"10年目のボイラー室" 第6話
田は唇を舐めた。
「分……その頃です」
刑事はさらに尋ねた。
「なぜを補修したんですか」
「ボイラーが故障したと聞きました。が漏れて、を直さなきゃいけないって」
「誰から?」
田はし迷ってから答えた。
「佐藤さんです」
田によれば、佐藤から急いでセメントを用するよう言われ、自分が材料を買いにったという。
しかし話を聞くうち、刑事は奇妙な点に気づいた。
「あなたがを掘ったんですか」
「違います」
田はすぐに否定した。
「穴はもうありました。俺がやったのは、最にセメントを流したところだけです」
「穴のは見ましたか」
「よく見てません。ボイラーの修理だとっていたから」
「なぜ普通の修理業者を呼ばなかったんです」
田は答えられなかった。
「俺は佐藤さんに言われた通りにしただけです」
警察は次に佐藤のもとへ向かった。
佐藤夫婦は、今も町でさなスーパーを営んでいた。
へ警察が現れると、佐藤は驚いた顔をした。
「何かありましたか」
刑事はの奥で話をしたいと伝えた。
そして、田の遺骨が見つかったことを告げた。
「どこから……」
佐藤の声がかすれた。
刑事は佐藤から目をさず答えた。
「青龍旅館のボイラーです。のから」
佐藤の顔が変わった。
「そんなはずはない」
「なぜ、そんなはずはないとうんですか」
「いや……私は何もりません」
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刑事は10の補修事について尋ねた。
佐藤は、ボイラーからが漏れたためを補修したことは覚えていると答えた。
しかし修理業者を呼んだ記録はなかった。
交換した部品の領収もない。
「自分たちで直したんです」
佐藤はそう説した。
刑事は10の事聴取記録を机へ置いた。
「当、あなたはボイラーを補修したことを度も話していません」
「事件とは関係ないとったからです」
「宿泊客が消えた直に、その旅館のを壊してセメントを入れている。それを関係ないとったんですか」
佐藤は返事をしなかった。
警察はさらに10の証言を確認した。
田が失踪した曜の正午頃。
2階の宿泊客は1階で男2の声を聞いている。
そして佐藤は10、そのには買い物へていたと話していた。
ところが今回の聴取では、旅館の事務所にいたと答えた。
「どちらが本当ですか」
刑事に指摘されると、佐藤は慌てて首を振った。
「10もですよ。正確に覚えているわけがないでしょう」
警察はそれだけでは終わらなかった。
田と共に見つかった所持品も詳しく鑑定された。
そのに腕計があった。
調べをめるで、その計には田以の物が触れたことを示す痕跡が残っていることが分かった。
照の結果、佐藤につながるものだった。
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刑事は再び佐藤を呼んだ。
机のへ計の写真を置く。
「なぜ、田さんの計にあなたが触れた痕跡があるんですか」
佐藤は写真を見つめたまま、い何も言わなかった。
やがて肩を落とし、さく答えた。
「あの……会いました」
刑事は黙って続きを待った。
「曜の昼頃です。田さんが旅館へ戻ってきたんです」
10否定し続けていた事実を、佐藤は初めて認めた。
佐藤によれば、正午頃、田が旅館へ戻ってきたという。
田は事務所へ来ると、急に名古へ帰らなければならなくなったため、部を引き払いたいと話した。
佐藤は宿泊料の支払いを求めた。
すでに晩泊まっているため、その分だけは払ってほしいと伝えたという。
しかし、田はすぐには払えないと答えた。
「財布を部に置いてきたと言ったんです」
佐藤は刑事へそう説した。
そこで2は緒に田の部へ向かった。
佐藤は、この点では田が本当にを払うつもりなのか疑っていた。
田は部へ入ると鞄のを探した。
しかし、元にある現では料がりなかったという。
「名古へ戻ったら必ず送ります」
田はそう謝った。
だが、その頃の佐藤には、それを受け入れる余裕がなかった。
青龍旅館の経営は悪化していた。
客は減り、借もある。
数千円でも無駄にできない。
「泊まった分くらい払っていけ」
佐藤は田を引き止めた。
田も困ったように、今は持っていないと繰り返した。
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