みかん小説
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"湖底の五本柱" 第18話

とせざるを得なかった。

だが、藤の胸にはまだ、拭いきれないが残っていた。

事件は終わっていない。

が最に残した「計の音」。

相馬が繰り返した「鐘の音」。

あれは単なる錯乱ではない。

もっと現実な何か。

もっと酷な仕掛けの予兆なのではないか。

その疑いは、もなく最悪の形で現実となる。

季節はへ向かっていた。

解けが鏡ダムを満たし、かつてのは濁ったへ沈んでいった。根の部、柱の先、墓だけが面から顔をし、やがてそれらもゆっくり消えていった。

々はその面を見つめながら、ダムのに眠るものをるようになった。

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黒田剛作。

、佐藤、寺。

そしておそらく、茂蔵。

ダムは完成したはずだった。

だが、事件は最の余韻を残していた。

それは、き残った相馬賢に関することだった。

相馬は逮捕された。罪状は、体遺棄、過の過失致、そして今回の事件への関与である。彼は法廷で全てを認め、実刑判決を受けた。

刑務所へ収監される、相馬は藤との面会を求めた。

面会で会った相馬は、つきものが落ちたような顔をしていた。髪は増え、頬は痩せ、目の奥に残っていた狂気のは消えていた。だがその代わりに、別の種類の恐怖が宿っていた。

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相馬はテーブルに置かれた自分のを見つめながら、い声で言った。

「警部、最に1つだけ気になることがあるんです」

藤は黙って相馬を見た。

さんが残した。あれには続きがあったんじゃないかとうんです」

「続き?」

「あれが全文だ。鑑識も確認している」

「いいえ。文章のことではありません」

相馬は顔をげた。

「音です」

「音?」

「あの、龍鳴寺で聞いた鐘の音。そしてダムの底から聞こえた計の音。あれはさんが鳴らしていたんじゃない」

藤は眉を寄せた。

「どういうことだ」

さんの懐計は、私が持っていました。壊れてかない計です。でも音は聞こえた。カチ、カチ、と」

相馬は声を潜めた。

「あれは、タイマーの音だったんじゃないでしょうか」

藤の背筋がたくなった。

「タイマー? 何のタイマーだ」

「分かりません。ただ、さんはダムを墓にするだけでは満しなかったのかもしれない」

「何を根拠に」

「彼は言っていました。は永になる、と」

相馬の目が揺れた。

「永にするためには、度すべてを無にする必がある、と」

面会が終わった直藤はダム管理事務所へ急した。

たな管理所に、ゲート操作と監査廊の回図を再確認させた。

「操作盤に独した源はないか。限式で作するプログラムは残っていないか。デジタルだけじゃない。

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物理な配線も含めて全部調べろ」

は困惑した顔をしたが、藤の表を見てすぐに技術者を呼んだ。

調査にはがかかった。

やがて、所は顔面蒼になって戻ってきた。

「警部……信じられませんが、予備源回に奇妙なバイパスが仕掛けられています」

「何だそれは」

「単純なアナログタイマーです。デジタル制御の裏に隠されていました」

「作刻は」

は腕計を見た。

「今から10分です」

藤は瞬だけ目を閉じた。

「何が起きる」

「分かりません。ただ、この回はダム堤体の監査廊排ポンプと連しています。もしこれが逆回転、つまり排ではなく注、あるいは加圧をうように細されていたら……」

はそこで言葉を失った。

藤は悟った。

茂蔵の復讐は、彼自で終わってはいなかった。

彼はダムそのものに限爆弾を仕掛けていたのだ。

爆薬ではない。

圧という名の爆弾を。

監査廊内部に限界を超えた圧をかければ、コンクリートの壁に亀裂が入り、最悪の、ダムが決壊する。

藤の声が管理に響いた。

「避難警報。流のに伝えろ。ダムが崩れるぞ」

サイレンが鳴り響いた。

制御盤は赤い回転灯のと警告音の嵐に包まれた。壁のモニターには位、圧力、ゲート状況が次々と表示され、数字が異常な速度で変化していく。

「残り3分。ポンプが起します」

の叫び声は、サイレンにかき消されそうだった。

藤は複雑に入り組んだ配線の束をに、油汗を流していた。

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