"深淵に沈んだ家族" 第6話
「なら、彼は神経質になっている」
「ええ。その神経質さを利用します」
その夜、私は仙台へ戻った。
ハンドルを握りながら、のには鈴達也の顔が浮かんでいた。
父にを売り、笑顔で旅の話を聞いていた男。
そしてその報を、族を殺すために使ったかもしれない男。
翌、私は彼に会いにくことになった。
その夜、私は眠れなかった。
キッチンのテーブルに座り、めたコーヒーをみながら、鈴達也について覚えていることをすべてノートにきした。
鈴オートは町のメインストリートの角にあった。ストリングライトとあせたプラスチックの旗のに、古が並んでいた。
鈴は誰の名もっていた。
野球チームのスポンサーでもあり、元の祭りにも顔をしていた。父がホンダを買ったも、彼は満面の笑みで迎えてくれた。
「森本さん、ちょうどいいが入ったんですよ」
黄のホンダを、まるで優秀な馬でも紹介するようにボンネットを撫でていた。
「族旅にぴったりだ。毎、龍泉洞までキャンプにってるんでしたよね?」
そのは何もわなかった。
鈴は町の習慣をっている男だったからだ。
しかし今になって分かる。
彼は世話をしていたのではない。
報を集めていた。
族構成。
発予定。
目。
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通る。
里れた所で襲うには、分すぎる報だった。
翌朝、私は再び盛岡へ向かった。
管区警察局のチームが来ていた。田所捜査官という50代の男がリーダーだった。髪交じりの髪、静かな声、の最悪の部分を見てきた者だけが持つ落ち着きがあった。
田所はノートパソコンをき、陥没穴を空から撮った写真を映した。
「予備推定では、あそこには60台以の両があります。各両が3から5の族をするとすれば、潜な被害者は200に達する能性があります」
200。
その数字は、物理な衝撃のように体を打った。
田所は続けた。
「鈴に直接接触するなら、あなたが適任かもしれません」
私は彼を見た。
「私が?」
黒田警部が説した。
「あなたは20ぶりにのがかりを得た遺族です。しむ族として、当の販売について尋ねる。鈴がどこまでっているか、話ので漏らす能性があります」
私はしばらく黙った。
「何もらないふりをするんですね」
「はい」
「できます」
私は言った。
「彼に何を言うか、20考えてきましたから」
さな送信がの内側に取り付けられた。私の会話は、くにめた監両へ送られる。何かあれば黒田警部と田所が突入する。
鈴オートは、記憶のとほとんど変わっていなかった。
同じ板。
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同じあせた旗。
同じように並ぶ古。
事務所のに、鈴達也がっていた。
20より髪が増え、背はし丸くなっていた。それでも笑顔は同じだった。に好かれることで商売をしてきた男の笑顔だった。
私がづくと、鈴はすぐに気づいた。
瞬、目がきくいた。肩がわずかに固まった。
しかし次の瞬には、いつもの笑顔に戻っていた。
「おや、森本純平君じゃないか。きくなったな」
「お久しぶりです、鈴さん」
私は声を抑えた。
「1998に族へ売ってくれた黄のホンダについて、聞きたいことがあって来ました」
鈴の顔に、何かがよぎった。
恐怖か。
計算か。
「ホンダか。ああ、覚えているよ。君のお父さんはいいだった。あれは本当にひどい来事だったね」
「警察がを見つけました」
鈴の笑顔がわずかに固まった。
「見つけた?」
「はい。龍泉洞方面かられた岩の陥没穴です。20そこにあったそうです」
鈴はさく息を吐いた。
「そうか……それは、区切りがつくというか」
「販売の、父が旅のことを話していたか覚えていますか」
鈴は考え込むふりをした。
「キャンプ旅にくとは言っていたな。岩の、龍泉洞だったかな。確か国4号線を通るとも言っていた気がする」
私は血の気が引くのをじた。
20の販売会話にしては、あまりにも詳しすぎた。
「当の類は残っていますか」
鈴は背を向けかけたまま止まった。
数秒、完全にかなかった。
振り返った、笑顔は消えていた。
「なあ、純平君」
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