みかん小説
本棚

"排水路の腕時計" 第5話

そして916。

予のものが見つかった。

午1040分。

建物裏の排付で、オペレーターのはさ2mのを掘削していた。古い排管の撤作業だった。

のバケットに、いものが引っかかった。

は作業を止め、からりた。のにを伸ばし、慎にそれを取りす。

属バンドの腕計だった。

腐がんでいたが、形は残っていた。

「なんだ、これ」

は眉をひそめた。

そのくには、黒い革靴があった。革は裂け、も変していた。さらに掘ると、にまみれた革の財布らしきものもてきた。

はすぐに現監督の佐川を呼んだ。

佐川はのからてきた3つの品を見つめ、首をかしげた。

「こんなものが、ここに埋まっている理由はないな」

腕計、革靴、財布。

どれも偶然流れ込んだようには見えなかった。まるで誰かが図に隠したように、排の奥くに押し込まれていた。

佐川は直ちに掘削を止め、警察に通報した。

午1、刑事2が現に到着した。

半径5mを慎に調べたが、のものは見つからなかった。遺体らしきものも、骨もなかった。

3つの品は証拠品として封入され、科学捜査研究所へ送られた。

その夜、元ニュースがく報じた。

「青サービスエリア再発現で、元の私物発見」

恵子は自宅のテレビので、そのニュースを見ていた。

広告

青サービスエリア。

個の持ち物。

15の記憶が気に蘇った。

指先が震え、リモコンを握るに力が入った。

「まさか……」

翌、917。

3つの品は科学捜査研究所に届いた。

にまみれた腕計、腐した革靴、変形した財布。いずれも期、にあったと推定された。

最初に調べられたのは腕計だった。

1990代半の国産モデル。裏蓋に、かすかに文字が刻まれていた。

顕微鏡で確認すると、そこにはこう読める文字があった。

「佐藤健」

次に革靴が調べられた。靴底の奥に、片がこびりついていた。特殊な処理で復元すると、そこには「19981017 青SA」と印字されたレシートの部が見つかった。

最に財布がかれた。

革は化し、内部はまみれだった。慎に取りされたのは、運転免許証とクレジットカード、そして4族が写るさな写真だった。

名は、佐藤健。

1956まれ。

全ての報が、15の失踪事件と致した。

警察は恵子に連絡した。

15ぶりに聞く、事件に関する話だった。

受話器を握る恵子のは震えていた。

「ご主のものとわれる品が見つかりました」

その言葉を聞いた瞬、恵子は子に座り込んだ。

待ち続けた15が、突然音をててきした。

発見された腕計、革靴、財布は、佐藤健のものと断定された。

しかし、肝の疑問は残ったままだった。

広告

健自はどこにいるのか。

きているのか、くなっているのか。

なぜ、につけていたはずのものが排の奥に埋められていたのか。

自分で捨てたのか。

誰かが隠したのか。

真実はまだ、のに沈んでいた。

警察はDNA鑑定をった。遺体はなく、残されたのは品物だけだった。革靴の内側、計のバンド、財布の革から、わずかにDNAが検された。

だが、濃度はく、の汚染もあった。完全な型は取れなかった。

個特定には族のDNAが必だった。

警察は恵子に説し、検体提供を求めた。恵子は迷わなかった。娘も息子も同した。

924、族のサンプルが採取された。

数、結果がた。

遺留品から検されたDNAは族のDNAとし、佐藤健本のものである能性が極めていと判断された。

この報が流れた、930、1の男性が警察署を訪れた。

15、青サービスエリアで働いていた元職員だった。

男の名は田、53歳。

1998当、売でアルバイトをしていたという。

田は取調で、ためらうようにを組んでいた。15黙っていたことへの罪悪があるのか、線は落ち着かなかった。

「ずっと気になっていたんです。でも、当は自分の見違いかもしれないとって……」

刑事が静かに促すと、田はゆっくり話し始めた。

「19981017の午2頃です。建物裏の空きに、黒いがまっていました。

男が2、トランクからきなバッグを取りして、排の方へ運んでいました」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: