"無能嫁のタワマン逆転" 第10話
私は驚いて顔をげました。
「あのまま放っておくと、本当にまずいことになる気がする」
話を聞くと、部は荒れ放題で、ゴミ敷寸だったそうです。夫は75歳で、々からし血圧もかった。やコンビニ弁当ばかりの事では、確かに徹がになるのも分かりました。
「まだおがあるうちに施設に入った方がいいとうんだ」
徹はそう言って、施設を探し始めました。
配してくれる息子がいて、資もある。
夫は恵まれているのかもしれません。
あののことはもう正直どうでもいいとっていました。けれど、それは私がになったからかもしれません。
徹は違いました。
どれほど父に傷つけられても、息子であることを完全には捨てられないのでしょう。
私はそんな徹を見て、し胸が痛みました。
それでも、徹が自分を犠牲にしすぎないようにだけは見守ろうといました。
そんなある、徹と美奈さんとの夕を終え、お茶をんでいたのことです。
リビングの窓のには、夜ののかりが静かに広がっていました。美奈さんが持ってきてくれた菓子をべ終え、私は温かいお茶を淹れ直していました。
徹がし改まった様子でをきました。
「母さん、そろそろ俺たちも、この先のことを考えようかとって」
私は内、いつ息子からその話がるのかとっていました。
広告
美奈さんは、今では週に1度どころか、仕事の打ちわせを兼ねて何度もこの部を訪れるようになっていました。徹と並んでパソコンをき、には真剣に見をぶつけい、には楽しそうに料理を作っていました。
2の距がしずつづいていることは、母親である私にはよく分かっていました。
「それって、2が結婚するってことよね?」
私が尋ねると、徹はし照れたように頷きました。
「うん」
美奈さんも頬を赤くして、静かにをげました。
「まだ正式にご挨拶という形にはできていなかったんですけど……徹さんと緒に暮らしていきたいとっています」
私は胸がいっぱいになりました。
「そう。よかったわ。本当に」
けれど、徹の話は私の像をし超えていました。
「それでね、仕事も兼ねているから、ここだとちょっと狭いんだ。俺も美奈もそれなりに収入があるし、い切って賃貸じゃなくて、し広めの部を購入しようかなって」
「購入?」
私は驚いて聞き返しました。
「3で暮らせる部を探したいんだ」
徹はまっすぐ私を見ました。
「母さんも緒に」
その言葉に、私は何も言えなくなりました。
息子夫婦の活なら、私が慮すべきなのではないか。そうっていたのです。
「でも、私は……」
美奈さんがすぐに首を振りました。
「玲子さんには、ぜひ緒にいてほしいです。
広告
私も徹さんも仕事が忙しくなるがありますし、何より玲子さんと過ごすが好きなんです」
私はわず目を潤ませました。
夫と暮らしていた頃、私は「無能な嫁」と言われました。
を守ってきたことも、族を支えてきたことも、価値がないもののように扱われました。
それなのに今、息子とその事なが、私と緒に暮らしたいと言ってくれている。
こんなにありがたいことがあるでしょうか。
「あら、それなら私もおをすわよ」
私は涙を拭いながら言いました。
「い切って、現括払いでもいけるんじゃない?」
徹が驚きました。
「母さん、そんなに負担させるわけにいかないよ」
「だって現なんて、お墓までは持っていけないもの。今、適に幸せに暮らせた方がいいでしょう」
夫との婚で得た財産分与のおは、私の老資としてきちんと確保していました。けれど、息子が結婚し、マンションを購入するというのなら、使ってもらいたいとったのです。
私は自分のを取り戻しました。
そのを、できる族と共に過ごせるのなら、それ以の使いはありません。
徹と美奈さんは顔を見わせました。
そして、2できく頷きました。
