みかん小説
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"300億を捨てた相場師" 第7話

どれほど財産を増やしても、だけは買い戻すことができなかった。

恵がきているうちに会いにくこともできなかった。

悔を消すこともできなかった。

だから常は、最に全てを捨てた。

派なも。

も。

株も。

300億円という数字も。

そして、自分が本当に帰りたかった所へ戻った。

その

矢島は勤めた警察を定退職した。

最終

机の理していた彼は、いちばん奥から古びた帳を取りした。

は擦れ、角は丸くなっている。

ページをめくる。

6付のところでを止めた。

族、よそよそしい。理由あり。確認」

そのには、

「県営A団。失踪数。なぜ?」

かれている。

、答えのなかった2つの疑問だった。

族がよそよそしく見えたのは、彼らが事件の真相をっていたからではなかった。

という男が、涯自分の族にさえ見せなかったからだった。

そして団を訪れていた理由。

それは逃を確認するためでも、誰かと密会するためでもなかった。

帰るためだった。

もの回りの末に、自分が発した所へ帰るために。

矢島はペンを取った。

2に、最文をき加えた。

「梶常、帰宅。事件解決」

しばらくその文字を見つめ、それから帳を静かに閉じた。

窓のには、差しが広がっていた。

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桑原の町は、あのと同じように穏やかだった。

では買い物袋をげた々がき交い、県営団の窓には洗濯物が揺れている。

りんご畑では農々が汗を流していた。

どこにでもある方の町の、ありふれた常だった。

その常の片隅で、1の男のい旅は静かに終わった。

300億円という財産を築きながら、それよりも切だったたった1つの恩を返せなかった男。

その悔から逃げず、自分が残したものを見らぬ誰かへ渡し、最には何も持たず、最も戻りたかった所へ帰った男。

寺の墓には今も2つの墓が並んでいる。

1つは恵。

もう1つは梶常

季節が変わるたび、そのを静かなが通り抜ける。

きているうちには届かなかった「ありがとう」が、回りの末に、ようやく届いたかのように。

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