"消えた弟と制服の父" 第5話
元の防犯活やスカウト関連の事にも、ボランティアとして顔をした。
涼子はその、次女の里奈を産した。
黒髪の赤ん坊で、よく眠り、めったに泣かなかった。
から見れば、彼らは々になったものから何かしいものを築き始めているようだった。
しかし、面では沈黙がを帯びていた。
介は群馬のことを話さなかった。
なぜ引っ越してきたのかと聞かれても、「変な期だった」とだけ言った。でも、その話題を完全に避けた。
仕事、集まり、夕、テレビ。
彼は決まった活を守った。
涼子とはほとんど話さず、織とはさらに話さなかった。拓也の名がると、彼は部をていった。
涼子は最初、夫のしみなのだとおうとした。
けれど、2のの距はしずつくなっていった。
拓也の名は、禁止されてはいなかった。
だが、声にして言われることもなかった。
夜、涼子が祈る、彼女は介に聞こえないよう、息ので拓也の名をささやいた。
5歳になった織は、その沈黙の規則を理解できなかった。
彼女はまだ弟の顔を覚えていた。おもちゃのトラック、庭での笑い声、さな。
々、織は弟がどこにいるのか尋ねた。
またある夜、泣きながら目を覚まし、半分眠ったまま毛布のでつぶやいた。
「パパが、拓也を傷つけた」
広告
涼子は凍りついた。
その言葉は、発せられたあともく部のに残った。壊れやすく、それでいて無できない言葉だった。
涼子は織に、どういうか尋ねた。
しかし織は、それ以何も言わなかった。
朝になると、何も覚えていないようだった。
その、織の悪は増えた。
彼女は叫びながら目を覚まし、拓也が縁側のそばで泣いている、面に横たわっていると話した。涼子は娘が眠るまでそばに座り、髪を撫で続けた。
だが織が眠ったあと、涼子は暗ので目をけていた。
娘はを見ているのではない。
何かをいしているのではないか。
その疑いが、彼女のでしずつ膨らんでいった。
ある午、織の部を掃除していた涼子は、枕のに挟まったクレヨンの絵を見つけた。
そこには、4の棒が描かれていた。
男、女、さな女の子。
そしてページの隅に、いで横たわるさな姿。
そのには、子どもが描くような黄い太陽が笑っていた。
涼子はその絵を折り、引きしの奥にしまった。
介には見せなかった。
1993初、夫婦の距はもう無できないほどになっていた。
介は赤ん坊の泣き声で眠れないと言い、ソファで寝るようになった。涼子は反論しなかった。
彼女は静かに準備を始めた。
費からしずつおを残し、群馬にいる母親へをいた。
広告
そしてある、介に告げた。
「しばらく実に帰りたいの」
介は抗議しなかった。
「必なことをすればいい」
それは数ヶぶりに、彼が涼子に与えた許にい言葉だった。
3、涼子はにと赤ん坊の物を詰めた。織は部座席でぬいぐるみを握りしめていた。
介は玄関先にち、両をポケットに入れたまま、表の読めない顔で見送った。
「元気でな」
涼子はい、夫の顔を見つめた。
そこに、かつてあったはずの何かを探した。
しかし見つからなかった。
彼女はを発させ、のをにした。
涼子と娘たちは、群馬の実へ戻った。
くのものはなかったが、そこはなくとも全にじられた。涼子はコインランドリーやパートの仕事を見つけ、娘2との活をしずつて直し始めた。
々、警察署に話をかけて拓也の件を尋ねようかと考えた。
しかし、受話器を取ることはなかった。
「たな展なし」
その言葉を聞くことが、沈黙よりもくじられたからだった。
方、に残った介は1で暮らしていた。
を清潔に保ち、で仕事へき、集まりへの参加は次第に減った。所の々は、彼を礼儀正しいがよそよそしく、半分しかしていないような男だと見ていた。
夕方になると、彼は窓際に座り、のを通るを眺めていた。
テレビは背景でさく流れているだけだった。
々、夜にさな箱をけた。
には写真が入っていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
白線の先の女たち
