待っていたのは、冷めた白米だけの夕食。夫と義母は特上寿司を食べながら、「反省したらおかずを出す」と笑った。 「外で牛丼でも食べてきたら?」という夫に、麻子は静かに「分かりました」と答える。しかし彼女は半年前から新居や弁護士の手配を進め、大切な荷物も運び終えていた。嫁姑|夫婦|第二の人生|修羅場2.0万字5 642