"7年目の地下貯蔵庫" 第9話
はその事実にい当たると、背筋にたいものがりました。
いくら葵にいを寄せていただとしても、の奥くに隠された空までることは能です。
おまけに、その入を釜で隠し、の板とコンクリートで頑丈に塞ぐ作業は、通りすがりの客にできることではありません。
それは、の構造を隅々までっている。
そして、を自由に入りできる。
そういう物にしかできないことでした。
は古い記録を再び探し、その貯蔵庫について調べました。満作ラーメンの貯蔵庫は、もともと漬物や噌を保管するための所でした。には漬物の樽を置き、には噌を寝かせる空でした。
そこのをり、鍵を握り、入りしていたのは、の族だけでした。
言い換えれば、葵をその貯蔵庫に隠すことができたのは、満作ラーメンの族の誰かだったのです。
の背筋に、たいものが流れました。
7、葵の方について「だ」とを揃えて証言した、まさにあのたちでした。
主の佐々満作。
女将の清子。
そして息子の拓也。
彼らのの誰かが、真実をっていたのです。
そう考えると、7の証言が全く違って見え始めました。
「あの子、京へくってずっと言ってたから」
主の満作の言葉。
広告
「閉作業をしてから、そのまま来なくなって」
女将の清子の言葉。
「荷物をまとめる暇もなく突然ったらしい」
拓也の言葉。
その言葉たちは、もしかすると葵を「逃げた娘」に仕てげるためのものだったのではないか。
葵が自分のでていったかのように装い、々の目を別の所へ向けようとしたのではないか。
は、まず主の満作から調べようとしました。
しかし満作は、すでにこの世のではありませんでした。2009に持病でくなっていたからです。
んだ者からは何も聞くことができません。
は、それが残でなりませんでした。もしかすると満作こそが、その貯蔵庫の秘密を1番よくる物だったはずだからです。
主がきていれば、事件はもっとく解決したかもしれません。
しかし満作は、真実を胸に秘めたまま目を閉じました。
彼が墓まで持っていった秘密が何であったかは、もう残されたたちのを通してしからかにすることはできませんでした。
残されたのは2。
女将の清子。
そして息子の拓也。
はまず、当の周辺の事をさらにく探り始めました。昔の常連客や所のたちを、11訪ねました。
すると、7には表になかった話が、1つ、また1つと漏れ始めました。
ある所のは、こう言いました。
広告
「満作さんの息子の拓也が、葵ちゃんに気があるようだった」
の仕事を理由に葵のそばをよくうろついていて、2が言い争う声を聞いたこともあると言いました。
また別のは、葵が消えるし、拓也の顔がどうも良くなかったと覚えていました。
特に、1の老の証言がのにく突き刺さりました。
その老は、満作ラーメンの向かいでく商売をしていたでした。
老は、蒼井が姿を消す数、拓也が葵を引き止め、何か懇願するような姿を見たと言いました。
葵は首を横に振って拓也を突きし、拓也の顔が歪んだというのです。
「あのの青の目が、どんなに怖かったか。今でも々しく覚えています」
老の言葉が、のの奥でく響きました。
のので、散らばっていたパズルのピースがしずつ組みわさり始めました。
葵にいを寄せていた物。
振られたかもしれない物。
貯蔵庫を自由に入りできた物。
そして7、葵が逃げたと裏をわせたの族。
すべての矢印が1つの方向を指していました。
もちろん、まだ確かな物証はありませんでした。状況と証言だけでを犯だと断定することはできません。
それでもの刑事としての直は、真実がくないことを告げていました。
問題は、7固く閉ざされていた誰かのをかせることでした。
は、もう度取り壊された満作ラーメンの跡にを運びました。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
離婚後に生まれた息子
