"7年目の地下貯蔵庫" 第12話
入は釜跡の裏側に隠れており、客はもちろん、所のもをらない空でした。
満作は、そこに葵を隠すことにしました。
その夜、親子は緒になって葵の遺体を貯蔵庫へ運びました。
そして遺体をビニールと古着で包みました。
夜がける、満作は貯蔵庫の入をの板とコンクリートで頑丈に塞ぎました。そのに再び釜を元通りに置き、痕跡を消しました。
こうして、葵は暗のに閉じ込められました。
翌、はいつものように扉をけました。
釜は再び煮えくり返り、濃なスープの匂いがを満たしました。
お客たちは何もらないままラーメンをべて帰りました。
あの濃な匂いが、の秘密を覆い隠してくれたのです。
数、葵の母親が訪ねてきた、満作は平然と言い放ちました。
「あの子、京へくってずっと言ってたから、何も言わずにっちまったんじゃないか」
清子も、震えるを抑えながら、その言葉に相槌を打ちました。
拓也も頷きました。
3はそうして、葵を「逃げた娘」に仕てげました。
頃から葵が癖のように言っていた「京へきたい」という言葉が、かえって葵の枷になったのです。
の族はその言葉を実にして、葵が自分のでていったかのように装いました。
だからこそ、7、警察は事件をだと断定しました。
広告
3のが揃っていたため、疑う余がないように見えたのです。
清子は、そのすべての来事を、あの夜遅くにったと言いました。邪で奥の部に寝込んでいた彼女は、親子がすべてをしでかしたに真実を聞かされたのです。
最初は警察に通報しようとしたそうです。
しかし、満作が膝をついて懇願しました。
「たった1の息子を助けてくれ」
清子は、どうしても自分の息子を刑務所へ送ることができませんでした。
そうして彼女も、7を閉ざすことになったのです。
しかし、その沈黙は清子にとって、きたままんでいるのも同然でした。
彼女は毎その釜のでラーメンを作りました。そのに葵が横たわっていることをりながら。
お客に笑顔でラーメンをしていても、息が詰まり、厨の裏に隠れて泣くこともありました。
眠ろうと横になると、葵のるい顔が浮かび、寝返りを打ち続けました。
お寺を訪れて祈り、また祈っても、のさはしも軽くなりませんでした。
7というが、彼女をしずつ蝕んでいったのです。
「刑事さん、私はね、あの子のお母さんの顔を見るたびに、にたくなりました。毎弟の学費を送るような、あんなにいい子。そのお母さんが、うちのので泣いているのを見ても、私はをけませんでした。
広告
私が罪です。罰を受けて当然の罪です」
清子はそう言って、すべてを打ちけました。
7というい荷物を、ついにろしたのです。
彼女の自によって、あの夜の真実はらかになりました。
夫の満作は、すでにこの世をりました。
しかし、直接葵を殺めた拓也はまだきていました。
は清子の自を余すところなく記録しました。遺体の状態、鈍器の痕、貯蔵庫の構造、そのすべてが清子の供述と致しました。
もう疑いの余はありませんでした。
はそのになってようやく、7の宿題を終えたかのようにい息を吐きました。
葵を殺し、7その罪を釜のに隠してきた。
それは、佐々拓也でした。
は席をちました。
窓のでは、の夜が更けていました。
彼は清子に向かって静かにをげました。7越しに真実を話してくれたことへの、い礼でした。
あとは、やるべきことはただ1つでした。
7平気な顔をしてきてきた拓也を、法のに引きずりすことでした。
部をるの背越しに、清子のすすり泣きがく続きました。
それは罪を告した者の涙であり、7というい荷物をようやくろした者の涙でした。
はし歩みを止めました。
しかし、振り返りませんでした。
今彼がすべきことは、暗に閉じ込められていた1の女性の無をらすことだったからです。
刑事は、すぐに拓也の逮捕に乗りしました。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
離婚後に生まれた息子
