"7年目の地下貯蔵庫" 第13話
清子の自、遺体に残された鈍器の痕、そしての族しか入りできなかった貯蔵庫の構造。すべての証拠が1の男を指していました。
警察は裁判所で逮捕状を取り、拓也を検挙することにしました。
その、拓也は36歳でした。
葵が消えてから7。
その、拓也は表向きは平然とした顔をしてきてきました。父親がくなった、を理し、母親を連れて別の町へ移りました。
では、どこにでもいる平凡な男のように振るっていました。
しかし、そののには7消えることのないが巣くっていました。
拓也はをれてから、ただの1度も仙台のあのを訪れませんでした。豚骨ラーメンの匂いを嗅ぐことすら嫌がりました。
眠れない夜が増え、酒に頼るもくなりました。
表向きは平凡に見えましたが、その内面は7ずっと膿み続けていたのです。
罪を隠すということは、それ自体がもう1つの刑罰であったわけです。
が刑事たちと共に拓也を訪ねた、拓也はちょうどののにていました。
平凡なを着た、どこにでもいる所の男と変わらない姿でした。
しかし、の入りからづいてくる刑事たちを見た瞬、拓也の顔は真っ青に変わりました。
逃げようとするかのように歩ずさりしましたが、すぐにそのにち止まりました。
広告
逃げたところで無駄だということを、彼自がよく分かっていたのです。
拓也はしばらく何も言えませんでした。
刑事たちの顔を見た瞬、彼はすべてを直したのでしょう。
7胸に秘めていたあの来事が、ついに世のに暴かれたということを。
「伊藤葵さん殺害の容疑で逮捕する」
の声はく、力いものでした。
拓也はそのに崩れ落ちました。そして両で顔を覆いました。
7彼を押し潰してきたみが、その気に崩れ落ちたかのようでした。
警察署に連された拓也は、最初はを固く閉ざしていました。
しかしが母親である清子の自を示すと、その肩が震え始めました。
彼はもう持ちこたえることができませんでした。
結局、すべてを打ちけました。
あの夜、葵に振られたこと。
瞬のりを抑えきれず、恐ろしいことをしでかしたこと。
そして父親と緒に遺体を貯蔵庫に隠したこと。
は、その供述を1つ1つき留めました。
拓也のからたあの夜の話は、清子の自と寸分も違いませんでした。鈍器で殴った所、遺体を包んだビニールと古着、貯蔵庫の入を塞いだ方法。
すべてが法医学者の鑑定結果とも致しました。
もう逃げはありませんでした。
「毎晩、あの子がにてきました。釜のにつたびに、そのにあの子がいることをりながら……私はじゃありませんでした」
広告
拓也はそう言って泣き崩れました。
7平気なふりをしてきてきたと言っても、実際には1たりとも休まることのない獄だったのでしょう。
しかし、どんなに悔しても、すでに散ってしまった1つの命を取り戻すことはできませんでした。
拓也の自により、事件の全貌がらかになりました。
々が気にしたのは、1つのことでした。
7もの事件なのに、果たして処罰できるのか。
当の法律に照らしわせると、殺罪の効は15でした。葵が殺害されたのは2004。効は2019まででした。
拓也が逮捕された2011は、まだ効まで分ながあるでした。
言い換えれば、法の裁きを逃れることはできなかったのです。
もし拓也がもうしく罪を隠し通せていたら、あるいは処罰を免れていたかもしれません。
しかしが取り壊され、遺体が発見されたことで、真実は効が切れるずっとに世にました。
7罪を隠してきたあの釜が、結局は自らその罪を暴いたようなものでした。
は無ではありませんでした。
ただ、父親の満作はすでにこの世をっていました。
息子を守ろうと遺体を隠したあの父親は、2009に病で目を閉じました。んだを罪に問うことはできません。満作は最まで法廷につことなく、自分がしでかしたことのさを墓まで持っていくことになりました。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
離婚後に生まれた息子
