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"9,000億円の離婚届" 第14話

「その点で婚届は提済みでした。それに箱は、お父様からゆみさんが相続した所物です」

「あんなもの、古い切しか入っていなかった。価値なんてない」

「価値の問題ではありません。の所物を、暴力を用いて奪った為が問題なのです」

浩司は完全に言葉を失い、畳へ両をついた。

自分が9,000億円という財産を逃しただけでなく、自ら犯罪の証拠を作ったことへ、ようやく気づいたのだ。

けない男だ」

叔父がいため息をつき、がった。

「会社のを横領し、を作り、妻の父親の遺産を狙って棒まで働く。おとして終わっている」

の親戚も無言でがった。

「待ってください。浩司は騙されたんです。悪いのは全部この女で――」

子が叔父の袖へすがった。

叔父は、そのを振り払った。

子さん、あなたも同罪だ。嫁を政婦のように扱い、息子の悪事へ加担した」

叔父は私の方へ向き、げた。

「ゆみさん。本当に申し訳なかった。私たちも々気づいていたのに、見て見ぬふりをした」

そして子へたく告げた。

「もう、うちの親族の敷居をまたがないでくれ。おたちとは絶縁だ」

子は畳へ座り込み、泣き声をげた。しかし、誰も慰めなかった。

親戚たちは次々に部ていった。残されたのは、私とさん、そして全てを失った浩司と子だけだった。

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私はバッグから黒いカードを取りした。

「浩司さん。これが京駅のビルのマスターキーと、特別座のカードです」

浩司の目が吸い寄せられた。

目のには9,000億円の鍵がある。しかし、彼には触れることさえ許されない。

「あなたは父の遺産が、現や通帳だとい込み、箱を奪った。でも父は、あなたの欲さを全て見抜いていました」

カードを指先で撫でる。

父のぬくもりが、そこに残っている気がした。

「父は私を守るために財産を残し、あなたが自分で底をけたに、全てが終わるように仕掛けたんです」

私は浩司の目を見た。

「あなたは、自分で自分の首を絞めたのよ。私を捨て、美穂さんとしい会社を作ろうとした。その欲が、あなたを獄へ落としたんです」

浩司は両を抱え、畳へ額をつけた。

獣のようないうめき声が響いた。謝罪ではなく、全てを失った絶望の声だった。

きましょう、

私はがった。

このには、もう何の未練もない。2の惨めな姿を見ても、びは湧かなかった。

ただ、い悪から目覚めたような堵だけがあった。

、私はさんとともに浩司の会社を訪れた。目は、浩司へ会うことではなく、法務部へ横領の証拠を提するためだった。

法務部類を確認すると、顔を変えた。

「7、確かに使途が問題になりました。

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佐藤は親族から借りて全額補填した、単なる会計のミスだと説していました」

、父が会社へ向き、浩司の代わりにげ、現を渡した記録も残っていた。

さらに法務部は、浩司が会社のために、顧客名簿を正に持ちそうとしていた疑いもかした。

「今回の証拠とわせ、懲戒解雇を含む厳しい処分になるでしょう」

その、部から浩司の叫び声が聞こえた。

「部に会わせてください。横領なんて、でたらめです」

警備員に止められた浩司は、髪を乱し、皺だらけのスーツ姿でっていた。かつてのエリートを気取った面はなかった。

私を見ると、警備員のを振りほどこうとした。

「ゆみ、頼む。その類を取りげてくれ。横領が発覚したら、退職ない。借だけが残る」

社員たちが見守るへ膝をついた。

「おは9,000億円を持っているんだろ。1,000万円や2,000万円くらい、いものじゃないか。昔のことはに流してくれ」

自分の罪を反省するのではなく、私のへすがるだけだった。

私は浩司を見ろした。

「父が、どんないであなたのために会社へげたか、考えたことがありますか」

浩司は言葉に詰まった。

「父は私をしませないために、切なを使ってあなたを守った。でもあなたは、父がぬのを待ち、最まで馬鹿にした」

私は静かに続けた。

「あなたは全てを失ったんです。も、も、仕事も、族も。

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