"10年目のボイラー室" 第5話
鉄と古い油の匂いが充満し、作業をするたびに積もった埃がいがった。
数がかりでボイラーを移させると、そのにコンクリートのが現れた。
そこで鈴は、ある違に気づいた。
「ちょっと待て」
作業員たちを止め、へづいた。
コンクリートの部分だけ、周囲とが違っていた。
きさは1mほど。
そこだけ表面の質も異なり、らかにからセメントを流し込んだように見えた。
鈴は腰を落とし、袋をした指で境目をなぞった。
「補修した跡だな」
配管の故障か、漏れでもあったのかもしれない。
しかし、ボイラーそのものを取りす以、その部分も確認しなければならなかった。
「ここを割ってみよう」
2の作業員がハンマーと具を持ってきた。
コンクリートを慎に砕き始める。
ところが、表面を覆っていたセメントはったよりかった。
さは10cmほどしかない。
約30分。
コンクリートのからが現れた。
鈴の表が変わった。
周囲はコンクリートで固められているのに、その部分だけがになっている。
誰かが度を壊して穴を掘り、からセメントで覆ったようにしか見えなかった。
鈴は作業員のを止めた。
「これ以触るな」
胸の奥に嫌な覚が広がった。
古い建物を解体していると、から様々なものがてくる。
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しかし、この埋め方は普通ではなかった。
鈴は警察へ話を入れた。
「古い旅館を解体しているんですが、に自然な所があります。のため見てもらえませんか」
約30分、警察官が到着した。
狭い階段をりてボイラーへ入り、剥がされたを確認する。
警察官もすぐに作業を止めるよう指示した。
午3頃、鑑識が到着した。
を気に掘るのではなく、しずつ状態を確認しながら取り除いていった。
約50cmまで掘りめただった。
スコップの先に布が見えた。
古く変した毛布のような布だった。
さらに周囲のを取り除く。
その直、作業員の1がきを止めた。
のからいものが現れていた。
の骨だった。
現の空気が変した。
警察は解体作業を全面に止させ、旅館への入りを禁止した。
発掘はが暮れる頃まで慎に続けられた。
最終に、から成男性とみられる骨が回収された。
そのそばから古いベルトと財布も見つかった。
財布はのにあったためひどく傷んでいたが、に残されていた分証の部は読み取ることができた。
名を確認した警察官がきを止めた。
田誠。
齢。
名古の所。
10、青龍旅館に泊まり、そのまま姿を消した男性と致していた。
警察はのため元確認をめたが、結果は変わらなかった。
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ボイラーのから見つかった男性は、田誠だった。
田は旅館から消えてなどいなかった。
10。
あのからずっと、旅館のにいたのだ。
田の元が確認されると、警察はすぐに10の捜査記録を取りした。
単なる方事件は、その瞬から刑事事件へと姿を変えた。
最初に確認されたのは、ボイラーへの入りについてだった。
青龍旅館のボイラーは客が自由に入るような所ではなかった。建物の奥にあり、常に入りしていたのは主夫婦と従業員だけだった。
田が自分からへ入ることなど考えられない。
誰かがそこまで運び、穴を掘り、埋めた。
そしてをセメントで覆った。
警察が最初に呼んだのは田だった。
10に旅館で働いていた田は、現も曽周辺でトラック運転として働いていた。
警察署へ呼ばれた田は、田の元が確認されたと聞くとらかに緊張した。
「俺は何もりません」
刑事が何か尋ねるに、田はそうにした。
「10も同じことを言いました。田さんが消えたは、俺は掃除をしていました」
刑事は古い旅館の写真を机へ置いた。
そして、ボイラーのが写ったしい写真を並べた。
「このを覚えていますか」
田は写真を見つめた。
しばらく沈黙した、さく頷いた。
「……補修したことがあります」
「いつですか」
「1992のだったといます」
刑事の線が鋭くなった。
「田さんがいなくなった頃ですか」
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