10年間の不妊治療の末、「子供もできなかった」と姑に責められ、夫・健一から離婚を告げられた38歳の由美。ところが離婚から2週間後、最後に受けた治療が実っていたことが判明する。由美は悩んだ末、元夫には知らせず、実家で1人の男の子を出産した。それから1か月。離婚から10か月後のある日、玄関に現れたのは健一と、彼が再婚する28歳の美香だった。「来月、結婚式をするんだ」と招待状を差し出そうとした健一。しかし、由美の腕に抱かれた赤ん坊を見た瞬間、その笑顔が消える。「その子……まさか俺の?」。10年間「子供を産めない妻」と責められ続けた由美の人生が、そこから大きく動き始める。夫婦|真相|修羅場2.0万字5 3924 -
完結第10話
清掃員が書いた設計図
倒産寸前の小さな町工場に、1人の若い清掃員がいた。 佐藤ゆい、21歳。学歴は中卒。従業員たちからは名前で呼ばれることもなく、ただ雑用係として扱われていた。 そんなある日、大企業から依頼された精密部品がすべて不良品となり、工場は2000万円の違約金を突きつけられる。誰もが技術不足だと責められ、工場長の竹夫も廃業を覚悟しかけていた。 その時、ずっと黙っていたゆいが静かに口を開く。 「設計が間違っています」 中卒の清掃員が、大企業の研究所の図面に誤りがあると言い出した――。 誰も信じなかったその言葉が、やがて町工場の運命を大きく変えていく。履歴書には書けなかった彼女の本当の力とは。人生逆転|真相1.4万字5 281 -
完結第12話
ただいまの裏にあった10年
1985年8月15日、新潟県長岡市で、23歳の佐藤健一はいつものように工場を出たまま姿を消した。 自転車も、持ち物も、行き先も分からない。両親の誠とかず子は必死に息子を捜し続けたが、手掛かりは何ひとつ見つからなかった。 それから2年後、痩せ細った1人の男が佐藤家の玄関に立つ。 「ただいま」 失われた息子が帰ってきた――そう信じた両親は、彼を再び家族として迎え入れる。記憶を失っていても、生きて戻ってくれたならそれでいい。そう思いながら、佐藤家は少しずつ穏やかな日々を取り戻していった。 しかし10年後、差出人不明の小包が届く。 中に入っていたのは、小さな遺骨と、父が本物の健一に贈ったはずの腕時計。そして一枚の紙には、こう書かれていた。 「本物の息子さんをお返しします」 8年間、家族として暮らしてきた男は誰だったのか。 そして本物の健一は、あの日どこで何を奪われたのか。 失踪、偽りの帰還、そして名前を越えて残った家族の形を描く物語。ミステリー|行方不明1.7万字5 208 -
完結第8話
サービスエリアで消えた三人
大型サービスエリアで、36歳の母親と9歳の息子、6歳の娘が突然姿を消した。残された夫・修一はテレビに出演し続け、「妻と子供たちを見かけた人は連絡してください」と14年間訴え続けた。世間は彼を、家族の帰りを信じて待つ父親として記憶していた。ところが事件から14年後、100キロ近く離れた古い貸倉庫の床下から黒い旅行鞄が発見される。中に入っていたのは、失踪した妻の財布と、息子が旅行当日に履いていた片方のスニーカー。そして、その倉庫の過去を調べると、夫がかつて関係を持っていた女性の名前が浮かび上がる。14年間誰も疑わなかった「3人はサービスエリアで消えた」という前提が、そこから静かに崩れ始める。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.1万字5 165 -
完結第13話
変な家
住宅情報サイトの編集者・森川直人のもとに、ある中古住宅の間取り図が届いた。埼玉県にある築28年の4LDK。一見ごく普通の家だが、洗面室と書斎の間には、どこからも入れない幅1メートルほどの「空白」がある。さらに、家族の生活動線から切り離された第二玄関、外からしか入れない物置、道路から見えない窓。現地を訪れた森川は、誰かを閉じ込めるための家ではないかと疑う。だが調査を進めると、別々の県に建つ2軒の家にも、まったく同じ奇妙な構造が見つかった。なぜ3人の男は、同じ「空白」を家の中に作ったのか。そして物置の奥から現れた金属扉の先には、28年間隠されてきたものが残されていた。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.9万字5 210