「分かった。3でゆったり暮らせる部を探そう」
「はい。玲子さんがして暮らせる所にしましょう」
私はしだけ笑いました。
「あ、でもできれば層階は避けてね。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
閉じ込められた臨月の妻
妊娠38週、予定日まであと12日の加奈。夫が海外出張へ出た2日後、突然訪ねてきた義両親は「様子を見に来た」と言いながら、家事や学歴を責め続けた。そして義母に促され、家庭用サウナの中を確認しようと入った瞬間、背後で扉が閉まる。外側には南京錠。スマートフォンまで奪われた。「私たちから息子を奪った罰よ」。そう言い残し、義両親は5泊7日の温泉旅行へ出発した。水もなく、いつ陣痛が始まってもおかしくない密室。しかし加奈には、義両親が知らないことがあった。このサウナは、かつて一級建築士だった加奈自身が安全設計に関わった機種だった――。嫁姑|親子関係|修羅場2.0萬字5 0 -
完結第12話
「もう戻るな」と言った息子へ
嫁・沙耶の涙を信じた息子に「性格の悪い母親」と罵られ、家を追い出された68歳の良子。さらに町中へ“嫁いびり”の噂まで広められてしまう。 だが、親友が録音した証拠から、すべては家と財産を奪うための罠だったと判明。しかも良子には、亡き夫が遺した5億円の土地があった。真実を知った息子夫婦が青ざめた時、母の人生は大逆転する――。親子関係|金銭問題1.7萬字5 8 -
完結第19話
4時20分で止まった遺品
八年間、仕事を辞めて父を介護した浩司。だが遺産の大半は、何もしなかった兄夫婦へ。浩司に残されたのは、ボロ倉庫と古びた腕時計だけだった。 家まで追い出され、嘲笑される中、浩司は倉庫の壁に隠された鉄扉を発見する。時計が示す暗号で金庫を開けた瞬間、父が二十年間守り抜いた百億円超の秘密と、最後の愛が明かされる――。親子関係|金銭問題2.9萬字5 1 -
完結第13話
不在着信93件の朝
息子夫婦の豪邸ローンを、5年間毎月24万円も肩代わりしてきたみつ子と正人。だが返ってきたのは感謝ではなく、「黙って金だけ払え」という侮辱だった。 ついに二人は支援を完全停止。翌朝、スマホには93件もの着信が――。親をATM扱いした息子夫婦に、想像もしなかった代償が襲いかかる。夫婦|親子関係2.0萬字5 27 -
完結第18話
四十九日の注文票
夫の四十九日を終えた夜、59歳の円香は、息子夫婦から突然「明日の朝までに店の鍵を渡してほしい」と告げられる。 夫と32年間守ってきた惣菜店《おかず処まどか》。しかし土地と建物は、知らないうちに息子の名義へ移され、すでに再開発のため売却されようとしていた。 悲しみも癒えないまま、住む場所も店も奪われかける円香。さらに夫が管理していた店の預金も、借金返済に使われたと聞かされる。 そんな夜、夫の机の奥から見つかったのは、古い注文票だった。 《弁当120食。毎月第2土曜日。代金は受け取らないこと》 そこに書かれていたのは、円香の知らない女性の名前。 夫はなぜ、妻に黙って無料の弁当を届けていたのか。 なぜ、その女性を「店を失った時に訪ねろ」と書き残したのか。 追い出されたはずの店の裏で、夫が最後まで隠していた過去と、息子夫婦の本当の目的が少しずつ明らかになっていく――。人生逆転|親子関係2.8萬字5 103 -
完結第13話
消された母の名前
