みかん小説
本棚

"床下に消えた29年" 第4話

顔の部分はく切り取られ、誰が写っていたのか分からないようにされていた。

捜査員は写真の裏面と装、周囲の物を確認した。

そして、1994事件ファイルに残されていた妙子の写真と比較した。体格や髪形、着ていたの特徴から、切り裂かれていた女性が妙子である能性がいと判断された。

の女性。

箱に入っていた医療カード。

顔を切り裂かれた写真。

ばらばらだったがかりは、しずつ同じ物へ集まり始めていた。

男はなぜ、妙子の写真を持っていたのか。

そして、なぜ彼女の顔だけを消そうとしたのか。

答えは、ベッド脇のさな引きしに残されていた。

捜査員がベッドサイドテーブルの引きしをけると、奥から作りの記が見つかった。

販の帳ではなく、ばらばらのを糸で綴じ、表と裏をで挟んだだけの粗末なものだった。表には題名も名かれていなかった。

ページをくと、記録の仕方は定していなかった。

付がかれているページもあれば、数の言葉だけが残されているページもあった。跡も、って読みやすいものから、のまま殴りきしたようなものまできく変化していた。

の記述には、孤独や体調へのが断片かれていた。

が痛むこと、眠れないこと、誰とも話さないが続いたこと。

広告

買い物や候についてのい記録が、い空を挟みながら並んでいた。

しかし、1990代半ばにかれた部分だけは内容が異なっていた。

そこには、1の女性への執着が繰り返し記されていた。名が直接かれていないページでも、れていこうとする相へのりと、関係を終わらせることへの拒絶が読み取れた。

文章は次第に乱れていった。

を責める言葉、自分だけが裏切られたと訴える言葉、相を認めようとしない言葉が続いていた。穏やかな活を送っていた老の姿とは結びつかない、激しいに残されていた。

捜査員はページをめくりながら、1994の記述でを止めた。

その文字は震えるように歪み、く押しつけられた圧によっての裏側にまで跡が残っていた。そこには、い1文だけがかれていた。

「もう彼女は逃げることができない」

捜査員はそのページを閉じず、しばらく文字を見つめた。

妙子の届が提された期と、ほぼなる記述だった。偶然の言葉として片づけるには、の遺体とあまりにも直接につながっていた。

記は捜査の転換点になった。

これまで警察がにしていたのは、の遺体と妙子の医療カード、そして傷つけられた写真だった。記の記述が加わったことで、災でした男と妙子のに、確な個関係があった能性がまった。

広告

戸籍や過民記録、の登記に関する調査がめられた。

男はこの、別の姓を名乗って暮らしていた。を購入した際にも母親の旧姓を使い、自分の過とのつながりをに断っていたことが分かった。

そして、戸籍の記録から男の本当の元が確認された。

災でした齢男性は、志夫。

1994に志妙子と婚した元夫だった。

捜査の机に、2の戸籍資料と古い事件のファイルが並べられた。

妙子が姿を消したのは、夫との婚が成した直だった。夫もその、以居から姿を消し、誰にもき先を告げないままの古民へ移っていた。

たちは、夫がれたで暮らしているとっていた。

妙子の親戚も、彼が岐阜県のにいることをらなかった。2の過る者は、夫がこれほどくに潜み続けているとは像していなかった。

古民は、目を避けるには都のよい所にあった。

隣の々とは距があり、から内部の様子を見ることはできなかった。集落へ続くを通るなく、訪問者がなければ、で何が起きても気づかれにくい環境だった。

夫がいつこのを購入したのかを調べると、妙子の失踪と期だった。

活のために偶然選んだなのか、それとも最初から誰かを隠す目があったのか。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: