"消えた弟と制服の父" 第6話
2歳の誕の拓也。
初めて髪にリボンをつけた織。
ピクニックでかすかに笑う涼子。
介は数分だけそれらを見て、また箱を閉じた。
その頃、群馬では織の絵が再び涼子の目に止まるようになっていた。
以より丁寧になっていたが、どの絵にも1つの姿が欠けていた。あるいは隅に倒れていた。織に尋ねても、彼女は理由を説できなかった。
「ただ、そう描くのが正しいじがするの」
子どもののでさえ、は形を持っていた。
拓也のファイルは、群馬県警の証拠保管でつかずのまま置かれていた。箱には埃が積もり、捜索図や証言記録はのに沈んでいた。
しかし、その沈黙ので、何かがまだいていた。
記録でも報告でもなく、夜通し眠れない女の、断片な記憶ので。
島拓也が消えてから3、沈黙はついに破られた。
きっかけは、しい証拠ではなかった。
しい目撃者でもなかった。
7歳になった織の、さく確かな声だった。
19942、群馬県のさな診療所でそれは始まった。
織は齢とともに静かになり、用い目をした子どもに成していた。声を荒げず、慎に話す子だった。
だがその、彼女は再び真夜に目を覚まし、涼子を求めて泣くようになった。
悪が戻ってきた。
以よりも鋭く、鮮になっていた。
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「で拓也を見た」
織は震えながら言った。
「パパが叫んでいた」
涼子は何も繰り返してきた慰めの言葉で、娘を落ち着かせようとした。
「よ。怖いを見ただけ」
しかしその言葉は、もう織をさせなかった。
翌朝、涼子は織がしい絵を描いているのに気づいた。
茶の制のようなを着た男が、さな姿のにっている。くには、回転灯のついたがあった。
涼子は絵をしまい込んだ。
だが、は消えなかった。
1週、学を通じて配されたカウンセリングので、織は話し始めた。
カウンセラーのエレンという穏やかな女性が、のこと、族のこと、へくの群馬のことを優しく尋ねた。
織はしばらくためらった。
そして、エレンのを止めさせるようなことをにした。
その午、エレンは涼子を呼んだ。
織は母親の横に座り、ぬいぐるみを握っていた。言葉は途切れ途切れで、記憶の断片をつぎわせるようだった。
「拓也が、パパを追ってにたの」
織はさく言った。
「パパはってた。拓也に止まれって言った」
彼女はで素いきをした。
打撃をまねるきだった。
「叩いたの」
部の空気が変わった。
織はさらに声を落とした。
「それから、あのに入れたの。ライトがついてるに」
涼子は娘を見つめた。
自分が何を聞いているのか、すぐには理解できなかった。
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「本当に?」
織はうなずいた。
「言っちゃだめって言われた。私も穴に入れるって」
部は静まり返った。
エレンは証言を記録し、義務な報告に従って所轄の警察署へ連絡した。
24以内に、ファイルは群馬県警へ転送された。
1991318から方となっていた島拓也の事件は、再びかれることになった。
2、刑事たちが涼子の実を訪れた。
彼らは、涼子がタイムライン、への移、結婚活の悪化、群馬へ戻る決断について語るのを注く聞いた。
介のについて。
気性について。
異常だとじたことについて。
涼子は最初、言葉を選んだ。
それから、い見ないふりをしてきたことを話し始めた。
織がジュースをこぼした、介が子を投げたこと。
赤ん坊が泣きすほど声で鳴ったこと。
で、彼が壁を殴った夜のこと。
涼子は、それをストレスやしみのせいだと言い聞かせてきた。
しかし今では、確信が持てなかった。
刑事たちは全てを記録した。
そして帰り際、1が静かに言った。
「彼と話す必があるでしょう」
に戻った島介は、まだ同じ質素なにんでいた。
所の々にとって、彼は礼儀正しいが孤した男だった。は振るが、話はしない。域の保険会社で働き、々教会に顔をし、くを語らなかった。
1994414、群馬から来た2の刑事が、介ののドアをノックした。
彼らは逮捕状を持っていた。
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