"兄の嘘、妹のリボン" 第6話
捜査員が周囲を調べると、渡辺と拓也は事件にも連絡を取りっていた。
事件の数、拓也は偽造した学証と成績証の部を作り直すよう、渡辺へ急いで依頼していた。幸が学で兄の嘘に気づいた期と、類を作り直した期はなっていた。
の輪郭が見え始めた。
妹に嘘をられた拓也が、偽りの学活を守るため、発覚を防ごうとした能性がある。
伊は拓也へ参考としてするよう請した。
10、取り調べへ入ってきた拓也は、4とほとんど変わらない落ち着いた様子を見せた。伊が偽造された学証と学の通を机へ置いても、表を崩さなかった。
「学へけなかったことが恥ずかしかっただけです」
拓也は類を見ろしながら、淡々と答えた。
「両親を失望させたくなくて、嘘をつきました。それは認めます。でも、妹のとは関係ありません」
拓也は、学歴を偽ったことと妹を殺害したことのへ、はっきりと線を引いた。むしろ、学歴詐称を理由に自分を殺犯として扱う警察の方が違っていると主張した。
取り調べを終えると、拓也は弁護士を通じて域のメディアへ報を流した。
「くなった妹を、警察がもう度傷つけている」
遺族である兄を犯扱いする残酷な捜査だという印象を広め、世論を自分に利な方向へかそうとした。
広告
両親も混乱した。
父親は息子を信じ、警察へく抗議した。娘を失ったに、残った息子まで奪われてはきていけないと訴えた。
幸子だけは、何も言えなかった。
娘の最のメッセージと、拓也が隠していた偽造類。その2つがのでつながり、息子を完全に信じることができなくなっていた。
拓也は経験豊富な弁護士を雇った。
弁護士は、4の証言は記憶が曖昧であり、保期を過ぎた映像にも管理の問題があると主張した。証拠品も期保管されているため、汚染の能性があると反論した。
特に警察が注目していたのは、幸が握っていた誕プレゼントのリボンだった。
4の鑑定では、被害者以の力な痕跡を検できなかった。だが技術が歩した今なら、結び目の内側からしい証拠が得られる能性があった。
弁護士は、それを予測したように先回りした。
「兄へ渡すためのプレゼントです。仮に拓也さんのDNAがても、庭内で触れたに自然に付着した能性があります」
族という関係を盾にし、証拠のを無力化しようとした。
実際、ただDNAが見つかっただけでは、犯に付着したものだと断定することは難しかった。
その頃、渡辺は拓也が追い詰められていることに気づいた。
偽造の事実を話されたくなければを払えと、仲介者を通じて拓也へ求した。
広告
自分の持つ秘密を、最にへ変えようとしたのだった。
拓也は残っていたを集め、止めしようとした。
しかし渡辺は、拓也からを受け取りながら、警察へも報を売ろうとしていた。双方を利用し、よりくの利益を得ようと考えていた。
伊は渡辺のきをり、事聴取をねた。
渡辺は最初こそ言葉を濁したが、自分も偽造や脅迫の責任を問われるとらされると、しずつ拓也との関係を話し始めた。
「妹が学へったらしいと言っていました」
渡辺は落ち着かない様子で指を組んだ。
「自分のことがばれたかもしれないから、学証を作り直してほしいと。とにかく急いでいるようでした」
その証言は、幸が兄の嘘へ気づいた直、拓也が秘密の発覚を恐れていたことを示していた。
しかし決定な証拠には、まだ届かなかった。
再捜査がんでいることをった拓也は、証たちへもを伸ばし始めた。
最初に態度を変えたのは、だった。
当初は、拓也から学証を預かり、席を見ていたと確に証言していた。ところが再度の事聴取では、4のことなので記憶が定かではないと言い始めた。
「頼まれたような気もしますが、別のだったかもしれません」
伊はの線が落ち着かないことに気づいた。
「回は、事件当だとはっきり話していましたね」
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
最終列車で消えた18歳
昭和63年、廃線前夜の最終列車に乗った18歳の娘が、途中で姿を消した。 終点に着いた車内には、旅行鞄と赤いマフラーだけが残されていた。 鞄の上には、駅長の父へ宛てた短い手紙。 《お父さんの決めた人生には戻りません》 娘は名古屋の短期大学へ進学する予定だったが、父は直前になって猛反対していた。 それから35年、娘の行方は分からないまま父は亡くなった。 翌年、解体中の旧駅で、伝言板の裏から薄い鉄箱が見つかる。 中には娘の受験票、12通の手紙、診断書、通帳、そして古い録音テープ。 受験票の裏には、失踪8日後の日付でこう記されていた。 《本人来校。入学辞退の意思なし》 ところが、その2日後には父の署名入りの辞退届が提出されていた。 さらに鉄箱から出てきた最終列車の切符には、改札鋏の痕が一つもなかった――。ミステリー|真相|行方不明1.6万字5 33 -
完結第11話
卒業3か月前に消えた娘
