"7年目の地下貯蔵庫" 第4話
警察も最初は、あちこちを調べました。けれど、これといったがかりは見つかりませんでした。佳子はじっとしていられず、何度も警察署の敷居をまたぎました。
娘の友たちにも11話をかけました。
「葵を見ませんでしたか」
「何か聞いていませんか」
しかし、葵の方をるはどこにもいませんでした。
佳子は距バスのターミナルまでを運びました。京きの切符を買った記録はないかと尋ねました。けれど、そんな記録も残っていませんでした。
葵の痕跡は、あの曜の夜、満作ラーメンでぷっつり途絶えていました。
しかし、当のには防犯カメラがありませんでした。さな古いにカメラがあることは、まだ珍しかった代です。最に葵を見たのは、のだけでした。
そしてのたちの証言は致していました。
普段から京へきたがっていた。
借があるようだった。
閉、自分のでていった。
それらの言葉が積みなると、事件の方向は1つに固まりました。
警察は、葵の失踪を単なるとして処理しました。
犯罪の痕跡が見当たらない。
本が京きをにしていた。
その理由からでした。
類1枚にそうき込まれると、葵を探す取りは次第に鈍くなっていきました。
その頃、警察署にはという若い刑事がいました。
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37歳でした。まだっ端だった彼は、葵の方報告をしだけ目にしたことがありました。
どこかに引っかかる部分がありました。
通帳も荷物もそのままにしてていくなど、どうにも辻褄がわなかったからです。
しかし、そのはの事件がのように積みなっていました。として分類された事案1つに、く関わる余裕はありませんでした。
は、そのすっきりしない気持ちを胸の奥にしまい込み、別の事件へと押し流されていきました。
になって、その来事がいつまでも彼について回ることになるとは、当はいもしませんでした。
それでもは、葵の写真をしばらく見つめました。
髪をろで結び、ぎこちなく笑う顔。
逃げたの顔にしては、その瞳が澄みすぎているように見えました。
彼は報告の片隅にさくき残しました。
「再確認すること」
しかし、そのいメモは最までかれることのないまま、類棚の奥くへしまい込まれてしまいました。
がけても、葵は戻ってきませんでした。
母親の佳子は、娘の部をそのままにしておきました。布団も、机ののさな鏡も、装ケースも、葵がていったあののままでした。
正になれば、佳子はご飯を1杯くよそいました。
で葵と同じ頃の女性が通りすぎると、しばらくぼんやりと見つめました。
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「もしかして」
そうってしまうのです。
もちろん、振り返った女性は葵ではありませんでした。そのたびに佳子は、胸の奥をさくえぐられるような痛みをわいました。
弟の賢太は、姉が送ってくれた学費で学を続けました。授業を受けていても、アルバイトをしていても、ふとした瞬に姉のことをいしました。
葵がなぜ、あんなふうに姿を消したのか。
そのしこりは、いつも胸の片隅に残っていました。
世は、伊藤葵を「族を捨てて都会へ逃げた娘」として記憶していきました。
けれど、佳子だけは最まで首を横に振りました。
「葵はそんな子じゃない」
何度も何度も、そう言いました。
夜になると、佳子は源の切れた携帯話に向かって話をかけました。つながるはずがないと分かっていても、指が勝に番号を押してしまうのです。
「葵、どこにいるの」
無質な音声が流れます。
それでも佳子は、受話に向かって言葉を続けました。
「お母さんに1回だけ連絡しておくれ。ねえ、1回だけでいいから」
その声はのへ消えていくだけでした。
誰も答えてはくれませんでした。
そうして1、また1と過ぎていきました。
満作ラーメンの釜は相変わらず煮えくり返っていました。濃なスープの匂いも変わらずを満たしていました。客たちは今もいラーメンをすすり、1の疲れを癒して帰っていきます。
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