"16回の拒否" 第3話
ハイキングの途でも、その自信は顔をした。
1の男性がち止まり、スマートフォンで葉を撮っていた。
黒田は頼まれてもいないのに横から画面を覗き込んだ。
「空のがくんでますね」
男性が振り向く。
「スマホだと、どうしてもこうなるんですよ」
男性は自分の撮った写真を見て、気にした様子もなく笑った。
「族に送るだけなので、これで分ですよ」
黒田は軽く頷いた。
「記録としてなら、それでもいいでしょうね」
男性は何も言わず、先へ歩いていった。
黒田に悪はなかった。
ただ、自分が撮っているものは、あの男性の写真とは違うと考えていた。
単なる記録ではない。
が見て、「使いたい」とう写真。
黒田自には、写真の仕事をした経験などなかった。
写真へ勤めたこともない。
写真展で賞を取ったこともない。
1度、綺麗に撮れた桜の景写真が域の案内へ使われただけだった。
けれど黒田のでは、その1度の来事が、自分の写真の価値を証するきな実績へ変わっていた。
そしていつしか、景だけではなく、についても同じように考えるようになった。
本が自分の良さに気づいていなくても、自分なら見つけられる。
写真にして見せれば、本にも分かる。
写真を嫌がるほど、実は自分の魅力をらないだけなのだ。
そんなを綺麗に撮り、
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「こんなふうに写るんですね」
と言わせることができれば、それは相のためにもなる。
黒田は、その考えを疑っていなかった。
歩き始めて30分ほど経った頃、はさな休憩所へ着いた。
製のベンチがいくつか並び、その向こうには赤や黄に染まった々が広がっている。参加者たちはをんだり、景を眺めたりしながら、いいに休んでいた。
みさ子はしれた所で、元に落ちていた赤い葉を拾っていた。
隣にいた女性へ、
「綺麗ですね」
と見せながら、穏やかに笑っている。
漏れがみさ子の横顔へ差し込んでいた。
その姿を見つけた瞬、黒田は反射にカメラを構えた。
が識していない瞬。
作っていない笑顔。
黒田が最も撮りたいとう面だった。
「さん、そのままでいてください」
声を掛けられ、みさ子が振り向いた。
「え?」
そのには、黒田はもうファインダーを覗いていた。
「今、が綺麗に入ってます」
みさ子はし戸惑いながら、そのにった。
そしてを押すように言った。
「撮るのは構いませんけど、SNSには載せないでくださいね」
黒田は軽く笑った。
「丈夫ですよ。変な写真は載せませんから」
みさ子の表がし曇った。
「変な写真かどうかではなくて、載せないでほしいんです」
それでも黒田はカメラをろさない。
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「名はしませんよ」
「名の問題でもありません」
みさ子は言葉を選びながら説を続けた。
以、同士の集まりで撮られた写真を、確認もなくSNSへ投稿されたことがあった。
写真を見た別のから、
「誰と緒だったの?」
「どこへっていたの?」
と尋ねられた。
予定を伝えていない相に、自分がどこにいたのかられていた。
誰が見ているのか分からない所へ、自分のらないうちに写真が広がっていく。
それが嫌だった。
「だから、自分のらないところへ写真がるのは嫌なんです。載せないでもらいたいんです」
本来なら、
「分かりました」
その言で終わる話だった。
ところが黒田は、みさ子をさせるように笑った。
「SNSって、そんな危ないものではありませんよ。ただ写真を載せるだけです。いい写真なら皆さんが反応してくれる。それくらいのことですよ」
みさ子は首を横に振った。
「それでも、私は載せてほしくありません」
しかし黒田には、その言葉が「公を拒否する」には聞こえなかった。
以の経験から、必以にになっているだけなのだとった。
ならば、名をさない。
細かい所もかない。
綺麗な写真だけを選ぶ。
そうすれば問題はなくなる。
「僕は写真の扱いも、きちんとしていますから」
黒田は胸を張った。
「それに僕の写真は、実際に使いたいって言われる写真なんですよ」
みさ子は返事をしなかった。
黒田は、その沈黙を自分の説に納得したからだと受け取った。
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