"熱海失踪、2時12分のポケベル" 第5話
田巡査部は当30代半で、規模な詐欺事件の捜査に加わっていた。
複数の偽名を使い分ける容疑者の通信記録を追っていた田は、そのに何度も現れる1つの話番号へ目を留めた。
現の契約者名だけを見れば、特に変わったものではなかった。
しかし過の名義変更を調べると、1993以の契約者として「博」という名がてきた。
田は何となくその名を警察の記録で検索した。
表示されたのは、古い失踪事件の資料だった。
199310。
。
佐藤美緒、26歳。
宿帳に記録された審な宿泊者、博。
田は画面を見つめた。
そのの夕方、の文保管へりた。
湿ったと埃の匂いがこもる棚の奥から、6誰にもかれていなかったファイルを探しした。
田は机へ運び、最初から最まで2度読み返した。
あまりにもい。
1の女性が突然消えた事件なのに、調べられていることがなすぎた。
翌、田は司へ申した。
「佐藤美緒さんの事件を、もう度調べさせてください」
司は怪訝そうな顔をした。
「6の扱いの件だろ」
「現追っている詐欺事件の通信記録から、当の審な宿泊者につながる番号がました」
「それだけか?」
「それだけでも、調べ直す価値があります」
司はしばらく考え、やがて頷いた。
「まず裏を取れ」
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再捜査が始まった。
田が最初に探したのは、当の担当者だった鈴だった。
鈴はすでに警察を退職し、自宅くでさな煙を営んでいた。
田がを訪ね、警察帳を見せると、鈴はしばらく黙っていた。
そして田が事件名をにするに言った。
「佐藤美緒さんですね」
田は驚いた。
「覚えているんですか」
「忘れたはありません」
鈴はの奥へ入り、表が擦り切れた帳を持って戻ってきた。
退職する、どうしても捨てられなかった個な捜査メモだった。
黄くなったページには、公式報告には残されていない疑がき込まれていた。
〈健、最の目撃刻22と即答。ためらいなし〉
〈コンビニ員、正確な刻〉
〈事聴取、トイレと言って20分〉
そして田の目が、別の記述で止まった。
〈失踪2週。健、単へ。3滞。確認できず〉
「これは調べなかったんですか」
田が尋ねると、鈴は目を閉じた。
「できませんでした」
「なぜです」
「事件にこれ以を使うなと言われたんです。それに……」
鈴は苦しそうに息を吐いた。
「私は、あの男の涙を信じてしまった」
内に沈黙が落ちた。
「義妹を必に探している姿を見て、族を疑う方がおかしいとってしまった。それが、刑事として今でも番悔していることです」
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田は帳を閉じた。
警察署へ戻ると、ホワイトボードに3つの項目をいた。
博。
偽名を使った3階の女性。
健が失踪にで過ごした3。
しかし調査はうようにはまなかった。
6の記録は失われ、記憶もれていた。
突破になったのは、健が仕事で使用していたポケベルだった。
田は1993当の通信記録を洗い直した。
そこで1件の呼びしが見つかった。
199310、事件の夜。
午212分。
健のポケベルへ、の公衆話から信号が送られていた。
発信元の公衆話は、旅館から徒歩約7分。
田は記録を何度も確認した。
健は当初の事聴取で、「夜10頃に部へ戻り、そのまま朝まで眠っていた」と証言している。
しかし午212分。
静かな客で、ポケベルが鳴ったはずだった。
なぜそのことを度も話さなかったのか。
田は実際にへき、夜と同じ経を歩いた。
公衆話は通り沿いにはなかった。
細いへ入り、さらに奥へまなければ見つけられない所だった。
偶然通りかかった旅者が簡単に使うような話ではない。
誰かが所をったで、そこへ向かった。
そして健のポケベル番号をっていた。
翌朝。
田の机の話が鳴った。
「佐藤美緒さんの事件、また調べてるって本当ですか」
い男の声だった。
田のが止まった。
「どちら様ですか」
話の向こうでしばらく沈黙が続いた。
やがて男が答えた。
「博です」
田は机のに置かれた資料へ目を落とした。
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