みかん小説
本棚

"勘違い常連の末路" 第10話

「本も、そう説したんだろう」

「急にそういうことにしただけかもしれない」

岡本がゆっくり顔をげた。

「俺が相談所で妻と会ったは、なくとも妻も俺と会うことに同していた」

佐々は黙って線を向けた。

「担当者を通して、もう度会いたいかもお互いに確認した。連絡先を交換するも、妻が交換したいとっているか確認した」

岡本は度言葉を切った。

「おは相談所を、自然に相を見つけられないが使う所だとってるんだろうけど」

佐々は何も言わなかった。

「おは、その女性のを何か1つでも確認したのか」

佐々は答えられなかった。

最初に声をかけた。

買った本を覚えていた。

笑顔で話した。

夫の話をした。

佐々にとっては、それで分だった。

わざわざ尋ねなくても、気持ちは態度に表れるものだとっていた。

岸はテーブルへを置いた。

「相のことを何も確認せず、自分のだけで恋を始めたんじゃないか」

佐々の表張った。

「恋を始めたなんて、げさだろう」

げさじゃない」

岸の声はかった。

「相が自分に気があると決めて、夫婦仲まで悪いことにして、相談を待ってることにした。そこまで全部、おだけの話だろう」

岡本も佐々から目を逸らさなかった。

「おが待っていたのは、自然な会いじゃない」

広告

佐々は無言のまま、グラスへを伸ばした。

岡本は静かに続けた。

「自分は何もしなくても、女性の方から見つけて、話しかけて、気持ちまで分かりやすく示してくれる状況だ」

佐々の指が、グラスの表面で止まった。

「それで相った通りにかなければ、気づかなかった、勇気がなかった、勘違いさせた方が悪いって考える」

岡本の言葉に、岸も頷いた。

「おは最初から、相がどうっているのかを見てないんだよ」

しばらく黙っていた佐々は、グラスのんだ。

「でも、接客の仕方にも問題はあったとうけどな」

岸が目を閉じた。

「普通の客に、あそこまで親しくする必はないだろう。本のことまで覚えて、何度も笑って話されたら、期待するがいてもおかしくない」

岡本は何も返さなかった。

岸もかなかった。

2が黙ったことで、佐々は、自分の見にも理あると認めたのだとった。

の昼、佐々は会社くの弁当ち寄った。

昼休みになると、何度か利用しているだった。カウンターにっていたのは、佐々より回りほど若く見える女性員だった。

柔らかな笑顔を向けられ、佐々はいつもの唐揚げ弁当を注文した。

「すみません。いつもの唐揚げ弁当は、今はもう売り切れてしまったんです」

広告

佐々が止まった。

いつもの。

この女性は、自分が普段何を買っているのか覚えていた。

「代わりに、こちらのお弁当はいかがですか? 付けはいといます」

「じゃあ、それをお願いします」

「ありがとうございます」

女性員はにこやかに弁当を袋へ入れた。

何度か来している客の注文を覚え、売り切れた商品に代わる弁当を案内した。それだけのことだった。

それでも佐々は袋を受け取りながら、女性の顔をもう度見た。

での来事は、佳奈の伝え方にも問題があった。

自分の考え方そのものが、違っていたわけではない。

常ので何度か顔をわせるうちに、相が自分を覚える。

そこからしずつ会話が増え、自然に関係が始まっていく。

佐々が望んでいたのは、まさにこういう会いだった。

も、「いつもの唐揚げ弁当」という言葉がかられなかった。

自分を識していたから、注文まで覚えていたのではないか。

代わりの弁当を勧めたのも、もうし話を続けたかったからかもしれない。

佐々は弁当の入った袋をに、満そうに元を緩めた。

今度こそ、本当に自然な会いなのかもしれない。

佳奈が距を取ろうとした理由も、友たちが言葉を失った理由も、佐々は何つ理解していなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: