みかん小説
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"一万八千円の飯" 第10話

「だから首を突っ込むなと言ったのか」

「ああ」

優馬は弟を見つめた。

このでは、誰もが仮面を被っていた。

里見は優しい母。

父は静な経営者。

優馬は何もらない継者。

そしては、遊びしからない馬鹿な御曹司。

最も完璧に演技していたのは、弟だったのかもしれない。

「兄貴には、先に片付けなきゃいけないことがある」

が言った。

「何だ」

「葵のことだよ」

処を、優馬はしばらく町を歩いた。

の夕方。

畳へが伸びる。

スマートフォンには、葵のSNSアイコンが表示されていた。

辺で笑う横顔。

メッセージをいては消し、最話をかけた。

「葵、今夜会えるか」

「会えるけど……どうしたの?」

「直接聞きたいことがある」

約束したのは、2が何度も訪れた静かなカフェだった。

730分。

葵がのワンピース姿でへ入ってきた。

優馬を見つけた瞬がほんのわずかに止まった。

かったのね」

向かいへ座った葵へ、優馬は挨拶もそこそこに尋ねた。

「葵。吉田真由美ってってるか」

葵の笑顔が消えた。

10秒ほど沈黙した、俯いてさく笑った。

びのない笑いだった。

ってしまったのね」

質問ではなかった。

「君のから聞きたい」

葵はく息を吸った。

「私は吉田葵」

目に涙が浮かぶ。

川國彦は、私の実の父親。そして優馬、あなたは私の腹違いの弟よ」

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カフェではジャズが流れていた。

隣の席の客は週末の予定を話し、員がグラスを磨いている。

世界は何も変わらずいている。

しかし優馬のだけが、その瞬き換えられた。

「いつからってた」

「最初から」

「俺にづいたから?」

「……ええ」

葵の頬を涙が伝った。

「でも、私が初めてあなたを見たのは、あのじゃない」

「いつだ」

「あなたのお母さんのお葬式」

優馬の指がテーブルを握った。

「私は母に連れられて葬儀った。でもには入れてもらえなかった」

葵の声が震える。

から、泣いているあなたを見た。さなあなたがお父さんの隣で、顔をぐしゃぐしゃにして」

その、真由美は娘へ言った。

あなたには弟がいる。

いつか会があれば、守ってあげなさい。

父と婚して以来連絡を取っていなかった真由美も、子のった、父のもとを訪ねたという。

「母は里見を信用してなかった」

「どうして」

「『あの女に優馬を任せてはいけない』って父に言った。でも父は拒否した」

その、葵は学を卒業し、テレビ局へ入った。

ホテルや業を扱う番組を志望し、運ホテルへづく会を探した。

そしてイベントで優馬と再会した。

「最初は、くから見てるだけで良かった」

葵は涙を拭わなかった。

「元気でいるって分かれば、それで良かった。でもあなたから話しかけられて……何度も会ううちに、れられなくなった」

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「それでも言わなかった」

「怖かったの」

葵は優馬をまっすぐ見た。

「真実を言ったら、やっと見つけた弟がまた私のからいなくなるかもしれないとった」

優馬は目を閉じた。

り。

裏切られた覚。

しさ。

全てが胸ので混ざっていた。

だが同に、8歳の女が泣く弟をくから見ていた景も浮かんだ。

葵はバッグからさな鍵を取りした。

「私、あなたの実へ2回ったでしょう」

「……ああ」

「里見の斎にある庫の鍵の型を取った」

優馬が顔をげる。

「そこには清を奪ったの、本当の契約があるはずなの」

葵が自分へづいた目には、優馬を守るだけでなく、里見の正を調べる図もあった。

しかし2まで嘘だったわけではないと、彼女は言った。

「あなたと緒にいたは全部本物だった」

声が震えた。

「だからこそ苦しかった。私は姉なのに、恋としてそばにいた。自分が何なのか分からなくなった」

優馬はしばらく何も言えなかった。

やがて尋ねた。

「君のお母さんは、今どこにいる?」

京」

葵は答えた。

「吉田投資は、母がにゼロから作った会社よ」

、吉田投資は運グループの株を20%保している。

「母は私に言ったことがある」

葵は静かに続けた。

「『この株はあなたのもの。運ホテルの部はあなたにも権利がある。あなたが決めた、私は全力で支える』って」

優馬はく沈黙した。

そしてもう1つ聞いた。

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