"50年目の沈黙の部屋" 第1話
2021、福井県の本沿岸にいあいで、いあいだ廃墟として放置されていた精神科病院から、の骨が見つかった。
その骨は、ただに横たわっていたのではない。
壁に塗り込められ、から完全に隠されたさな部ので、半世紀くも暗のに置きりにされていた。
くで見つかった古い雑誌や記録の代から、その物はおよそ50、1973ごろにくなったとみられた。
だが、さらに奇妙だったのは、そのだった。
50もの、誰も彼を探していなかった。
彼がしていたことすら、誰もいさなかった。
その男は、きながらにして社会から消され、んだもなお、のに閉じ込められていたのである。
すべては、福井県の沿いからし内陸へ入った丘陵帯にある、鬱蒼とした森の奥から始まった。
都からはくれ、周囲には民もない。々はとともに伸び放題になり、が吹くたびに枝がこすれい、昼でもどこか暗い所だった。
その森に、かつて精神科病院として使われていた建物が残っていた。
元の々は、その病院のことをほとんど語らなかった。覚えている者がいたとしても、にしたがらなかった。そこは懐かしい所ではなく、どこかろめたさと気さを含んだ所として、域の記憶の隅に沈んでいた。
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病院が設されたのは1940代半だった。
戦もない代であり、精神疾患に対する理解も今とはきく違っていた。県内のさまざまな域から、族や社会が対応できない、あるいは対応しようとしなかった患者たちが、この施設へ送られてきた。
そこに来た々のくは、自分ので入ったわけではなかった。
親族に連れられた者。政の判断で移された者。所や職で問題を起こしたとされ、隔されるように入院させられた者。
彼らは、病院のい壁ので活し、治療を受け、には社会から完全に切りされた。
1980、本の精神医学をめぐる制度改革と財政難の響を受け、その病院は閉鎖された。
スタッフは別々の所へ移り、患者たちはの施設へ転院したと記録された。建物は使われなくなり、扉は閉ざされ、窓は割れ、と自然に侵されながらしずつ朽ちていった。
それから40以、その建物は廃墟となっていた。
廃墟好や、刺激を求める若者たちのでは、名だけがられるようになっていた。インターネットには、割れた窓、錆びたベッド、散乱したカルテ棚、崩れかけた廊の写真が密かに回った。
だが、その廃墟の奥に、本当に封印されたままの部があることをる者はいなかった。
20213、その所へ5のボランティアが訪れた。
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彼らは単なる観客ではなかった。
「クリーン福井」と呼ばれるさな元団体のメンバーで、廃墟や空きに残されたゴミを清掃し、同に過の建物の記録を写真として残す活をしていた。
そのの目も、廃病院の内部を確認し、法侵入者や破壊為によって残された空き瓶、雑誌、べ残し、落きの痕跡などを片付けることだった。
朝から作業は始まった。
5は懐灯、軍、ゴミ袋、簡単な具を持ち、慎に建物のへ入った。玄関ホールのタイルは割れ、井の部はを吸って黒ずんでいた。歩くたびに板が軋み、どこかでが鳴っていた。
1階はひどい状態だった。
空き瓶、古聞、缶、壊れた子、医療器具らしき属片があちこちに散らばっていた。壁には落きがあり、窓ガラスはほとんど割れていた。いので、病院だった所は完全に別のものへ変わっていた。
作業はうようにはまなかった。
彼らは数かけて1階を片付けたが、建物全体の規模を考えると、まだほんの部にをつけただけだった。
昼過ぎ、5は今の作業量を確認するため、2階へがることにした。
階段には埃がく積もり、すりは錆びついていた。1が先に懐灯を向け、元を確認しながら、残りのメンバーが慎に続いた。
2階も1階ときく変わらなかった。
病の扉はれかけ、古い具が倒れ、廊には割れた蛍灯の破片が散っていた。
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