"兄の嘘、妹のリボン" 第4話
「まだ触らないでくれ。俺には耐えられない」
幸子は、息子が妹を誰よりも恋しがっているからだとった。部や遺品のに、拓也が隠したいものがあるなど、考えもしなかった。
京での拓也は、さらにきな嘘をねていた。
周囲には名学の学として振るい、学名を利用して企業のとも交流していた。恋にも、自分はその学へ通っていると説していた。
ところが、誰かが学部や授業、同級の話をすると、拓也は巧みに話題を変えた。具体な質問には曖昧な言葉で答え、自分の嘘が見抜かれないよう警戒していた。
実際には、拓也はその学へ入学していなかった。
受験に失敗し、志望していた学のをくぐることはできなかった。それでも、両親の期待と町の々から向けられる尊敬を失うことが怖く、本当のことを言えなかった。
拓也は学証と成績証を偽造した。
学の授業料という名目で両親からを受け取り、通ってもいない学へ毎くふりをした。図館や学周辺でを過ごし、完璧な学活を演じ続けた。
偽造類を作ったのは、印刷関係の仕事をしていた渡辺浩司だった。
渡辺は拓也のみをると、その秘密を将来利用できると考えた。すぐに関係を切らず、必なにを引きせる材料として、偽造の記録を密かに残していた。
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拓也が命がけで守っていたのは、名学の学という肩きだった。
そして幸は、くなる直、その嘘へ気づいていた。
事件の数、幸は兄の誕プレゼントを渡すため、両親にはらせず京へ向かった。数か、コンビニのアルバイト代をしずつ貯め、兄が欲しがっていた品物を買っていた。
驚かせようとい、学の受付で兄を呼びそうとした。
しかし、学に拓也という学はしなかった。
受付でも学課でも、拓也の名は確認できなかった。幸は何度も聞き直したが、答えは同じだった。
普通なら、兄に騙されたことへりをじても議ではなかった。
ところが幸が最初に抱いたのは、りではなく配だった。兄に何か事があり、助けを求められずに苦しんでいるのではないかとった。
幸は帰宅、すぐに両親へ告げることをしなかった。
兄へ直接尋ね、何が起きているのかを確かめようとした。その優しさが、自分を危険へづけているとはらなかった。
事件から4が過ぎた2018の、何も延期されていた域の再発が、正式に始まることになった。を含む古い宅は取り壊され、民たちは期限までにち退かなければならなくなった。
幸子は、娘との記憶が残るをれる決がつかずにいた。
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しかしが入る程が決まり、先延ばしにしていた部の理へをつけるしかなかった。
最初に片づけたのは幸の部だった。
机の引きしをけるたび、娘の跡や使いかけの文具が現れた。幸子は何度も作業を止め、胸へ抱きしめるように遺品を箱へ入れた。
その、かつて拓也が使っていた部へ入った。
部には古い机と作り付けの棚が残されていた。幸子が棚のを拭きながら、井にい奥へを伸ばした、指先に固いものが触れた。
子を持ってきてへ乗り、奥を覗き込むと、茶く変した封筒が押し込まれていた。何もの粘着テープで巻かれ、簡単にはけられないよう封印されていた。
幸子は子からり、机のへ封筒を置いた。
い閉じ込められていたと埃のにおいが漂った。なぜこれほど厳に隠されているのか分からず、胸の奥に嫌な予が広がった。
震える指でテープを剥がすと、から学の学証と成績証がてきた。
どちらにも拓也の名と顔写真があったが、の質や印刷の部に自然な箇所があった。さらにそのから、学が発した正式な通が現れた。
通には、拓也が入学資格を得ていないことを示す内容が記されていた。付は、幸がくなる以のものだった。
幸子は文字を追ううちに、っていられなくなった。
息子は名学へ通っていなかった。
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