10年間の不妊治療の末、「子供もできなかった」と姑に責められ、夫・健一から離婚を告げられた38歳の由美。ところが離婚から2週間後、最後に受けた治療が実っていたことが判明する。由美は悩んだ末、元夫には知らせず、実家で1人の男の子を出産した。それから1か月。離婚から10か月後のある日、玄関に現れたのは健一と、彼が再婚する28歳の美香だった。「来月、結婚式をするんだ」と招待状を差し出そうとした健一。しかし、由美の腕に抱かれた赤ん坊を見た瞬間、その笑顔が消える。「その子……まさか俺の?」。10年間「子供を産めない妻」と責められ続けた由美の人生が、そこから大きく動き始める。夫婦|真相|修羅場2.0万字5 3924 -
完結第10話
清掃員が書いた設計図
倒産寸前の小さな町工場に、1人の若い清掃員がいた。 佐藤ゆい、21歳。学歴は中卒。従業員たちからは名前で呼ばれることもなく、ただ雑用係として扱われていた。 そんなある日、大企業から依頼された精密部品がすべて不良品となり、工場は2000万円の違約金を突きつけられる。誰もが技術不足だと責められ、工場長の竹夫も廃業を覚悟しかけていた。 その時、ずっと黙っていたゆいが静かに口を開く。 「設計が間違っています」 中卒の清掃員が、大企業の研究所の図面に誤りがあると言い出した――。 誰も信じなかったその言葉が、やがて町工場の運命を大きく変えていく。履歴書には書けなかった彼女の本当の力とは。人生逆転|真相1.4万字5 281 -
完結第12話
ただいまの裏にあった10年
1985年8月15日、新潟県長岡市で、23歳の佐藤健一はいつものように工場を出たまま姿を消した。 自転車も、持ち物も、行き先も分からない。両親の誠とかず子は必死に息子を捜し続けたが、手掛かりは何ひとつ見つからなかった。 それから2年後、痩せ細った1人の男が佐藤家の玄関に立つ。 「ただいま」 失われた息子が帰ってきた――そう信じた両親は、彼を再び家族として迎え入れる。記憶を失っていても、生きて戻ってくれたならそれでいい。そう思いながら、佐藤家は少しずつ穏やかな日々を取り戻していった。 しかし10年後、差出人不明の小包が届く。 中に入っていたのは、小さな遺骨と、父が本物の健一に贈ったはずの腕時計。そして一枚の紙には、こう書かれていた。 「本物の息子さんをお返しします」 8年間、家族として暮らしてきた男は誰だったのか。 そして本物の健一は、あの日どこで何を奪われたのか。 失踪、偽りの帰還、そして名前を越えて残った家族の形を描く物語。ミステリー|行方不明1.7万字5 208 -
完結第8話
サービスエリアで消えた三人
大型サービスエリアで、36歳の母親と9歳の息子、6歳の娘が突然姿を消した。残された夫・修一はテレビに出演し続け、「妻と子供たちを見かけた人は連絡してください」と14年間訴え続けた。世間は彼を、家族の帰りを信じて待つ父親として記憶していた。ところが事件から14年後、100キロ近く離れた古い貸倉庫の床下から黒い旅行鞄が発見される。中に入っていたのは、失踪した妻の財布と、息子が旅行当日に履いていた片方のスニーカー。そして、その倉庫の過去を調べると、夫がかつて関係を持っていた女性の名前が浮かび上がる。14年間誰も疑わなかった「3人はサービスエリアで消えた」という前提が、そこから静かに崩れ始める。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.1万字5 165 -
完結第13話
変な家
住宅情報サイトの編集者・森川直人のもとに、ある中古住宅の間取り図が届いた。埼玉県にある築28年の4LDK。一見ごく普通の家だが、洗面室と書斎の間には、どこからも入れない幅1メートルほどの「空白」がある。さらに、家族の生活動線から切り離された第二玄関、外からしか入れない物置、道路から見えない窓。現地を訪れた森川は、誰かを閉じ込めるための家ではないかと疑う。だが調査を進めると、別々の県に建つ2軒の家にも、まったく同じ奇妙な構造が見つかった。なぜ3人の男は、同じ「空白」を家の中に作ったのか。そして物置の奥から現れた金属扉の先には、28年間隠されてきたものが残されていた。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.9万字5 210