昭和三十九年、女子競輪が終わりを迎えようとしていた。三十四歳の佐伯久美子は、最後の地元決勝で優勝する。しかし彼女が真っ先に求めたのは、花束でも拍手でもなく、次の出走表だった。返ってきたのは、もう走る場所はないという答え。そんな久美子の前で、十九歳の新人・夏子は「私は来年も勝ちたい」と訴える。仕事、家族、怪我、そして失われた競走の舞台。走ることを諦められない女たちは、それぞれの暮らしを背負いながら、新しい一歩を探し始める。時代|歴史|昭和|ミステリー3.0万字5 135 -
完結第15話
姉の身代わりで嫁いだら、冷酷当主の本命でした
家族に冷遇され、姉の身代わりとして“冷酷な当主”のもとへ嫁がされた澄乃。しかし初対面で、偽りの花嫁だと見抜かれてしまう。 追い返される覚悟をした澄乃に、静は「お前で構わない」と告げる。さらに帳簿を読む彼女の才能と、恐れながらも嘘をつかなかった誠実さを認めていく。歴史|昭和|ミステリー|夫婦|第二の人生2.0万字5 576 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 226 -
完結第16話
雪の空港で消えた四人と第七格納庫
1989年のクリスマスイブ、北海道の空港から四人の客室乗務員が姿を消した。車には荷物と靴だけが残され、手掛かりのないまま35年が過ぎる。 2024年、解体中の旧格納庫で隠し部屋が発見され、事件は再び動き始めた。浮かび上がったのは、空港内部を熟知し、彼女たちを密かに監視していた元整備士だった。ミステリー|真実|真相1.9万字5 1147 -
完結第14話
七年後、屋上で見つかった妻の秘密
1993年、鹿児島。自治会の帳簿を整理していた主婦・ミキは、過去の火災復旧費に不自然な水増しを見つける。調査を始めた直後、彼女は遺書とバッグだけを残して姿を消した。 投身とされた事件から七年後、マンション屋上の封鎖された旧貯水槽から、ミキと一致する人骨が発見される。ミステリー|真相|行方不明2.1万字5 377 -
完結第13話
成人式に消えた母と十三着目の振袖
2014年の成人式当日、貸衣装店から母・奈津子が消えた。店の960万円もなくなり、共に姿を消したカメラマンとの逃避行が疑われる。娘の紗季に残されたのは、「今日は署名をしないで」という謎のメモだけだった。 10年後、閉店する店の倉庫から、記録にない「13着目の振袖」が見つかる。その裾には、若い女性たちの名義で作られた高額ローン契約書と、母が隠した証拠が縫い込まれていた。ミステリー|真実|行方不明2.3万字5 345 -
完結第18話
昭和38年、つなぐなと言われた救急電話
昭和38年、山間の電話交換所で働く澄子は、診療所から県立病院への緊急電話を受ける。重傷の17歳を救うための連絡だったが、主任は「その電話だけは絶対につなぐな」と命じた。 少年が亡くなった後、澄子の判断ミスとして処理されようとする。しかし記録を調べると、救急回線が止められていた時間にも、工事会社と本社、町役場の間では電話がつながっていた。時代|歴史|昭和|ミステリー2.3万字5 415 -
完結第10話
31年間、母が捨てなかったマットレスの秘密
31年間、両親が頑なに使い続けてきた古いマットレス。中央は大きく沈み、父の腰痛も悪化していたが、母はなぜか買い替えを拒み続けていた。 息子のデイヴィッドは、両親を旅行へ連れ出した隙に新しいものと交換しようとする。ところが搬出業者から、「お母様を寝室へ入れず、まず一人で確認してください」と切迫した電話が入る。 マットレスの下から現れたのは、古い手紙や小さな靴、写真、ぬいぐるみ。そこには両親が31年間、息子にさえ存在を明かさなかった幼い娘・グレースの記憶が封じられていた。 娘を失った悲しみから逃げるため、名前すら口にしなくなった父。そして誰にも見つからない場所で、毎年娘へ手紙を書き続けた母。古い寝台が取り払われた日、沈黙の下に閉じ込められていた家族の時間が、ようやく光の中へ戻り始める。ミステリー|真実|真相|親子関係1.5万字5 795