1995年11月、卒業まであと3か月だった富山大学4年生・大山蓮子が、突然消息を絶った。 家には財布も読みかけの本も残されていた。ところが、半年以上かけて集めた卒業論文の取材資料だけが、すべて消えていた。 蓮子は都市開発で土地を手放した住民たちを訪ね、補償金の記録を調べていた。失踪前、友人には「土地のお金を調べていたら、生きている人たちの話が出てきた」と漏らしている。 下宿に残された地図には、土地買収が行われた3つの地域を示す赤い丸。そして古い行政資料から浮かんだ担当者の名前は、失踪前夜に蓮子と口論していた叔父・達夫だった。 達夫には完璧なアリバイがあり、捜査はやがて縮小される。しかし6年後、赤い丸がつけられた土地の工事現場から、二重の袋で守られた2枚の書類が見つかった。 余白には蓮子の筆跡で、こう記されていた。 《単価に不自然な変更あり》 そして最後に――《担当者 大山達夫》。ミステリー|真相|行方不明1.6万字5 982 -
完結第11話
合格発表の日、父は消えた
2003年3月8日、19歳の佐伯千春は第一志望の大学に合格した。ところが、その夜に祝うはずだった父・正雄は、勤務中のタクシーと黄色いチューリップだけを残して姿を消す。 車内には千春の合格通知書があり、料金メーターに残された最後の走行距離は43キロ。しかし、なぜか運賃は「0円」だった。さらに父のロッカーからは、《千春には大学を諦めてもらうしかない》と書かれたメモまで見つかる。 多額の借金を知った千春は進学を断念し、父に捨てられたという思いを抱えたまま20年を生きてきた。 2023年、廃業したタクシー会社の倉庫から、父が最後に運転した27号車が発見される。壊れた料金メーターを解析すると、正雄が失踪前の18か月間、毎月同じ施設から同じ乗客を乗せ、東京まで運んでいた記録が残されていた。 そして後部座席から見つかったのは、《佐伯千春》と印刷された一枚の生徒証。しかし、そこに写っていた少女は千春ではなかった。父はなぜ、見知らぬ少女へ娘と同じ名前を与え、合格発表の日に彼女を乗せたのか――。ミステリー|真実|真相1.6万字5 1311 -
完結第12話
消印は失踪の3日後
1996年、岐阜県北部の山あいの町で、配達中の女性郵便局員・小沢真紀が突然姿を消した。 郵便バイクは旧バス停のそばで見つかり、翌朝には河原で制服帽も発見された。警察は川への転落を疑ったが、真紀の姿はどこにもなかった。 それから25年後、閉鎖された旧郵便局の壁の中から、真紀の職員番号が書かれた郵便袋が見つかる。中には、亡くなったはずの人々に関する記録と、真紀が失踪3日後に投函した一通の手紙が残されていた。 そこに書かれていたのは、息子・拓海へ向けた不可解な指示。 「年賀状を全部調べて」 母は本当に川で消えたのか。なぜ死者の名前で年賀状が届き続けていたのか。そして父は、25年間何を隠していたのか。 届かなかった手紙が、長い沈黙の奥に封じられた真実を少しずつ暴いていく――。ミステリー|行方不明1.8万字5 270 -
完結第10話
27年後、娘は父の葬儀に帰ってきた
1995年、学校帰りの10歳の少女・美穂は、灰色の服を着た女に連れられ、そのまま姿を消した。 母・佐和子は27年間、娘の帰りを待ち続けた。だが夫の正人は、地域では「娘を捜し続ける父」として知られる一方で、どこか不自然な沈黙を守っていた。 そして27年後、正人の葬儀の日。 遺族席の佐和子の前に、見知らぬ大人の女性が現れる。彼女が差し出したのは、美穂が幼い頃になくしたはずの花形の髪留めだった。 「お母さん、迎えに来たよ」 再会のはずの言葉は、なぜか冷たかった。 娘はなぜ母を恨んでいたのか。失踪当日、母を学校から遠ざけた電話は何だったのか。そして、27年間隠され続けた手紙と書類が、家族の嘘を静かに暴き始める――。ミステリー|真相|行方不明1.5万字5 210 -
完結第10話
消えた母と2800万円
1998年12月25日、長野県の信用金庫で働く宮本佳代は、給料日の夜に突然姿を消した。 支店では2800万円が消えたと騒ぎになり、佳代は現金を持ち逃げした女性行員として扱われる。家に残された娘の奈緒は、母が用意していたクリームシチューとケーキを前に、帰らない母を待ち続けた。 3日後、千曲川の河原で見つかった母の靴と赤い囲巾。さらに東京行きの片道切符、夫の証言、不自然な借金整理――すべてが「母は家族を捨てて逃げた」と示しているように見えた。 それから23年後。 閉鎖された商店街の地下から、古い貸金庫が発見される。中に入っていたのは、佳代の印鑑、12冊の通帳、そして奈緒が生まれる前に作られたはずの“存在しない口座”だった。 母は本当に2800万円を盗んだのか。 あの夜、灰色の箱に入っていたものは何だったのか。 娘の奈緒が23年越しにたどり着いたのは、信用金庫、父、そして町全体が隠してきた、あまりにも残酷な真実だった――。ミステリー|真相1.5万字5 322