"16回の拒否" 第11話
それでも黒田は、まだ納得できない顔をしていた。
「でも、普通に笑っていたでしょう」
みさ子は表を変えなかった。
「笑っていたら、『載せないで』と言った言葉は消えるんですか?」
黒田は黙る。
「黒田さんは、『本気で嫌なら顔を背けるはずだ』とも言いましたね」
その言葉を言われた瞬、黒田の目がしいた。
「私が顔を背けた瞬、黒田さんはシャッターを切りました」
誰かがさく息を呑んだ。
「そして、『自然ないい表でした』と言いました」
みさ子は度言葉を止めた。
「あれは、私が番はっきり嫌だと示していた瞬です」
黒田は何か言い返そうとした。
だが、言葉がてこなかった。
そのだった。
しれた所にいた藤本が、ポケットからスマートフォンを取りした。
黒田へ向ける。
「黒田さん」
「何ですか?」
「そのレフを構えている姿、なかなか様になっていますね」
黒田は瞬、表を緩めた。
「そうですか?」
「1枚撮って、サークルのSNSへ載せてもいいですか?」
黒田の反応はかった。
「いや、それはやめてください」
藤本はすぐにスマートフォンをろした。
「分かりました」
それだけだった。
「やめておきますね」
数秒の沈黙が流れた。
誰も何も言わない。
みさ子が、黒田を見た。
「今、1度で伝わりましたね」
黒田の顔が張った。
「ええ、まあ……」
「私は同じことを16回言いました」
黒田は、まだそのを完全には理解できていない顔をしていた。
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自分はSNSへ載せられたくないから断った。
藤本がそれを理解したから撮らなかった。
それだけのことだとっていた。
自分がみさ子へしてきたことと同じだとは、すぐには結びつかなかった。
そのにいた参加者たちは、誰も黒田を責めてなかった。
ただ、1の男性が静かにをいた。
「黒田さん」
「はい」
「私も、SNSへ載せるのはやめてください」
黒田が驚いて振り返る。
すると隣の女性も言った。
「私もです。集写真も、勝に載せないでもらえますか?」
別の参加者も頷く。
「私もからお願いしようとっていました」
黒田は周囲を見回した。
「皆さんまで、そんな……」
吉岡が落ち着いた声で言った。
「今まで言えなかっただけです」
黒田は言葉に詰まった。
自分は、皆にんでもらえているとっていた。
何度も撮を頼んできた。
綺麗に撮ってきた。
SNSにもたくさん載せた。
その写真には「素敵ですね」「ありがとうございます」と反応もついていた。
だから満を持つなどいないとっていた。
「僕は皆さんを綺麗に撮ろうとっただけです」
ようやくそう言う。
みさ子が、その言葉へ返した。
「写真のの表には、あれだけこだわるのに」
度息を置く。
「目のにいるの言葉は、聞いていないんですね」
黒田は、自分だけが責められているような気持ちになった。
「でも、そこまで嫌なら、もっとしっかり言ってくれればよかったでしょう」
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みさ子は、最にはっきり言った。
「私の『嫌だ』は、黒田さんが納得するまで無効なんですか?」
誰も反論しなかった。
そのにいたくのが、程度の差はあっても同じ違を抱いていたからだった。
吉岡が全員へ向き直る。
「今から、このサークルで撮った写真をSNSへ載せるは、写っている方全員の承を取ることにします」
黒田が顔をげる。
吉岡は続けた。
「難しいには、顔を隠すなどの配慮をしてください。写真の共も、まずはクローズドな範囲でお願いします」
黒田は眉に皺を寄せた。
「そこまで気を遣っていたら、自然な写真なんて撮れませんよ」
吉岡は黒田をまっすぐ見た。
「黒田さんのためのルールではありません」
黒田は黙った。
「参加者全員のためのルールです」
吉岡の声は穏やかだったが、曖昧さはなかった。
「写真が綺麗かどうかと、撮っていいかどうかは別の話です」
さらに、もう度はっきり伝える。
「そして、黒田さんの作品を作るために皆さんが活へ参加しているわけではありません」
黒田は何も言わなくなった。
自分の写真そのものを否定されたような気分だった。
せっかくレフを持ってきている。
スマートフォンより綺麗に撮れる。
構図も考えている。
も見ている。
皆がしでも良く写るように努力している。
なのに、迷惑なことをしているのように扱われている。
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