"鳴らなかったホイッスル" 第6話
200万円を受け取った。
ノートの最には、の売買契約の写しと、秘密保持に関する誓約が挟まれていた。
誓約には、島造の署名と印鑑があった。
――19881014に発した事故に関し、は涯沈黙を守り、対価として200万円を受領する。
藤は直ちに阪へ戻り、ノートと誓約を証拠として押収した。
だが、裁判所は島に対する逮捕状の請求を退けた。
作成者であるがしており、記述の真偽を本に確認できない。遺体も発見されていない。
島の弁護団は記者会見をいた。
「精神に定だった物が、罪悪から虚偽の内容をいた能性があります」
健は絶望しかけた。
それでも、ノートにかれた言葉が気になった。
――女がホイッスルを吹こうとした。
それは、擁壁から見つかったちぎれた紐と致していた。
健は報関へ全ての資料を持ち込んだ。
「効まで、もう1週もありません。どうかこの事件を世にらせてください」
調査報番組が事件を取りげると、社会の関が気にまった。
美咲の失踪、捜査の備、島の自然な、擁壁からた証拠品。
世論に押される形で、検察は擁壁の捜索差押令状を請求した。
令状が発付されると、島は証拠を消そうとした。
警備員を集めて現を封鎖し、夜のうちにで擁壁を解体させようとしたのだ。
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「け方までに壁を全て壊せ」
「警察が来たらどうしますか」
「そのに終わらせろ」
健は現へ向かった。
警備員たちがバリケードを築いていたため、くの建設会社からを借り、封鎖された入へ乗りつけた。
「15待ったんだ! もう誰にも止めさせない!」
現には報陣も集まり、その様子は全国へ継された。
やがて警察の隊が到着し、妨害していた男たちを排除した。
島は逃を図り、羽田空港へ向かった。
だが、藤はすでに国を制限する続きを取っていた。
国審査で空港警察に止められた島は、激しく抗議した。
「何の権限で私を止める!」
警察官は逮捕状を示した。
「美咲さんに対する殺および体遺棄の疑いで逮捕します」
15、域の名士としてきてきた男のに、ようやく錠がかけられた。
公訴効まで、残り3。
全国の線が箱根峠の古い擁壁に集まった。
型クレーンとコンクリートカッターが投入され、科学捜査員のち会いのもと、壁はしずつ解体された。
健は擁壁にを当てた。
「姉ちゃん、もうに帰ろう」
作業始から20。
捜索犬が、の紐が見つかった点で激しく吠え始めた。
「型材を止めろ。ここから精密発掘に切り替える」
作業員たちは刷毛と型具を使い、コンクリートとをしずつ取り除いた。
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数、きなコンクリート片のから、の骨が現れた。
しゃがみ込むような姿勢だった。
黒みを帯びた青の布が残っていた。美咲が失踪当に着ていた、バスガイドの制だった。
蓋骨の側には、く局所な損傷があった。
そしては、胸元で固く握られていた。
法医学者が慎に指のを確認すると、さな属製のホイッスルが現れた。
15、美咲が放さなかったものだった。
健が保管していたの紐を持ってくると、ホイッスルの留め具とちぎれた断面が完全に致した。
美咲は最の瞬まで、助けを求めようとしていた。
島が奪おうとした際に紐が切れ、本体だけが美咲のに残ったのだ。
健はそのに膝をついた。
「姉ちゃん……」
声にならなかった。
やがて両で面をつかみ、子どものように泣き始めた。
「ごめん。15も、こんなたいところに1で……」
現にいた捜査官も、作業員も、報関係者も黙っていた。
美咲は15、コンクリートのから自らのの真相を証言し続けていた。
法医学鑑定により、蓋骨の損傷は両衝突によるものではなく、い物体で殴られた痕であると判した。
広範囲にじる交通事故の骨折とは異なり、狭い部分へい力が集していた。
ホイッスルの表面からは、微細なポリエステル繊維も検された。
それは1988当、島が勤務していたバス会社の運転用制と同じ材質だった。
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