"梅の下に眠る不動産王" 第13話
会の写真だった。
老鏡。聞。えた茶。
志垣はしばらく眺め、再び内ポケットへしまった。
「崎さん」
自分でも驚くほど、自然にその名がた。
「遅くなりました」
が吹き、墓のが揺れた。
帰り、志垣は田のに続く細いを歩いた。
を張った田が両側へどこまでも続き、空とを映していた。自分が空のを歩いているような、議な覚がした。
商へると、1とほとんど変わっていなかった。
薬局のの自販売で温かい缶コーヒーを買い、両で包んだ。
のが、シャッターの並ぶ通りを抜けていった。
志垣は缶をけ、んだ。
甘かった。
京に50棟のビルを持つ男がいた。
バブルの狂をき、その崩壊もき延び、産王と呼ばれた。
男が消えた、聞はと欲望、謀と裏社会についてきてた。
しかし、男が最に望んだものはではなかった。
7歳でくした弟の墓へち、自分の本当の名で、兄ちゃんだよと伝えること。
ただ、それだけだった。
志垣は缶コーヒーをみ干し、無駅へ向かった。
その、彼は警察を退職した。
定よりしかった。
理由を誰にも詳しく話すことはなかった。
送別会の席で、資料係の係だけが尋ねた。
「志垣さん。あんた、あの事件をやり遂げたよな」
志垣はし考え、首を横に振った。
「いえ。やり遂げたのは、形の駐所にいた社代さんです」
係はしばらく志垣を見た、静かに頷いた。
静は世田のを売り、久保沢町にさなを借りた。
72歳で始めた1暮らしだった。
町のたちは最初、巻きに彼女を見ていた。しかし、やがて誰も何も言わなくなった。
静は毎朝、共同墓へ通った。
のも、のも。
古い墓としい墓へ、順番に同じ量のをかけた。
彼女が何と言いながらをかけていたのか、それを聞いた者はいない。
だが、像はできた。
「清さん」
「源郎さん」
9、誰にも聞こえない声で呼び続けた名を、彼女はようやく声にして呼べるようになったのだった。
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