"20年目の神隠し夫婦" 第9話
鞄に付着していた鉄の末と符する域での目撃報だったため、警察はめきった。しかし報提供者の記憶はあまりにも曖昧で、裏付ける証拠は何1つ見つからなかった。
結局、捜査はまたい壁にぶつかってしまった。
なぜ鞄だけが京のフリーマーケットに現れたのか。
誰がそれを売りにしたのか。
2は今どこにいるのか。
決定な証拠が現れたにもかかわらず、事件の実態は依然としていのにあった。
警察は再び捜査員を減らし、事件は期滞へと移した。
振りしに戻った絶望。
族たちは落胆したが、それでも決して諦めはしなかった。
しかしそのの、凍てつくようなので、誰もがの奥底でじていた。
この事件の真実をるために残されたは、砂計の砂のように、確実に減り続けているのだと。
20249。
あのから、実に20という途方もない歳が過ぎっていた。
本の警察庁に、1本の予期せぬ国際話がかかってきた。
発信元は、アジアで教育支援事業を展する国際なNGO団体だった。
「フィリピン部のさな漁で、本夫婦を保護しています」
受話器越しに響いたその言葉が、20止まっていた計の針を烈な力でかした。
NGO職員によると、元を確認したところ、俊介と伊藤しおりのデータと致する能性があるという。
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その夫婦は、の子どもたちにボランティアで本語を教えて暮らしていた。さらにたちは、ずっと昔にで遭難していたところを元の漁師が助けしたと証言しているらしかった。
報告を受けた警察庁と務省は、ただちに現確認へいた。
翌、警察署の静かな会議に、両の族が緊急で呼びされた。
苦しい沈黙の、担当刑事が1枚のカラー写真を机のにそっと置いた。
結は震える両でその写真を持ちげた。
どくん、どくんと、の奥で臓の音が鳴り響く。
そこに写っていたのは、い国の差しを浴びて焼けし、い皺が刻まれた初老の男女だった。
髪にはいものが混じり、頬はしこけ、20分の歳が確かに刻まれていた。
しかし、その優しい目元のカーブ。
し照れたような器用な笑い方。
紛れもなく、20に奄美島で消えたあの2だった。
「俊介……」
「しおり……」
「嘘でしょう……しおり……」
写真にすがりつくようにして、族たちは声をげて泣き崩れた。
20分の乾き切った涙が、堰を切ったように溢れした。写真の表面を濡らし、指先が震え、誰も言葉をうまく形にできなかった。
きていた。
彼らは、きていたのだ。
公式な元確認のため、担当官と通訳がすぐにフィリピンへんだ。
そして数、本政府から本を揺るがす発表がわれた。
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「2004に失踪した夫婦は。健康状態も良好である」
全国のニュース番組が、速報でこの事実を報じた。
奇跡という言葉すらっぽく聞こえるほどの衝撃だった。
絶望の淵にたされ続けた族の祈りが、太平を越え、20のを経て、ついに空の彼方へ届いた瞬だった。
しかし、なぜ彼らは20も本へ帰ってこなかったのか。
その裏には、像を絶するような夜のの恐怖が隠されていた。
20という果てしない空。
奄美島で最に目撃されたあの夜、2のに体何が起きていたのか。
帰国、警庁の取調で、俊介としおりは震える声で真実を語り始めた。
20044、あの夜。
夜915分にしおりがブログの投稿を終えた、2はもうしだけ夜のを見てこようと、宿くの防波堤へ向かった。
の夜はよく、満のが面に映り込んでいた。2はをつなぎ、これからの未来について語りいながら、灯のない暗いを歩いていた。
そのだった。
背の暗から、音もなく複数の男たちが現れ、2のくを塞いだ。
最初は、単なる目当ての盗だとったという。
俊介がしおりを守ろうとにた瞬、男の1が鋭いナイフを取りし、彼の首筋にたい刃を突きつけた。
「声をすな。せば女の命はない」
く湿った声だった。
2は恐怖で体がすくみ、声1つせないまま、くに泊していた正体の型へ引きずり込まれた。
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