"一万八千円の飯" 第4話
優馬は再び父へ話をかけた。
今度は7回ほど呼びした、ようやくつながった。
「優馬か。どうした。今、客と緒なんだが」
「親父、1つ聞かせてくれ」
優馬は置きをしなかった。
「レストランの特製鮮炊き込みご飯。18,000円で売ってるけど、親父が決裁したのか?」
話の向こうが静かになった。
「……何だって?」
父の声が段がった。
「いくらだ?」
「18,000円」
「そんなメニュー、いつからある」
その反応で、優馬には分かった。
父はらない。
「今、俺が本でべた。責任者のは、親父が直接承認した価格だと言ってた」
また沈黙が落ちた。
背景の雑音がしずつざかっていく。父が席をし、静かな所へ移しているのだろう。
しばらくして、い声が聞こえた。
「本当に、が私の決裁だと言ったんだな」
「違いない」
「、仕事か」
「ああ」
「ホテルへ着いたら、誰にも言わず社へ来い」
父はそれだけ言って話を切った。
優馬はスマートフォンを握ったまま、ソファへく沈み込んだ。
父の反応は、単なる驚きとはし違っていた。
鳴るでもなく、すぐにを呼びすでもない。
どこか、予していた事態が実際に起きてしまったの声だった。
翌朝、優馬はいつもより20分ほどくホテルへ着いた。
いシャツに濃紺のスーツ、黒い革靴。胸には「ロビー副支配 川優馬」とかれたネームプレートを付けていた。
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午810分。
自分の持ちへ向かうに2階のオフィスエリアへがり、財務部のでを止めた。
にはすでにかりが点いていた。
伊藤緑。
40代の財務担当者で、10以ホテルに勤める古参社員だった。優馬が幼い頃から川をっており、毎朝く社することでもられている。
ドアをノックすると、緑は老鏡をした。
「優馬君? こんな朝く、どうしたの」
優馬は向かいの子へ座り、昨夜の領収を机に置いた。
「緑さん、このメニューの価格変更履歴と、過3かの販売データを見せてもらえませんか」
領収へ目を落とした緑の眉が寄った。
「18,000円……?」
優馬が事を簡単に説すると、緑はしばらく考えていた。
「本当なら、あなたがロビー副支配の権限で見る資料じゃないわ」
「分かっています」
「でも……」
緑は声を落とした。
「子様がくなられてから、このホテルのおの流れがおかしいとうことが何度もあった」
優馬は顔をげた。
「母をっているんですか」
「もちろん。あなたがさな頃からってるもの」
緑はパソコンへ向き直った。
「あなたが子様の息子として本気で向きうなら、私も腹を括るわ」
財務システムをき、キーボードを叩いていく。
数分、緑の表が変わった。
「優馬君」
画面を指す。
「このメニュー、6週にシステムで変更されてる。
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1,800円から18,000円へ」
「変更したのは?」
「総支配の最権限アカウント」
優馬の指が子のすりを掴んだ。
ホテルの総支配は渡辺という53歳の男だった。
父が信頼している幹部の1。
だが、その渡辺と特にい物がいる。
父の現の妻、里見だった。
46歳の里見は、父より20歳ほど若い。もともとはホテルグループのマーケティング関係の仕事をしており、結婚も経営にく関与していた。
正式な社内役職以に、ホテル内できな響力を持っている。
「変更理由は?」
緑は首を振った。
「何もない。承認も理由欄も空。617午320分、最権限で制に変更されてる」
まともなホテル経営ではあり得ない処理だった。
価格を変更するなら、理由と承認記録を残す。
誰かが、それら全てをばしている。
「売はどうなっています?」
緑が別の画面をいた。
そこにた数字を見て、優馬は息を止めた。
5から6旬までは、週に30ほど。
単価は1,800円で、の売は約20万円。
ところが18,000円へ変更された6旬以、普通なら注文数が激減するはずなのに、逆に急増していた。
7だけで約400。
売は700万円い。
「18,000円のご飯が、に400?」
「私もおかしいとう」
緑が詳細をく。
その瞬、さらに顔が変わった。
「90%以が特別契約客よ」
「特別契約?」
「企業接待、役所関係、旅会社の団体。ほとんどが法名義の付け払い」
優馬は子へ背を預けた。
輪郭が見え始めた。
自分の財布から払わない客なら、メニューのゼロが1つ増えても気づかないことがある。
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