みかん小説
本棚

"51%の警備員" 第11話

松蔵は黙って聞いていた。

「内容を調べるべきだと分かっていました。それでも、私は自分のを守りました」

監査げた。

「どのような処分でも受けます」

松蔵は辞表を受け取らなかった。

「破られたは残っているか」

「ごみ箱から回収しました」

監査は、透な袋へ入れた2枚の片を差しした。

松蔵がいた最の警告だった。

央で乱暴に破られていたが、文字は読むことができた。

「なぜ回収した」

「捨ててはいけないといました。しかし、告発する勇気もありませんでした」

松蔵は片を見つめた。

「ならば、これから証言しなさい」

監査が顔をげた。

「辞めて逃げるのは簡単だ。自分が何を見て、なぜ黙ったのか、すべて第者委員会に話せ」

「それで、許していただけるのですか」

「許すかどうかは、そのに考える」

松蔵の声は厳しかった。

「だが、会社を正すために必な責任を果たすに、辞表1枚で逃げることは許さん」

監査は涙をこらえながら、げた。

方、弁護士と第者委員会は、貴彦が使用していた端末と役員の資料を調査した。

削除されたメール。

架空のコンサルティング契約。

座への送指示。

仙台の売却、関係者へ利益を分配する計画表。

証拠は次々に見つかった。

そのには、警備や清掃の齢社員を解雇した、貴彦のが経営する委託会社と額な契約を結ぶ計画も含まれていた。

広告

件費削減という説は嘘だった。

成グループが支払う総額は、直接雇用を続けるよりくなる予定だった。その差額の部が、貴彦の関係者へ流れる仕組みになっていた。

齢者を切り捨てることさえ、私腹を肥やす段に利用していたのだ。

調査始から2週、第者委員会は報告を公表した。

正流額は、当初判していた87億円をきく超えた。

関連する取引を含めると、被害総額は126億円に達する能性があった。

成グループは、貴彦と関係者に対する損害賠償請求を発表した。

に、特別背任や横領の疑いがあるとして、すべての資料を捜査関へ提した。

そのの夕方。

本社には報陣が集まっていた。

黒塗りのからりた貴彦は、弁護士に囲まれながら建物へ入ろうとした。しかし、受付で入館を止められた。

「株主として説を求めに来た」

「事の許がありませんので、お入りいただけません」

「ここは俺の会社だ!」

ロビーに声が響いた。

その、奥から松蔵が歩いてきた。

警備ではなく、古い背広姿だった。

貴彦は松蔵を見るなり、声を荒らげた。

「全部、おが仕組んだのか!」

「仕組んだのは、おだ」

松蔵はち止まった。

「俺は、おが残したものを拾っただけだ」

「祖父の株を使って、会社を奪った!」

「俺が株を使ったのは、会社を守るためだ」

広告

「きれいごとを言うな。結局、と権力が欲しかったんだろう!」

松蔵はしばらく貴彦を見つめた弁護士へ線を向けた。

弁護士は、信託座の資料をいた。

川氏は12、配当を1円も私に使用していません」

そのにいた記者たちがざわめいた。

「累積配当と運用益は、現約420億円です」

貴彦の顔がこわばった。

「その全額について、川氏は本たな使途を決定しました」

成グループは緊急記者会見をいた。

会見央には、松蔵が座っていた。

価な腕計も、仕てのよいにつけていない。昨まで警備で働いていたと同じ、古い背広姿だった。

記者から最初にんだ質問は、420億円についてだった。

川さんは、これまで受け取らなかった配当をどうされるのですか?」

松蔵はマイクをづけた。

「俺ひとりが使うには、すぎるです」

さな笑いが起きたが、松蔵は表を変えなかった。

「このは、夫から預かった宿題でした。会社がを忘れたに使えと言われたです」

松蔵は準備された文ではなく、自分の言葉で話し始めた。

420億円のうち、200億円は成グループ従業員支援基へ拠する。

社員とその族の医療費、介護費、奨学、災害活支援に使用する。

100億円は、仙台の設備更全対策へ充てる。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: