みかん小説
本棚

"止まったカードと空の家" 第8話

沈黙。

本当に音が消えた。

「あれ? 聞こえてる?」

『……

正文の声が震えていた。

「私のクレジットカードも勝に使ってたよね」

『ち、違う』

「何が違うの?」

『それは、その……』

「この、美津のパンプス買ったでしょ?」

返事がない。

「駅の靴

『……』

「私、見てたから」

正文は完全に黙った。

「カード会社にも連絡したよ。もう使えない」

、待って』

「何を?」

『誤解なんだ』

わず笑った。

「何をどう誤解したら、私の親友とホテルったり旅したりするの?」

『……ごめん』

ようやくてきた言葉が、それだった。

『本当にごめん』

「謝って済むとってる?」

『どうしたら許してくれる?』

「許さない」

自分でも驚くほどたい声だった。

「あなた、私だけじゃなくて、あやまで傷つけたんだよ」

『あやには言わないでくれ』

「どうして?」

『子供には関係ないだろ』

「あるよ」

私はがった。

あやはれた所で、黙って私を見ている。

「あなたが族を裏切ったんだから」

『俺はあやの父親だぞ』

「その父親が、娘のためにも貯めてたのおを使って浮気してたんでしょう?」

『全部使ったわけじゃない!』

その言葉で、最けまで消えた。

額の話してるんじゃない」

『……』

「私のカードを勝に持ちした点でおかしいの。自分の妻なら何をしてもいいとってた?」

正文の呼吸が荒い。

『悪かった。本当に反省してる』

「私はもう婚するって決めた」

『待ってくれ!』

広告

初めて正文がきな声をした。

婚は駄目だ』

「何であなたが決めるの?」

『あやがかわいそうだろ』

その瞬

私は腹の底からりが湧いた。

「聞こえなかった?」

『何が』

「あや、あなたに滅してるよ」

『……え?』

「あやはもうってる」

『嘘だ』

「本当」

正文の声が消える。

「あの子、私がしそうにしてるのから気づいてた」

『……』

婚してもいいって言ったよ」

『そんなの、おが言わせたんだろ!』

「違う」

私ははっきり言った。

「ママを傷つけるパパならいらないって」

話の向こうで正文が息を呑んだ。

あやが私の袖を握る。

私は娘のへそっとを置いた。

「浮気しただけじゃなく、妻のカードを勝に使う父親を見て、娘ががっかりしないとう?」

『……あやに会わせてくれ』

「今は無理」

『お願いだ』

「これから弁護士に相談する。婚と慰謝料、養育費の話はそのにして」

『そんな……』

「それと」

私は計を見る。

そろそろもうつの仕掛けがいている頃だ。

「正文、本当に美津が好きなんだよね?」

『何を……』

「だったらずっと緒にいればいい」

?』

「あなたの荷物、美津のに送っておいたから」

『は?』

正文がの抜けた声をした。

「今届くとうよ」

『何でそんなこと……!』

「あんなに好きで旅までくんだから、いいでしょ」

『待て! 美津の旦がいるんだぞ!』

ってる」

私は笑った。

「だから宛名、美津の旦さんにしておいた」

『お……!』

その

広告

話の向こうで、別の声が聞こえた。

女の声。

正文がスマートフォンを美津へ渡したらしい。

!』

聞き慣れた声だった。

けれど、今まで私がっていた美津とはまるで違う。

切り声。

『ちょっと! どういうことよ!』

「正文から聞いたんでしょ?」

『何でうちに荷物送ったの!』

「親友の旦と浮気旅なんてくからでしょ」

『私は悪くない!』

「へえ」

『正文君に言い寄られただけだから!』

美津は息を荒くした。

の旦が、自分でお何とかするから付きってって言ったんだから!』

私は呆れてしまった。

「それで付きったの?」

『だって……』

「自分も結婚してるのに?」

『それは正文君が……』

「もういいよ」

私は遮った。

「誰が先に誘ったとかどうでもいい」

『待って、!』

「私の夫だってってて関係持った点で、美津も同じだから」

『話を聞いて!』

「これ以話しても無駄」

私は度だけく息を吸った。

「グッドラック」

『え?』

「いい旅を」

そのまま通話を切る。

すぐに源も落とした。

あやが恐る恐る聞く。

「終わった?」

「うん」

「パパ、ってた?」

「途から焦ってたかな」

「美津さんは?」

「もっと焦ってた」

あやはし考えた、私のを握った。

「ママ」

「何?」

「今の夜、ピザ頼もう」

私はわず笑った。

「なんで?」

しいのお祝い」

そのの夕

私たちは居のに座り、まだダイニングテーブルも組みてていないで、宅配ピザをべた。

じていなかったほど、穏やかな夜だった。

浮気旅から戻った正文が最初に見たのは、族のいない部だった。

私はそのにいなかったため、になって弁護士から聞いた話だ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: