"8年目の遺失物" 第7話
警察は当、その国を通る能性のあった運送会社や農を調べた。確認には1週以かかったが、やがて梨県で農産物の運搬をしていた元運転から連絡が入った。
男は話で、声を震わせながら言った。
「私が、あの夜その女性を乗せました。話さなければとっていましたが、事件に巻き込まれるのが怖くて言えませんでした」
男は斎藤という当46歳の運転だった。警察署へ現れた斎藤は、きな体を縮めるように子へ座り、子を両で握った。
あの夜、梨方面へ向かっていた斎藤は、国沿いに1でつ女性を見つけた。夜遅く、若い女性が着でいることを審にい、トラックを止めたという。
女性はすぐにづき、助席側のドアを叩いた。声はひどく震え、何度もろを振り返っていた。
「どこまでくんですか」
斎藤が尋ねると、女性はさな声で答えた。
「甲府まで、お願いできますか」
斎藤は甲府方面へ向かう途だったため、女性を助席へ乗せた。移、女性はほとんど何も話さず、窓のを見つめ続けていた。
甲府の部へ入ると、女性はきなのくでろしてほしいと言った。トラックが肩へ止まると、女性はく礼を述べ、暗いへ歩いて入っていった。
斎藤が覚えていたのはそこまでだった。
渡辺は甲府側の警察へ協力を求め、周辺の旅館や簡易宿泊所を調べた。
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裕子の分証はバッグに残されていたため、本名義の正式な記録がない能性も考慮した。
聞き込みを続ける、古い旅館を営む齢の女将が、裕子の写真を見て考え込んだ。
「このかどうかは分かりませんが、その頃、若い女性が1週ほど泊まっていました」
女性は名をかさず、宿泊代を払いした。数がなく、昼はほとんどへず、部で静かに過ごしていたという。
ところが約1週、女性は突然いなくなった。部には荷物もなく、机のにさなだけが残されていた。
渡辺が、そのをまだ保管していないかと尋ねると、女将は奥の部へ入り、古い箪笥をい探した。やがて、折れ目のついたさなを持って戻ってきた。
には2だけかれていた。
「ここまで来させてくださり、ありがとうございます。今、私が解決しなければならないことができました」
跡鑑定の結果、その文字も裕子のものである能性がいとされた。
裕子は単に夫から逃げ、を隠していたのではなかった。甲府で何かを確かめ、誰かと向きおうとしていた。
それから数か、渡辺の机のに、差の名がない封筒が置かれた。消印は梨県甲府で、宛名は渡辺個へ向けてかれていた。
封筒のには、2枚の便箋が入っていた。
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渡辺は最初の1を読み、子からちがることもできないまま、を見つめ続けた。
「私は岡田裕子です。きています」
は、落ち着いたはっきりとした文字でかれていた。
裕子は19978の夜、夫にはらせず、松本さゆりと会う約束をしていた。さゆりに迎えに来てもらい、しばらく別の所で暮らしながら、誠との結婚について考え直すつもりだった。
富士川サービスエリアへ到着した、裕子はバッグを持ってトイレへ向かった。しかし途で、ろから誠がついてくる気配をじた。
夫がなぜ自分を追ってくるのか分からず、裕子は恐怖を覚えた。のい通から方向を変え、建物の裏にある暗い所へを隠した。
売の従業員が見た子の男性について、裕子はので詳しく触れていなかった。ただ、サービスエリアで何者かに声をかけられ、そのをれるためにに同したことが示されていた。
裕子はバッグを、さゆりが見つけられる所へ置いた。財布と分証を残したのは、自分がすぐに元の活へ戻るつもりがないことを伝えるためだった。
同に、を選んだのではないことも伝えたかった。
しかし、誠がくにいるかもしれないという恐怖から、約束した所へくことができなかった。さゆりのを探すこともできず、の目を避けながらサービスエリアのへた。
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