"地図にない赤札の家" 第1話
奥にぽつんと建つ軒には、いったいどんながんでいるのか。
それを確かめるために、写真からにあるを探し、実際に訪ねてみるという番組企画があった。
画面では、森のにさく映る根を拡し、周囲にらしきものがあるか、くに集落があるか、畑や倉庫らしき建物が見えるかを調べる。そこから候補を絞り込み、現へ向かう。
もちろん、けば必ず取材になるわけではなかった。
ある程度調べをしてからっても、実際に訪ねてみると空きだったり、に払いされたりすることは珍しくない。番組内で元のに尋ねても、「今は誰もんでいないよ」と返ってくることもい。
そもそも、そんな奥にんでいるは、静かな暮らしを望んでいるがい。付きいが苦なや、部のを嫌う偏屈者がんでいることもある。
だから、放送されるのは取材が成功したごく部であり、その裏には失敗した取材がいくつもあるという。
これは、そんな失敗談のでも、ある番組スタッフが今も忘れられないと語った恐怖体験である。
番組ディレクターの田は、ある、信越方の奥に点する軒を写真で探していた。画面を拡しながら、肌を縫うように続くを目で追っていく。
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スタッフルームには夜特の静けさがあり、パソコンのファンがさく唸っていた。
田の目が、ある所で止まった。
いに囲まれた、まるでを寄せつけないような所に、1軒のがあった。周囲には民らしきものがない。くに集落も見当たらない。の緑にみ込まれるようにして、そのだけがぽつんとしていた。
「……これは、面そうだな」
田は画面に顔をづけた。
そのの横には、きな倉庫のような別の建物も確認できた。母とわれる建物よりしれた所に、方形の根が見える。農の倉庫なのか、それとも畜舎の跡なのか、写真だけでははっきりしない。
同予定のカメラマン、辺も隣から画面を覗き込んだ。
「そこにくには苦労しそうですね」
辺は眉を寄せながら言った。
写真を見る限り、のくにはまともながない。番い集落からもかなりれているように見える。でどこまでけるのか、そもそもが残っているのかも分からない。
だが、番組の企画としては申し分なかった。
「実にコンセプトにった軒じゃないか。ここ、ってみないか」
田はそう言って、写真の位置報を保した。
辺はそうに画面を見つめたが、やがてさく頷いた。
「まあ、ってみないことには分かりませんしね」
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2はその所を次の取材候補に決めた。
そのはまだ、ただの奥の軒だとっていた。
そこが、元のでさえ寄りたがらない所だとはらなかった。
取材当、田と辺は朝に都を発した。
材を積み込んだは、関越自から信越自へ入った。の空はく、途のサービスエリアではたいが吹いていた。2は温かい缶コーヒーをに取り、眠気を覚ましながら目へ向かった。
休憩を挟みながらること約5。予定よりかなりく、目付の町に到着した。
「朝にてきた甲斐があったな」
田は腕計を見ながら、し余裕のある声で言った。
「このなら、聞き込みもできますね」
辺も材の確認をしながら頷いた。
2はまず、写真で見た番いとわれる集落へ向かった。の麓にあるさな集落で、々はまばらに建っている。季節はで、空からは細かいがちらついていた。寒さのせいか、にているはほとんどいない。
集落のをゆっくりで回りながら、田はを探した。
やがて、畑の脇で農作業をしている老を見つけた。背を丸め、の作業着を着た老は、を払うようにしながら何かを片づけていた。
田はをめ、辺と共にへた。
「お仕事すみません。
この所をごじでしょうか」
田は自分がテレビ番組の制作スタッフであることを説し、タブレットに表示した写真を老に見せた。
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