みかん小説
本棚

"お年玉泥棒の末路" 第9話

私がそう言った瞬、美佐子さんの顔がぴくりと引きつりました。

私はそれを見逃しませんでした。

「賞期限は切れていませんでしたけど、あれ、いつ買ったんですか?」

美佐子さんは目を泳がせました。

「さ、さあ、いつだったかしら。でもだから気温いし、だし、ハムだけど刺みたいなものってわけじゃないし、級品なんだから当たるわけないでしょう」

慌てて言い返してきましたが、全然説にも言い訳にもなっていませんでした。

さんは、もうそれ以追及しませんでした。

「今となっては原因なんて何でもいいわ。とにかく美佐子、あんたは今しばらく実入り禁止よ」

「え? なんでよ?」

美佐子さんが声をげました。

修司さんが、うんざりしたように言いました。

「なんでって、姉さん、姪っ子のお玉を奪うようなおばさん、おかしいだろう。普通はおばさんが姪っ子にお玉をあげるもんだろ」

「何よ、せこいわね」

私はその言葉を聞いた瞬、胸の奥で何かが切れる音がしました。

私は、これまでずっと黙っていました。

美佐子さんに見されても、嫌を言われても、綾音にないことを言われても、うまく言い返せませんでした。

でもその、ゴミに埋もれた部の真んで、私は初めて真正面から美佐子さんを見ました。

広告

「せこいのはどっちですか」

自分でも驚くほど、はっきりした声がました。

美佐子さんが目を見きました。

「は?」

私は続けました。

蔵庫に入っていたプリンとゼリーも持っていきましたよね。缶詰や乾麺やビールも」

「そんなの、いつものことでしょう」

悪びれもせずにそう言う美佐子さんに、私はさらに言いました。

が留守のに勝に侵入して、にあるものを黙って持って帰るのは棒ですよ」

「直美さん、あんた、そんな言い方って……」

今までずっと黙っていた私にそう言われたことが、よほどだったのでしょう。

美佐子さんは、らかに揺していました。

私は止まりませんでした。

「いつもいつも『専業主婦は』って見して、週に1度は夕べに来て、いただきますもごちそうさまも言わないで、蔵庫ののものや届き物を勝に持ち帰って」

「ちょ、ちょっと待ってよ」

「自分は自したエリートキャリアウーマンだとか言ってますけど、こんなに散らかって、キノコがえそうな部で暮らしていて、よくそんなことが言えますね」

言い終えた瞬、部の空気が凍りつきました。

さんも修司さんも黙っていました。

でもその目は、美佐子さんをたく見ていました。

綾音がさな声で言いました。

「ママ、言うじゃん」

そして、にこっと笑いました。

広告

その笑顔を見たら、胸のにたまっていたものが気にほどけたような気がしました。

私はちゃんとることができる。

ちゃんと言い返すことができる。

それが分かって、し泣きそうになりました。

美佐子さんは真っ赤な顔でうつむいていました。

さんは最に、厳しい声で言いました。

「うちに来る暇があるなら、掃除しなさい」

そう言い残し、私たちは美佐子さんのマンションをにしました。

帰りの、しばらく誰も話しませんでした。

けれど、それは苦しい沈黙ではありませんでした。

ようやく言うべきことを言えたの、静かな余韻のようなでした。

の夕方。

さんが予約してくれていたイタリアンレストランで、私たち族は揃ってテーブルに着きました。

もちろん、文さん、修司さん、綾音、私の4です。

その元でも名なおで、りがよく、内には炉の炎が揺れていました。はまだたい空気でしたが、その所だけが来たように温かくじられました。

さんがワイングラスを掲げました。

「直美さん、いつも族のことを支えてくれてありがとう。いけど、お誕おめでとう」

修司さんもグラスを持ち、綾音はジュースの入ったグラスを両で持ちました。

「ママ、これ、私とパパから」

綾音が差ししたのは、さな柄の箱でした。

リボンをほどいてけると、娘のきのカードと、シルバーのブレスレットが入っていました。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: