"喪服の隠し子" 第8話
父が義実で何を言ったのか、私は詳しく聞いていない。
ただ、そのの夜、義両親からタクへ相続放棄を勧めるという連絡が入った。
「もう、そちらのとは関わりたくありません」
義父は話でそう話した。
「ユキさんの遺産についても、タクに放棄させます」
自分たちが犯したことへの反省ではなく、父を恐れて関わりを断ちたかっただけだろう。
それでも、結果としてタクは妹の遺産を放棄した。
わずかな額であっても、妹のものをあの男へ渡さずに済んだ。それだけで私はし救われた。
私が成写真を持って義実へ乗り込んだ、庭側の窓が1か所いていたらしい。
ので繰り広げられた騒ぎは、へほとんど筒抜けになっていた。さらに所には奈々の友もんでおり、タクと奈々の関係、隠し子、病な妻を騙していたことまで広まった。
やがて、あのは「腹黒い」と噂されるようになった。
タクは職にも居づらくなり、仕事を辞めた。
義両親も所の線に耐えられず、3は逃げるように元をれていった。
奈々とも完全に連絡が取れなくなったらしい。
タクがどこへき、そのどのように暮らしたのか、私はらない。
りたいともわなかった。
妹を裏切ったが、自分の選択の結果を背負いながらきていけば、それでいい。
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騒から2かほど経った頃、奈々が突然、私たちの実へ姿を現した。
玄関先につ奈々は、以義実で見たよりもやつれていた。にはきな鞄を持ち、隣には子供の姿がなかった。
「サチさんに、お話があります」
私は奈々をへ入れるべきか迷った。
妹が受けた苦しみを考えれば、顔を見ることさえ許しがたかった。それでも、奈々が何をしに来たのかだけは確かめようとい、玄関で話を聞くことにした。
奈々はくをげた。
「サチさんのおかげで、目が覚めました」
「私のおかげ?」
「あのままタクと緒になっていたら、私もいつか同じように裏切られていたといます」
奈々は鞄から封筒を取りした。
には500万円が入っていた。
「今までユキさんにしたことを謝りたいんです」
奈々は震える声で続けた。
「許してもらえるとはっていません。それでも、せめてこれを受け取ってください」
私は封筒を見つめた。
500万円という額を用するのは簡単ではなかっただろう。奈々なりに、自分がしたことのさを考えた結果なのかもしれない。
それでも、受け取ることはできなかった。
妹が受けた苦痛は、で解決できるものではない。
何より、ユキ本が奈々を許せないままくなったのに、残された私たちがを受け取り、代わりに許すようなことをしていいはずがなかった。
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「気持ちは分かります」
私は封筒を奈々へ戻した。
「でも、このおは受け取れません」
「どうしてですか」
「汚いことをしたからおをもらい、それで妹の苦しみが消えたことにはしたくないからです」
奈々は俯いた。
「では、私はどうすれば……」
私はしばらく考えた、1つだけ提案した。
ユキが働いていた所のくに、児童養護施設があった。妹は々、そこで暮らす子供たちの話をしていた。
「その500万円を、児童養護施設へ寄付してください」
奈々が驚いて顔をげた。
「子供たちのために?」
「未来のある子供たちへ使ってもらうなら、ユキもしはぶといます」
奈々が本当に寄付するかどうか、言葉だけでは信用できなかった。
そのため、私も緒に施設へき、500万円が確かに寄付されるところを見届けた。
施設の職員は何度もをげ、子供たちの活や学びのために切に使うと約束してくれた。
奈々は続きを終えた、施設の建物を見げていた。
「私、自分の子供だけが幸せなら、それでいいとっていました」
私は黙って聞いていた。
「ユキさんのを奪う側にいたのに、自分も被害者みたいな顔をしていました」
奈々は涙を拭き、くをげた。
「本当に申し訳ありませんでした」
私は最まで、許すとは言わなかった。
ただ、奈々が自分のしたことから目を逸らさず、子供とき直すことを願った。
未来ある子供たちが、どうかユキの分まで幸せになりますように。
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