"無能嫁のタワマン逆転" 第2話
「このでまともなのは俺だけだ。このになって、無職の引きこもりを2も養わなきゃいけないのか」
そう言われた、私は言葉を失いました。
息子はIT企業に勤めていた頃、残業代を含めてかなりのを得ていました。しばらく療養できるくらいの貯もありました。
それに、私のことまで「無職の引きこもり」と同じ扱いをしたことに、私はく傷つきました。
私はを守ってきたのではなかったのでしょうか。
夫がして働けるように、掃除をし、事を作り、子どもを育て、夫の両親の介護にも関わり、見送りまでしてきました。
それらは夫にとって、何の価値もないものだったのでしょうか。
その夜、徹が私のところへ来ました。
部の扉をしだけけ、申し訳なさそうに言いました。
「ごめん、母さん。俺のせいで」
私は慌てて首を振りました。
「そんなこと、気にしないで。あなたはしのんびりしていなさい」
そう言いながら、胸が痛くてたまりませんでした。
その、私は決めました。
夫から「無職の引きこもり」扱いされたことに腹がったのもあります。けれど、それ以に、自分のでしでも息子を守りたいとったのです。
私はパートにることにしました。
夫に文句を言われないよう、事は完璧にこなしたで、のくのコンビニで週5働くことにしました。
広告
最初は覚えることがくて変でした。レジ操作、品し、公共料の支払い、宅配便の受付。73歳の今からえばよく頑張ったものだといますが、当の私はまだ60代半で、元々で働いていたこともあり、と接する仕事は苦になりませんでした。
夫は馬鹿にしたように言いました。
「たかが10万円程度稼いだからって、何なんだ」
私はエプロンを畳みながら、夫の顔を見ました。
「族の誰かがっていたら、お互いにできることをするものでしょう。あなたは自分の稼いだおは自分のものだとっているみたいだから、私は自分の稼いだおで息子のためにできることをしたいだけよ」
夫はむっとした顔をして、自分の部へってしまいました。
でも、実際には、私がパートにている昼、徹はしずつき始めていました。
掃除をかけてくれたり、洗濯物を取り込んで畳んでくれたり、夕の支度をしてくれたりしたのです。
「ちゃんとレシピ通りに作れば、それなりのものは作れるよ。母さんのにはほどいけど」
徹は照れくさそうに言いました。
けれど、息子の料理の腕はなかなかのものでした。
夫はそれが徹の作った料理だとは気づきませんでした。徹は夫と顔をわせないよう、自分の部で夕をべていたからです。
「お父さんには黙ってて。
広告
俺の作った料理なんてべたくないだろうし」
そう言われて、私はし迷いました。
けれど、夫に話せばきっと「料理なんかしている余裕があるならく仕事を探せ」と言うでしょう。だから私は、徹がのことを伝っていることを夫には言いませんでした。
パート先のコンビニでスイーツを買って帰り、徹と2でお茶をむこともありました。緒に夕を作りながら、野菜の切り方を教えることもありました。
「この活も、悪くないわね」
私がそう言うと、徹はさく笑いました。
そうして料理を作ったり、ののことをしたりするうちに、徹はしずつ元気を取り戻していきました。
「なんか、料理って達成があるよね」
ある、徹が笑顔でそう言いました。
私はそんなことを考えたこともありませんでした。けれど、確かに、作るメニューを決め、材料を揃え、順を考え、形にする作業は、結果がすぐ目に見えます。
会社でどれだけ頑張っても認められなかった徹にとって、それはさな救いだったのかもしれません。
そして数、そのさな達成は、徹を再びの世界へ向かわせることになりました。
しずつ元気を取り戻していった徹は、ある、台所で玉ねぎを刻みながらぽつりと言いました。
「やっぱり、また何か作りたいな」
包丁の音が瞬止まりました。
