"9,000億円の離婚届" 第9話
、私の収入に支えられながら、私をただ働きの政婦として扱ってきた。そので、私の父のを利用した老のを語っている。
「だから、ゆみさん。本当の通帳をしなさい。あなたのパートの貯も、全部置いていきなさいよ」
私は静かにしゃがみ、に落ちた髪飾りを拾った。壊れた具が指先へ刺さったが、痛みはじなかった。
「お義母さん」
い声で呼ぶと、子の肩がわずかに揺れた。
「あのは浩司さん名義です。でも、と毎のローンの半を払ってきたのは誰ですか」
「何を言ってるの。妻のは夫のものでしょう」
「そうですか。でも、もうあのを担保にしてを借りることはできません」
子は眉をひそめた。
「今、弁護士へ依頼し、の処分を止める法続きへ入りました。つまり、を売って級マンションを買うは終わりです」
子の顔から血の気が引いた。
「ふ、ふざけないで。浩司に言って、すぐ取り消してやるわ」
「許されるかどうかは、親族会議で話しましょう。親戚の皆さんので、全てをらかにします」
私は玄関をけた。
「お引き取りください。ここは、私のです」
子は悔しそうに私を睨んだが、何も言い返せず、逃げるようにていった。
扉を閉めて鍵をかけると、壊れた髪飾りを両で包み込んだ。
絶対に許さない。
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彼らが切にしていると見栄と、歪んだ誇り。その全てが、自分たちの欲によって崩れる瞬を、私は見届ける。
翌朝、私は所のスーパーへ特売品を買いにていた。
アパートを空けたのは、わずか30分ほどだった。買い物かごへ野菜を入れたところで、弁護士から緊急のメッセージが届いた。
『今すぐアパートへ戻ってください。浩司さんが管理会社へ偽造した委任状を提し、勝に鍵を交換しようとしています』
のが真っになった。
私は商品を元の棚へ戻し、り始めたのをった。傘も差さず、たまりを避ける余裕もなく、息を切らしてアパートへ戻った。
古い鉄の扉はきくけ放たれ、見らぬ業者がしい鍵を取り付けていた。
そのには、腕を組んでつ浩司がいた。隣では、美穂が赤い傘を差していた。
「あ、浩司さん。奥さんが帰ってきたみたいですよ」
美穂が濡れた私を指さし、笑った。
浩司はを鳴らし、ゆっくりづいてきた。
「遅かったな、ゆみ。この部の賃貸契約は、俺が解除してやった」
「勝なことをしないで。ここは父の――」
「うるさい。俺は親父さんの正当な内だ。おみたいなのおかしい女に任せておけないから、代わりに続きをしてやったんだよ」
「正当な内ですって? 父を3も見捨てておいて――」
私の言葉を遮るように、浩司は元の箱を蹴った。
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鈍い音をて、箱がのたまったコンクリートのを滑った。父が押入れの奥へ切にしまっていた、鍵つきの古い箱だった。
「おがの差し押さえなんてふざけた真似をするからだ」
浩司は血った目で私を睨んだ。
「親父の本当の遺産は、このにあるんだろう。通帳か権利か。おが隠し持っているとったが、やっぱりこの部にあったな」
浩司は偽造した委任状で管理会社を騙し、私がいない隙を狙って父の部へ入ったのだ。
「それ以、父のものに触らないで」
私が箱へを伸ばすと、浩司は肩をく突きばした。
バランスを崩し、私はに濡れたアスファルトへ倒れ込んだ。のひらに砂利がい込み、赤い血が滲んだ。
父は、私が転ぶといつも真っ先に駆け寄ってくれた。
『痛かったな。丈夫か』
そう言って、を払いながら抱き起こしてくれた。
しかし28連れ添った夫は、倒れた私をたい目で見ろすだけだった。を差し伸べるどころか、端のでも見るような目をしていた。
その瞬、この男のには、わずかな慈すら残っていないのだと悟った。
「これは俺が会社を作るための切な資だ。の差し押さえを取り消さないなら、この箱は俺がもらう」
浩司は箱を抱え、美穂の傘へ入った。
「、俺ので親族会議をく。
親戚を全員集めてやる」
勝ち誇った声で宣言する。
「そこで差し押さえを取り消す類にサインしろ。
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