"熱海失踪、2時12分のポケベル" 第9話
「何か変だと言われました」
「何が変だと?」
健は答えなかった。
やがて美緒がきな声をそうとした。
健はそれを止めようとした。
揉みいになった。
美緒は倒れた。
「起きがらなかったんです」
健はそう説した。
しかし田は、その言葉をそのまま受け取らなかった。
本当に突発な事故だったのなら、なぜ3からを旅館に待させたのか。
なぜ遺棄所を事にっていたのか。
なぜ事故が起きた、警察や救急へ連絡するのではなく、を呼びしたのか。
健の供述と、彼が実際に取ったは致していなかった。
「6、悔しませんでしたか」
田が最に尋ねた。
健はしばらく黙り、やがてい声で言った。
「毎しました」
「それでも言えなかった?」
「本当のことを言えば、全部なくなるからです」
妻。
娘。
会社。
周囲から寄せられる信頼。
それらを失うことが怖かった。
だから健は、6、由の隣で美緒を探し続ける男を演じた。
チラシを配った。
警察へをげた。
親戚ので涙を流した。
美緒がどこにいるのかりながら。
田から夫の供述をらされた由は、い沈黙のに泣き崩れた。
そして繰り返した。
「妹をに帰らせてください」
声が掠れていた。
「あの子、たいところに1でいるがすぎました」
美緒の葬儀がわれたのは、その2週だった。
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れの空がく澄み渡っただった。
父親の佐藤茂は、祭壇のにつといかなかった。
いに囲まれた娘の写真を、ただ黙って見つめていた。
誰かが声をかけても、ほとんど返事をしなかった。
6、娘がどこかできているかもしれないという僅かな希望を捨てずにいた。
その希望が、最も残酷な形で終わった。
田は葬儀のへた。
普段ほとんど吸わない煙へをつけ、たいので煙が消えていくのを見つめた。
裁判は翌のに始まった。
検察は、健を殺などの罪で起訴した。
についても、美緒を運び隠す為に加担した責任が問われた。
健の弁護側は、最初から命を奪うつもりではなかったと主張した。
部で論となり、揉みいの末に起きた突発な来事だったという。
しかし検察側は、事件3にへ連絡していた記録を示した。
が事に旅館へ宿泊していた事実。
健が遺棄所をっていたこと。
そして事件6、事実を隠し続けた。
それらを考えれば、単なる偶発な事故として見ることはできないと訴えた。
審理は約3かにわたった。
判決の。
傍聴席には由が1で座っていた。
父の茂は体調を崩し、来ることができなかった。
由の隣の席は空いていた。
かつて夫婦として同じで暮らしていた健は、被告席に座っている。
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裁判が判決を読みげた。
「被告、健を懲役15に処する」
由はくをげた。
泣いているのかどうか、周囲には分からなかった。
肩はかなかった。
ただい、顔をげなかった。
閉廷が告げられ、が次々に法廷をていっても、由はその席に残った。
職員がづき声をかけると、ようやく顔をげた。
「もうしだけ、ここにいさせてください」
「丈夫ですか」
由はさく頷いた。
「妹に話したいことがあるので」
にも判決が言い渡された。
法廷をる、報陣が声をかけたが、は顔をげず、何も語らないままちった。
裁判が終わった翌。
由は田へ話した。
本当は「ありがとうございました」と言うつもりだった。
しかし田の声を聞いた瞬、別の言葉がた。
「妹がいた所……今はどうなっていますか」
田はし黙ってから答えた。
「田んぼがあります。それだけです」
「の持ち主は、何もらなかったんですよね」
「ええ」
「自分ののすぐそばに、妹がいたことも?」
「りませんでした」
由はしばらく黙った。
そして静かに言った。
「その方にも申し訳ないことをしましたね。嫌な所にしてしまったから」
田は返す言葉を失った。
自分の妹を失った女性が、最初に配したのは何もらなかった農のことだった。
その言葉は、田のにく残った。
裁判、由は健と婚した。
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