私は横で噌汁の具を準備していたを止め、息子の顔を見ました。
「何かって、料理?」
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
「もう戻るな」と言った息子へ
嫁・沙耶の涙を信じた息子に「性格の悪い母親」と罵られ、家を追い出された68歳の良子。さらに町中へ“嫁いびり”の噂まで広められてしまう。 だが、親友が録音した証拠から、すべては家と財産を奪うための罠だったと判明。しかも良子には、亡き夫が遺した5億円の土地があった。真実を知った息子夫婦が青ざめた時、母の人生は大逆転する――。親子関係|金銭問題1.7萬字5 8 -
完結第19話
4時20分で止まった遺品
八年間、仕事を辞めて父を介護した浩司。だが遺産の大半は、何もしなかった兄夫婦へ。浩司に残されたのは、ボロ倉庫と古びた腕時計だけだった。 家まで追い出され、嘲笑される中、浩司は倉庫の壁に隠された鉄扉を発見する。時計が示す暗号で金庫を開けた瞬間、父が二十年間守り抜いた百億円超の秘密と、最後の愛が明かされる――。親子関係|金銭問題2.9萬字5 1 -
完結第13話
不在着信93件の朝
息子夫婦の豪邸ローンを、5年間毎月24万円も肩代わりしてきたみつ子と正人。だが返ってきたのは感謝ではなく、「黙って金だけ払え」という侮辱だった。 ついに二人は支援を完全停止。翌朝、スマホには93件もの着信が――。親をATM扱いした息子夫婦に、想像もしなかった代償が襲いかかる。夫婦|親子関係2.0萬字5 27 -
完結第18話
四十九日の注文票
夫の四十九日を終えた夜、59歳の円香は、息子夫婦から突然「明日の朝までに店の鍵を渡してほしい」と告げられる。 夫と32年間守ってきた惣菜店《おかず処まどか》。しかし土地と建物は、知らないうちに息子の名義へ移され、すでに再開発のため売却されようとしていた。 悲しみも癒えないまま、住む場所も店も奪われかける円香。さらに夫が管理していた店の預金も、借金返済に使われたと聞かされる。 そんな夜、夫の机の奥から見つかったのは、古い注文票だった。 《弁当120食。毎月第2土曜日。代金は受け取らないこと》 そこに書かれていたのは、円香の知らない女性の名前。 夫はなぜ、妻に黙って無料の弁当を届けていたのか。 なぜ、その女性を「店を失った時に訪ねろ」と書き残したのか。 追い出されたはずの店の裏で、夫が最後まで隠していた過去と、息子夫婦の本当の目的が少しずつ明らかになっていく――。人生逆転|親子関係2.8萬字5 103 -
完結第13話
消された母の名前
父の三回忌を終えた夜、53歳の里美は、認知症の兆しがある母・清子から、突然知らない名前で呼ばれる。 「直子、今度こそ逃げないで」 直子とは誰なのか。なぜ母は、娘である自分を妹の名で呼んだのか。 不審に思った里美が戸籍や父の遺した書類を調べ始めると、自分の出生届に残された不自然な訂正、20年以上続いていた謎の送金、そして施設で暮らす一人の女性の存在が浮かび上がる。 母が53年間守り続けたものは、愛だったのか、嘘だったのか。 隠された12通の手紙と、海辺の古い写真が、里美の知らなかった「本当の家族」を少しずつ明らかにしていく――。人生逆転|第二の人生|親子関係2.0萬字5 159 -
完結第29話
車に私の席はなかった
正月十日の夕方。 68歳の小林はる子は、家族で焼肉へ行くため玄関に立っていた。 しかし息子・直哉は冷たく言った。 「母さん、車に乗れないから来なくていい」 四人を見送った夜、一本の電話が入る。 「はる子さん、寝たきりだって聞いていたけど……」 親戚には“認知症で入院中”と説明され、役所には要介護認定まで申請されていた。 さらに書類には―― 「認定が下り次第、田舎のマンションを売却」 翌朝には施設の迎え。 出発前に通帳と実印を探すという予定まで残されていた。 しかも、家の頭金として渡した1200万円は住宅購入に一円も使われず、嫁・絵理の父が経営する会社へ流れていた。 なぜ家族は、はる子を“認知症”に仕立てようとしたのか。 車にも、食卓にも席を与えられなかった母が、自分の人生を取り戻すため静かに反撃を始める――。親子関係4.3萬字5 752 -