10年間の不妊治療の末、「子供もできなかった」と姑に責められ、夫・健一から離婚を告げられた38歳の由美。ところが離婚から2週間後、最後に受けた治療が実っていたことが判明する。由美は悩んだ末、元夫には知らせず、実家で1人の男の子を出産した。それから1か月。離婚から10か月後のある日、玄関に現れたのは健一と、彼が再婚する28歳の美香だった。「来月、結婚式をするんだ」と招待状を差し出そうとした健一。しかし、由美の腕に抱かれた赤ん坊を見た瞬間、その笑顔が消える。「その子……まさか俺の?」。10年間「子供を産めない妻」と責められ続けた由美の人生が、そこから大きく動き始める。夫婦|真相|修羅場2.0万字5 3924 -
完結第10話
清掃員が書いた設計図
倒産寸前の小さな町工場に、1人の若い清掃員がいた。 佐藤ゆい、21歳。学歴は中卒。従業員たちからは名前で呼ばれることもなく、ただ雑用係として扱われていた。 そんなある日、大企業から依頼された精密部品がすべて不良品となり、工場は2000万円の違約金を突きつけられる。誰もが技術不足だと責められ、工場長の竹夫も廃業を覚悟しかけていた。 その時、ずっと黙っていたゆいが静かに口を開く。 「設計が間違っています」 中卒の清掃員が、大企業の研究所の図面に誤りがあると言い出した――。 誰も信じなかったその言葉が、やがて町工場の運命を大きく変えていく。履歴書には書けなかった彼女の本当の力とは。人生逆転|真相1.4万字5 281 -
完結第12話
ただいまの裏にあった10年
1985年8月15日、新潟県長岡市で、23歳の佐藤健一はいつものように工場を出たまま姿を消した。 自転車も、持ち物も、行き先も分からない。両親の誠とかず子は必死に息子を捜し続けたが、手掛かりは何ひとつ見つからなかった。 それから2年後、痩せ細った1人の男が佐藤家の玄関に立つ。 「ただいま」 失われた息子が帰ってきた――そう信じた両親は、彼を再び家族として迎え入れる。記憶を失っていても、生きて戻ってくれたならそれでいい。そう思いながら、佐藤家は少しずつ穏やかな日々を取り戻していった。 しかし10年後、差出人不明の小包が届く。 中に入っていたのは、小さな遺骨と、父が本物の健一に贈ったはずの腕時計。そして一枚の紙には、こう書かれていた。 「本物の息子さんをお返しします」 8年間、家族として暮らしてきた男は誰だったのか。 そして本物の健一は、あの日どこで何を奪われたのか。 失踪、偽りの帰還、そして名前を越えて残った家族の形を描く物語。ミステリー|行方不明1.7万字5 208 -
完結第8話
サービスエリアで消えた三人
大型サービスエリアで、36歳の母親と9歳の息子、6歳の娘が突然姿を消した。残された夫・修一はテレビに出演し続け、「妻と子供たちを見かけた人は連絡してください」と14年間訴え続けた。世間は彼を、家族の帰りを信じて待つ父親として記憶していた。ところが事件から14年後、100キロ近く離れた古い貸倉庫の床下から黒い旅行鞄が発見される。中に入っていたのは、失踪した妻の財布と、息子が旅行当日に履いていた片方のスニーカー。そして、その倉庫の過去を調べると、夫がかつて関係を持っていた女性の名前が浮かび上がる。14年間誰も疑わなかった「3人はサービスエリアで消えた」という前提が、そこから静かに崩れ始める。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.1万字5 165 -
完結第13話
変な家
住宅情報サイトの編集者・森川直人のもとに、ある中古住宅の間取り図が届いた。埼玉県にある築28年の4LDK。一見ごく普通の家だが、洗面室と書斎の間には、どこからも入れない幅1メートルほどの「空白」がある。さらに、家族の生活動線から切り離された第二玄関、外からしか入れない物置、道路から見えない窓。現地を訪れた森川は、誰かを閉じ込めるための家ではないかと疑う。だが調査を進めると、別々の県に建つ2軒の家にも、まったく同じ奇妙な構造が見つかった。なぜ3人の男は、同じ「空白」を家の中に作ったのか。そして物置の奥から現れた金属扉の先には、28年間隠されてきたものが残されていた。ミステリー|真相|遺體発見|行方不明1.9万字5 210