"湖底の五本柱" 第6話
この事実は、セダンの乗員である3、相馬、寺、に対する見方をきく変えた。
彼らはもはや、単なる被害者ではなかった。
なくとも、体を運搬したに乗っていた。
容疑者である能性が極めてくなった。
あるいは、彼らもまた脅迫され、体の運搬をされたに消されたのか。
藤はで見つけたメモ用の謎解きに没した。
「351209R」
ただの数字の羅列ではない。
彼は、方になっている設計士、相馬賢のデスクから押収された資料を広げた。ダム建設の詳細な測量図面である。
相馬は几帳面な男だった。
図面には無数の測量ポイントが記され、それぞれに番号が振られていた。
藤の指が図面のを滑った。
351点。
209番区。
そしてR。
建設用語でRはカーブやルートを指すことがい。しかし、この図面においては別のを持っていた。
図面の端に、相馬のきによる凡例が残っていた。
R――龍。
それは、龍鳴寺の裏に広がる古い旧坑への入を示す記号だった。
かつての子どもたちが遊びにしていたが、崩落の危険があるとして数に封鎖された所である。
相馬の帳にも、この所に関する記述が残されていた。
「盤調査、R点、確認」
藤はただちに隊と岳救助隊を招集した。
で見つかったメモは、犯が残したものではなく、相馬自が自分たちの居所、あるいは何かを隠した所を必にき残したものかもしれなかった。
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吹はやんでいたが、はいに閉ざされていた。
捜索隊はスノーモービルと徒歩で、図にない獣をんだ。龍鳴寺からへ約2キロ。切りった崖のに、枯と岩でカモフラージュされた洞窟の入があった。
入付のは自然に踏み荒らされていた。
誰かが最ここに入りした痕跡である。
しかもその跡は、1や2ではない。複数のが、いものを引きずったような跡が洞窟の奥へと続いていた。
藤たちが懐灯をに洞窟へ踏み込むと、気とは異なるをつく臭いが漂ってきた。
血と腐敗の臭いではない。
それはオイルと排気ガスの臭いだった。
洞窟の入から数メートルんだ広い空洞に、信じがたいものが鎮座していた。
型のホイールローダーである。
ダム事現で使用されるが、なぜこんな所に隠されているのか。
黄いボディはで汚れ、バケットには赤黒い染みが付着していた。
鑑識員がバケットのを覗き込み、い鳴をげてずさった。
そこには、探していた2目がいた。
佐藤の遺体だった。
作業は血に染まり、体は無惨に折り曲げられてバケットのに押し込まれていた。因は血量と見られた。
セダンのトランクに残っていた血液の主が、ここで発見されたのである。
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だが、衝撃はそれだけではなかった。
の運転席には、もう1の男が座っていた。
ぐったりとハンドルに覆いかぶさるようにしているその男は、建設会社の若社員、寺武だった。
彼はんでいた。
しかし佐藤のように殺害されたわけではない。
こめかみには傷を伴う入創があり、元には古い回転式拳銃が落ちていた。には硝煙反応とわれる黒ずみが残っている。
状況は、な自殺を示していた。
藤は寺の遺体を見分しながら、徹に推理を組みて始めた。
寺が佐藤を殺害し、ここまで運び、そして自殺したのか。
だとしたら、相馬とはどこへったのか。
そして例の1500万円はどこにあるのか。
寺のポケットには銭とのキーだけが入っていた。は見当たらない。佐藤の遺体からもはてこなかった。
しかし、現に残されたホイールローダーは、1つのきな謎を解く鍵となった。
このには、用の太いチェーンが巻かれていた。
藤は、セダンが発見された現の「跡なき消失」のトリックを掴みつつあった。
犯はセダンを乗り捨てた、空をんだのではない。
別の両に乗り換えたのだ。
もしこのホイールローダーが、事にセダンの方を追していたとしたらどうだろう。
あるいは、セダンの脇に横付けし、や遺体を移し替えたとしたら。
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