"51%の警備員" 第12話
災で正雄を失った経験から、古い設備と全対策の遅れを度と放置しない。
50億円は、協力会社の技術継承と若職の育成へ。
残る70億円は、業績悪化にも非正規社員や齢社員を簡単に切り捨てないための雇用定基にする。
「あなた自のためには、いくら残すのですか?」
別の記者が尋ねた。
松蔵はし考えた。
「警備員として受け取る予定だった退職だけで分です」
会見が静まり返った。
「慰労300万円のことですか?」
「はい」
「420億円をかせる方が、300万円だけ受け取るのですか?」
「俺が30働いた分ですから」
松蔵は、当たりのことのように答えた。
「もらいすぎても、恵美にられます」
その言葉に、会の空気がしだけらいだ。
松蔵はさらに、警備、清掃、施設管理部の解雇通をすべて撤回すると発表した。
ただし、以と全く同じ体制へ戻すわけではなかった。
現の齢化を放置せず、若の採用と技術継承をめる。希望者には再教育をい、体力に厳しい者は監業務や教育へ配置転換する。
「寄りだから切るのではなく、そのが積みげてきたものを次へ渡す仕組みを作ります」
松蔵は言った。
「は、古くなった械部品ではありません」
記者会見の映像は、そののうちに全国へ広がった。
30警備員として働いた創業者。
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会社を救うために持ち分を放した男。
51%の議決権と420億円の配当を持ちながら、都営宅で孫娘の弁当を作り続けていた老。
世は驚いた。
しかし、松蔵にとって最も緊張する瞬は、会見を終えてへ帰っただった。
恵美が、居で腕を組んで待っていた。
「おじいちゃん」
「ただいま」
「テレビにてた」
「そうらしいな」
「420億円って何?」
松蔵は靴を脱ぎながら、困った顔をした。
「し説がくなる」
「しじゃないでしょう!」
恵美は頬を膨らませた。
「うち、お持ちだったの?」
「を預かっていただけだ」
「じゃあ、どうして私の自転、古なの?」
「まだ乗れるからだ」
「スマホも古いんだけど」
「話はできる」
「この、になると窓からが入るんだけど」
「聞を詰めれば止まる」
恵美はしばらく祖父をにらんでいた。
やがて、こらえきれなくなったように笑いした。
「やっぱり、おじいちゃんはおじいちゃんだね」
「そうだよ」
「でも、ひとつだけ約束して」
恵美は真剣な顔になった。
「もう無理して、全部ひとりで背負わないで」
松蔵は答えられなかった。
正雄を失ってから、恵美を守ることだけを考えてきた。会社の荷も、のしみも、自分が背負えばいいとっていた。
恵美はそんな祖父のを握った。
「今度は私もいるから」
松蔵はゆっくりとうなずいた。
「そうだな」
その夜、2はいつものさな台所で、し焦げた卵焼きをべた。
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活は何も変わらなかった。
ただ、松蔵の肩に乗っていた30分の荷が、ほんのし軽くなっていた。
第者委員会の最終報告が公表されたのは、取締役会から3かだった。
貴彦が主導した正取引は、期にわたって計画にわれていた。
架空契約。
当な単価の引きげ。
法を利用した資移。
仙台の正な売却計画。
調査に協力した関係者の証言と子データが揃い、成グループは貴彦へ126億円の損害賠償を請求した。
貴彦名義の産、投資座、級は仮差し押さえとなった。
やがて捜査関がき、貴彦は特別背任などの疑いで逮捕された。
連される、彼は報陣へ向かって叫んだ。
「全部、会社のためにやったことだ!」
だが、その言葉を信じる者はいなかった。
会社のためにしたは、自分のと持ち分を差しした。
自分のためにしたは、会社のと社員を差しそうとした。
その違いは、誰の目にもらかだった。
貴彦の父である現会は、い療養の末、識を取り戻した。
言葉は以のように滑らかにはなかったが、会社で起きたことをしずつ理解していった。
ある、会は子で松蔵のもとを訪れた。
所は会ではなく、1階の警備だった。
松蔵は、かつて自分が使っていた子へ会を座らせ、コップにインスタントコーヒーを入れた。
「父から、あなたのことは聞いていました」
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