父の三回忌を終えた夜、53歳の里美は、認知症の兆しがある母・清子から、突然知らない名前で呼ばれる。 「直子、今度こそ逃げないで」 直子とは誰なのか。なぜ母は、娘である自分を妹の名で呼んだのか。 不審に思った里美が戸籍や父の遺した書類を調べ始めると、自分の出生届に残された不自然な訂正、20年以上続いていた謎の送金、そして施設で暮らす一人の女性の存在が浮かび上がる。 母が53年間守り続けたものは、愛だったのか、嘘だったのか。 隠された12通の手紙と、海辺の古い写真が、里美の知らなかった「本当の家族」を少しずつ明らかにしていく――。人生逆転|第二の人生|親子関係2.0萬字5 159 -
完結第29話
車に私の席はなかった
正月十日の夕方。 68歳の小林はる子は、家族で焼肉へ行くため玄関に立っていた。 しかし息子・直哉は冷たく言った。 「母さん、車に乗れないから来なくていい」 四人を見送った夜、一本の電話が入る。 「はる子さん、寝たきりだって聞いていたけど……」 親戚には“認知症で入院中”と説明され、役所には要介護認定まで申請されていた。 さらに書類には―― 「認定が下り次第、田舎のマンションを売却」 翌朝には施設の迎え。 出発前に通帳と実印を探すという予定まで残されていた。 しかも、家の頭金として渡した1200万円は住宅購入に一円も使われず、嫁・絵理の父が経営する会社へ流れていた。 なぜ家族は、はる子を“認知症”に仕立てようとしたのか。 車にも、食卓にも席を与えられなかった母が、自分の人生を取り戻すため静かに反撃を始める――。親子関係4.3萬字5 752 -
完結第8話
孫の一言で、三億円の家を売りました
72歳の和子は、7歳の孫が配達員に「お金を払ってるんだから、ありがとうって言わなくてもいい」と言うのを聞き、言葉を失った。さらに48歳の息子・健一まで「間違ってない」と笑う。健一一家が12年間家賃0円で暮らしている一戸建ては、和子が1億4800万円で購入した和子名義の家。今では査定額が約3億円になっていた。ところが健一は、その家を当然のように「自分の家」と呼び、「どうせ将来俺が相続するんだから、名義を変えてもいいだろ」と言い始める。息子の言葉を聞いた夜、和子は1人で不動産会社に電話をかけた。12年間「家族だから」と与え続けてきた母親が、初めて大きな決断を下そうとしていた。因果応報|親不孝|親子関係|金銭問題1.2萬字5 573 -
完結第14話
一杯の鍋が変えた人生
柏優太は、職場でのパワハラが原因で心を壊し、半年間ほとんど誰とも話さず部屋に閉じこもっていた。 そんなある日、隣に引っ越してきた母子3人の姿を見かける。 「何も買えなくてごめんね」と泣く母親と、空腹を我慢する子供たち。 過去に大切な友人を救えなかった後悔を抱えていた優太は、思わず声をかける。 「よかったら……うちで鍋しませんか」 一杯の鍋をきっかけに、孤独だった男と傷ついた母子の人生が少しずつ変わり始める。 しかし、温かな時間の裏には、母親が隠していた過去と、子供たちを取り戻そうとする元夫の存在があった。 誰かを救おうとした優太が、実は自分自身も救われていた――。 小さな優しさから始まった、再生と家族の物語。人生逆転|第二の人生|親子関係2.2萬字5 453 -
完結第14話
返されなかった合鍵
25年間、誰にも知られず借り続けられていた203号室。 夫の葬儀の日、見知らぬ女性から渡された一本の合鍵が、妻・千鶴の人生を大きく揺さぶる。 亡き夫はなぜ、家族に隠れて古い部屋を借りていたのか。 そこに残されていたのは、31本のカセットテープと、一人の少女の思い出だった。 最初は裏切りだと思った秘密。 しかし調べるほどに明らかになる、夫が25年前に背負った約束と、誰にも話せなかった苦悩。 守ることと、信じること。 家族を思う気持ちと、誰かを救おうとする気持ちは、時にすれ違ってしまう。 一つの合鍵から始まった真実の先で、千鶴が見つけたものとは――。人生逆転|相続|修羅場2.0萬字5 540