"9,000億円の離婚届" 第12話
叔父が尋ねると、子は顔を赤くして線を逸らした。
私は浩司へ向き直った。
「それから浩司さん。あなたのお目当てのものは、本当に箱のにありませんか」
「何を言ってる。は切だけだ」
「底を、よく見てください」
浩司は箱を持ちげた。
底板は自然にくなっていた。浩司の目に、再び欲いが浮かんだ。
板の隙へ爪をて、力任せにす。
いが割れる音が響き、底から茶い封筒が現れた。
「あった。やっぱり隠していたな」
浩司は狂し、封筒を奪った。
「これで俺の会社は泰だ。いくらの権利が――」
の類を広げた瞬、言葉が途切れた。
顔から全ての表が消え、気へ変わっていく。を持つが、激しく震え始めた。
「こ、これは……どうして……」
「く見せなさいよ」
子が覗き込もうとすると、浩司は類を胸へ抱き込んだ。
「お、をっていたのか」
「父から、で教えてもらいました」
私は静かに答えた。
「あなたが7、会社のを横領した証拠類です」
恐ろしいほどの静寂が部を包んだ。
「浩司、それは本当か」
叔父の鳴り声が響いた。
浩司は首を激しく振った。
「違う。ゆみが作った偽物だ」
叔父はちがり、浩司から類を奪った。老鏡をかけ、内容へ目を通す。
「私は佐藤浩司が、会社の資を個な投資へ流用したことを認めます……。
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浩司、おの署名と実印があるじゃないか」
親戚たちが息をんだ。
「嘘よ。ゆみさんの父親が、浩司を陥れるために作ったのよ」
子がすがりついた。
「子さん、現実を見なさい」
叔父は2枚目の類を突きつけた。
「これは当の会社の裏帳簿の写しだ。浩司の署名も会社の印もある。ゆみさんの父親が偽造できるものではない」
子は畳へ座り込んだ。
7、会社のを使い込んだ浩司は、私の父へ泣きついた。父は私を犯罪者の妻にしたくないといういから、定期預を解約し、横領分を補填した。
会社には親族からの借り入れで処理したと説し、浩司は処分を免れた。しかし父は、自認と帳簿の写しを箱へ封印していた。
「父は、あなたを許したわけではありません」
私は浩司へ言った。
「いつかあなたが私を裏切った、全てをらかにするために残していたんです」
浩司は肩を落とし、両で顔を覆った。
「俺は、あの貧乏な管理に、ずっとかされていたのか……」
漏れたのは反省ではなく、見していたに救われていたという屈辱の声だった。
その、美穂がちがった。
「会社のを横領したって、どういうことですか」
「美穂、違う。昔のことで、もう解決している」
浩司がを伸ばすと、美穂は汚いものを見るように払いのけた。
「触らないで。会社のおを盗むと緒に起業なんてできません。
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私まで共犯だとわれるじゃない」
「待ってくれ。おがいなくなったら、俺のしい会社は――」
「1でやればいいでしょう」
美穂はバッグをつかみ、乱暴に部をていった。
浩司がおも位もないとった瞬、あっさり見捨てたのだ。
「美穂さん、待って。私の温泉は? エステはどうなるの?」
子の声に、誰も答えなかった。
浩司は顔をげ、血った目で仮処分の取りげを指さした。
「それでも、このは俺のだ。横領の証拠があろうが、美穂がいなくなろうが、俺はおと婚する」
婚届を私へ突きした。
「これを役所へし、を売れば俺はやり直せる。慰謝料なんて1円も払わない」
「婚には同します」
私が答えると、浩司は勝ち誇るように笑った。
「やっと負けを認めたか」
その直、弁護士がちがった。
「慰謝料の配など、ゆみさんには必ありません」
浩司が顔をしかめた。
「何だ、おは。葬儀が族の問題へをすな」
さんは弁護士の名刺を、叔父へ渡した。
「私はゆみさんの代理であり、くなられたお父様の遺言執者です」
「弁護士……」
親戚たちがざわめいた。
叔父が尋ねた。
「先。ゆみさんは、このを追いされて無文になるのですか」
「ご配には及びません。このの価値など、ゆみさんが相続する財産に比べれば、無に等しいものです」
さんは鞄から分いファイルをし、テーブルの央へ置いた。
「浩司さん。
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