"母の墓に立つ母" 第11話
何度もドアの隙からを覗いたが、母の姿は見えなかった。
夜がけるまで、ハルトは布団を敷くこともできず、ただそのに座り続けた。
翌の朝、薬を採りにかけたの老が、崖ので倒れている美紀を発見した。老は驚き、まで目散に駆け戻った。
そのらせがに届いたのは、が完全に昇っただった。
の1がい表でのドアを叩いた。ひと晩眠らず、ドアだけを見つめていたハルトは、そのの表を見ただけで、何かがおかしいと直した。
「お母さんが……くなった」
その言に、ハルトのから力が抜けた。
そのに崩れるように座り込み、喉が張り裂けるほど泣き叫んだ。さな両でを掻き、何度も母の名を呼んだ。
その泣き声は、の麓全体にこだまのように響き渡った。
たちは1、また1と集まり、ささやかな葬儀を取りった。
所のが急いで作ってくれた黒い喪を着たハルトが、さな盛りのにぽつんとっていた。だぶだぶの袖が何度もの甲を覆ったが、ハルトにはそれをまくりげる気力もなかった。
アカシアのびらがにい、そのへ果てしなくり注いでいた。
葬儀を終えたたちは、1残されたハルトをそのままにしておくことはできなかった。
数、ハルトは見らぬワゴンに乗せられ、町の児童養護施設へ移された。
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窓のにざかっていくの麓を眺めるハルトの目には、何のも浮かんでいないようだった。
すでに涙さえ枯れ果てていたのだ。
施設での最初の夜、ハルトは見慣れない布団ので体を丸めることができなかった。井のらない模様をぼんやり眺めながら、母がってくれた子守をさく呟いてみた。
その声はすぐにすすり泣きに変わったが、ハルトは誰にも気づかれまいと布団の端を固く噛みしめた。
そうして、3というが流れた。
10歳になったハルトは、最初は慣れなかった施設での活にもしずつ順応していった。ただ毎5がづくと、ハルトのは決まって母の墓へ向かった。
3、欠かさず続けてきたことだった。
そしてその、川崎の事務所に見らぬ男が1訪れた。
輝が密かに送り込んだ男だった。
い封筒が1つ、静かに机のに置かれた。封筒ののは、施設への寄付という名目で流れ込み、その以、川崎はその男や、その背にいる輝の言葉に逆らえないになった。
ハルトの名がかれた類1枚が、こうして静かにへの養子縁組続きのリストの先へ載せられたのだった。
同じ頃、美優は依然として見らぬたちの監ので々を過ごしていた。
姉を探しにきたいという気持ちが、喉元まで込みげてきたことは1度や2度ではなかった。
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しかしそのたびに、美優はその気持ちを必に抑え込んだ。
もし自分が警察にき、あの審な線に気づかれでもしたら、姉とハルトまでれず危険にさらされるかもしれない。
その恐怖があった。
かつて姉が自分を守ってくれたように、今度は自分がくからでもその所を守らなければならない。美優はそう信じていた。
だから美優は最限の痕跡だけを残し、いつか監の目が完全になくなるを、黙って待ち続けた。
そんな美優は、この数、嫌なにうなされていた。
眠りにつくと、いつも同じを見る。
のの姉・美紀は、いつも背を向けてっていた。美優がどれほど呼びかけても振り返らない。そして最の瞬に、ゆっくりと顔を向け、い声で言うのだ。
「もう、あなたがあの子の面倒を見るのよ」
その言葉とともに、美優は目を覚ました。
全は寝汗でぐっしょり濡れ、臓は激しく鼓していた。
同じが3続くと、美優はもはやそれをただの悪として片づけることはできなかった。得体のれないが胸の真んにくのしかかり、れなかった。
そんなある夜、眠りにつく直、ふと姉が昔何気なく言った言がに浮かんだ。
「朝の麓はどうかしら。昔通りかかったことがあるんだけど、静かで空気がきれいだったわ」
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