完結第8話
孫の一言で、三億円の家を売りました
72歳の和子は、7歳の孫が配達員に「お金を払ってるんだから、ありがとうって言わなくてもいい」と言うのを聞き、言葉を失った。さらに48歳の息子・健一まで「間違ってない」と笑う。健一一家が12年間家賃0円で暮らしている一戸建ては、和子が1億4800万円で購入した和子名義の家。今では査定額が約3億円になっていた。ところが健一は、その家を当然のように「自分の家」と呼び、「どうせ将来俺が相続するんだから、名義を変えてもいいだろ」と言い始める。息子の言葉を聞いた夜、和子は1人で不動産会社に電話をかけた。12年間「家族だから」と与え続けてきた母親が、初めて大きな決断を下そうとしていた。因果応報|親不孝|親子関係|金銭問題1.2萬字5 573 -
完結第14話
一杯の鍋が変えた人生
柏優太は、職場でのパワハラが原因で心を壊し、半年間ほとんど誰とも話さず部屋に閉じこもっていた。 そんなある日、隣に引っ越してきた母子3人の姿を見かける。 「何も買えなくてごめんね」と泣く母親と、空腹を我慢する子供たち。 過去に大切な友人を救えなかった後悔を抱えていた優太は、思わず声をかける。 「よかったら……うちで鍋しませんか」 一杯の鍋をきっかけに、孤独だった男と傷ついた母子の人生が少しずつ変わり始める。 しかし、温かな時間の裏には、母親が隠していた過去と、子供たちを取り戻そうとする元夫の存在があった。 誰かを救おうとした優太が、実は自分自身も救われていた――。 小さな優しさから始まった、再生と家族の物語。人生逆転|第二の人生|親子関係2.2萬字5 453 -
完結第14話
返されなかった合鍵
25年間、誰にも知られず借り続けられていた203号室。 夫の葬儀の日、見知らぬ女性から渡された一本の合鍵が、妻・千鶴の人生を大きく揺さぶる。 亡き夫はなぜ、家族に隠れて古い部屋を借りていたのか。 そこに残されていたのは、31本のカセットテープと、一人の少女の思い出だった。 最初は裏切りだと思った秘密。 しかし調べるほどに明らかになる、夫が25年前に背負った約束と、誰にも話せなかった苦悩。 守ることと、信じること。 家族を思う気持ちと、誰かを救おうとする気持ちは、時にすれ違ってしまう。 一つの合鍵から始まった真実の先で、千鶴が見つけたものとは――。人生逆転|相続|修羅場2.0萬字5 540 -
完結第12話
寿司屋で暴かれた嫁
68歳の田村節子は、息子の再婚相手である嫁・美咲を、ずっと“よくできた人”だと思っていた。 亡き夫を失い、1人暮らしになった節子の家へ通い、手料理を届け、病院の送り迎えまで申し出てくれる優しい嫁。近所の人たちからも羨ましがられ、節子自身も本当の娘のように感じ始めていた。 しかし、美咲は少しずつ、家の権利書や預金、保険の受取人について尋ねるようになる。 そんなある日、節子は美咲に誘われ、馴染みの寿司屋へ向かった。ところが店主は、美咲の顔を見た瞬間、血相を変えて叫ぶ。 「節子さん、その人から早く逃げてください」 店主の父を騙し、財産を奪った女と同じ顔――。 信じたい気持ちと、拭えない違和感。やがて節子は、嫁の荷物の中から決定的なものを見つけてしまう。 優しい嫁の正体は何者なのか。 そして節子は、息子と家を守るため、静かに反撃を始める。因果応報|相続|親子関係1.7萬字5 91