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"追放母の25億売却" 第6話

「まさか、あんたが所者なのかい?」

「ええ。私が買ったよ」

い言葉のに、が隠してきたのすべてが詰まっていた。

翌朝、ホテルのロビーに現れた子は、の記憶にある作業着姿とはまるで違っていた。質なブラウスと仕ての良いパンツスーツにを包み、背筋を伸ばして歩く姿からは、の成功で培われた自信が伝わってきた。

子はソファに座るを見つけると、股で歩み寄り、その痩せた肩をく抱きしめた。

「本当になんだね。苦労したんだろう。顔を見れば分かるよ」

のぬくもりに触れ、を覆っていた氷がしだけ溶けた。

2はホテルのカフェへ移り、向かいって座った。子はい革の鞄から数枚の資料を取りし、テーブルへ広げた。

「驚いたよ。あのペントハウスの所者が、あんただったなんてね。登記を調べて腰を抜かした」

は温かい茶をみながら、これまでの経緯を話した。

が残したわずかな保険と、自分が現で働いて稼いだを買ったこと。そのが再発で値がりし、資産を増やしていったこと。

健太の学や留学の費用を払い、結婚にはあのペントハウスを購入したこと。息子の勤務先と賃貸契約を結び、社宅としてめるようにしたこと。

「どうして息子さんへ話さなかったんだい。

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あんたがこれほどの資産を持っていることも、あのの所者だということも」

子の問いに、は自嘲気に微笑んだ。

「恥ずかしかったんじゃないかとったのよ。母親が建設現がりで、今も清掃の仕事をしているなんて、健太の経歴に傷がつくんじゃないかって」

「何を馬鹿なこと言ってるんだい。あんたがどれだけ、あの子のために」

「もういいの、子さん」

は穏やかに友の言葉を遮った。

「終わったことだから。それより、売却の話はどうかしら。急なことで難しいとはうけど」

子は瞬黙った、にやりと笑った。

「難しいもんか。あんた、私を誰だとってるんだい」

昨夜のうちに、付きいのある投資会社へ連絡していたという。都にある希な物件なら、即で購入したいという相がすぐに見つかった。

「相は20億円だが、相は25億円をすと言ってる。期決済が条件だ。どうする?」

25億円。

像していたより、遥かにきな額だった。しかし議なほどかなかった。

もはや額のさはではない。切なのは、この取引を終え、息子へ与え続けてきたを清算することだった。

「お願いするわ」

げると、子はその傷だらけのを両で包み込んだ。

「あんたは何も違っちゃいない。

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これからは、自分のためにきな」

は初めて、の底から微笑んだ。

の終わりを告げる、のような笑みだった。

その頃、町の層ビルで働く健太は、モニターに映る株価を眺めながらも、仕事へ集できずにいた。

昨夜の母親の態度が、どうしてもかられなかった。

「マロンちゃんのこと、分かったよ」

そう言って穏やかに微笑んだ母の顔は、普段と変わらないはずだった。しかしい返すほど、嵐のの静けさのようなじた。

今夜の便で港へ発すれば、翌朝には美しい港の景が待っている。母には数犬の世話をしてもらうだけだと、自分へ言い聞かせた。

その、内線話が鳴った。

「田事部がお呼びです。第1会議へお越しください」

特に呼びされる覚えはなかった。健太は眉をひそめながら席をち、会議へ向かった。

扉をけると、事部と法務担当者がい表で座っていた。部の空気が妙にく、健太は落ち着かない気持ちで子へ腰をろした。

「田君。君が現んでいる麻布の居について確認したい。会社の社宅制度を通じて借りているという認識で違いないね」

「はい。そうですが、それが何か?」

会社は役職者向けに、契約した宅をい負担で提供していた。健太もその制度を利用し、会社へ賃相当額を支払って暮らしていた。

事部は法務担当者と線を交わし、調で続けた。

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