"消えた花嫁の名札" 第10話
「記録はそうだといます。でも実際には、私が代理で押しました」
刑事のペンが止まった。
「代理で?」
「織さんに頼まれたんです。『ちょっと物資倉庫へってくるから、もしコールが鳴ったら押しておいて』と」
「織さんは、どれくらい席をしていましたか」
「正確には覚えていません。でも30分以は戻らなかったといます。そのは、副主任がトイレか倉庫でがかかっているだけだとっていました」
たった1つの証言だった。
けれどその証言で、8に織が組みげていたアリバイの柱が1本崩れた。
次に、再捜査チームはい軽乗用のエンジン音について証言していたコンビニの元アルバイトを探しした。
当23歳だった青は、今では31歳の会社員になっていた。取調で彼は、し照れたようにをかきながら話した。
「あの音、どうしても忘れられないんです。静かな夜けに、7分くらいずっとエンジンがかかっていたでしたから」
「ナンバープレートは覚えていますか」
「全部ではありません。ただ、の2桁だけは今でも覚えています」
「なぜですか」
「当、暇だったので帳に落きみたいにいていたんです。昭の世代に印象な数字の並びで」
青が示したの2桁は、姉妹が共同で所していたい軽乗用の登録番号と致した。
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さらに、軒茶のアパートから渋区の病院までの経を再構成すると、夜の交通状況なら片20分で移できることが分かった。織が30分以病棟をれていた帯と、完全になる。
そして決定だったのは、名札の裏の血液と、クリップの内側に残された織の母系遺伝子だった。
8の3回目の取り調べで、織が瞬だけ漏らした言葉が再びを持った。
「勤務のままていきました。カーディガンのに名札もそのままでした」
美緒の名札を最に見た者だけがり得る言い回し。
加茂が帳に赤い丸をつけた、その文。
再捜査チームは次の段階へんだ。
20078のある朝、京渋区の総病院の休眠倉庫に、レーダーの材を積んだ鑑識両が静かに入ってきた。
法医学顧問もち会った。倉庫には湿った空気が残り、古いコンクリートの壁がたく沈んでいた。
材が倉庫の奥の壁面を調べ始めた。
1番奥の壁のコンクリートの継ぎ目付で、画面の密度グラフがきくねがった。
「この点、異常な密度を検しました」
し、遺体探犬がその壁のでく鳴いた。
犬はそのをれようとしなかった。
作業員たちが慎に壁面のコンクリートを切断し始めた。具の音が倉庫に響く。
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がくい、鑑識員たちはマスク越しに息を潜めた。
表面のコンクリートのには、8の改修事の際に仮設として組まれた枠の跡が残っていた。
その奥の狭い空に、いシーツに包まれたままの骨があった。
誰も声をせなかった。
法医学顧問がい袋をはめ直し、遺骨の部を慎に確認した。
「部に陥没の痕跡がはっきりあります。鈍器、あるいは角のある所とのい衝突と見られます」
加茂はそのにいことっていた。
8。
美緒は、その8の、この病院ののコンクリート壁のにいた。
千鶴が毎、軒茶のアパート跡にい菊を置き、空を見げていたその。
美緒は、そこからでわずか数駅先の病院のに眠っていたのだ。
同じの夕方、織は田園調布の自宅から任同の形で世田警察署へ移された。
加茂は、すでに取調ので待っていた。
取調べ初、織は供述を拒否した。
のカーディガンにマスクをつけ、机のの点だけを見つめている。8のいすぎた姿と違い、その頬はこけ、目のにはいがあった。
「苅田さん。8と同じ話から始めます」
担当刑事が静かに言った。
「1999613の夕方、美緒さんはどんな装でをましたか」
「私でした」
「確かですか」
「確かです」
答えはく、表はなかった。
持病の治療であることを理由に、取調べは13に制限された。織はほとんどの質問に沈黙で答えた。
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