"25年目の自白状" 第1話
19825、群馬県藤。
の終わりを迎えた町は、数続いたでしっとりと濡れていた。の緑にはいがかかり、町れを流れる川はいつもよりかさを増していたが、それでも朝のうちは、誰もその川が1つの族のを壊すことになるとは考えていなかった。
佐藤吾は、いつものように自宅の1階で営むさな雑貨のシャッターをげた。
棚には菓子や缶詰、鹸、乾池、子供向けの文具が並んでいる。きなではなかったが、所のなら誰もが度はち寄ったことのあるだった。
「お父さん、今は何かしいの入ってる?」
ランドセルを背負ったが、の奥から顔をした。
1息子の健だった。
9歳になったばかりで、学へ向かうに父親のへち寄り、そのに入った菓子を確かめるのが毎朝の習慣になっていた。
「あるぞ」
吾はわざと勿体ぶりながら、陳列棚のからさなチョコレートを取りした。
「昨仕入れたばかりだ。まだ誰にも売ってない」
「本当?」
健の顔がぱっとるくなった。
「じゃあ僕が最初?」
「の商品だからな。を払ってもらおうか」
「ええ?」
健が満そうにを尖らせると、吾は笑ってチョコレートを息子のに握らせた。
「冗談だよ。学から帰ってからべろ」
「ありがとう!」
健はチョコレートをランドセルの横ポケットへ事そうにしまった。
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玄関へ向かいかけたところで、ふといしたように振り返る。
「今ね、放課に友達と川のくで遊ぶんだ」
吾の表が変わった。
「川?」
「のところ。投げたりするだけだよ」
「最ずっとだろう。が増えてる。川のすぐくにはくな」
「分かってるよ」
「本当に分かってるか?」
吾が息子のを軽く押さえると、健は笑いながら逃げた。
「分かってるって。く帰るから」
それが、吾が聞いた息子の最のるい声になった。
妻の子はくの学で教員をしていた。健とは別の学だったが、夫婦ともに教育にはで、健も成績は良かった。
裕福ではない。
だが、吾は自分たちを幸だとったことはなかった。
さながある。
妻がいる。
息子がいる。
夕方になれば3で卓を囲む。
それで分だった。
午になると、空が急に暗くなった。
くでが鳴り始め、もなく激しいが根を叩いた。
吾は先にて、黒く沈んだ空を見げた。
計は午3を回ったところだった。
健が学を終えるだ。
胸のに、嫌なものが広がった。
そのだった。
隣のの主が、傘もろくに差さず駆け込んできた。
「佐藤さん!」
「どうした?」
「子供たちが川の方で遊んでたらしいんです。それで……1、見当たらないって」
吾の顔から表が消えた。
「誰が?」
「まだ分かりません。
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警察には通報したそうです」
次の瞬、吾はの鍵もかけずへびしていた。
子の勤務先に話を入れようとしたが、繋がらない。学では職員会議がわれているだった。
の、吾は何度もを滑らせながら川へ向かった。
現にはすでに警察官と消防団員が集まっていた。
数の子供たちが毛布を掛けられ、濡れた体を震わせている。
そのに健はいなかった。
「健は?」
吾は子供たちのを見回した。
「うちの息子です。佐藤健、9歳です!」
警察官の1が吾へづいた。
その目を見た瞬、吾は何かが起きたことを理解した。
「子供たちの話では、川岸で遊んでいる途、急にかさが増したそうです」
「それで?」
警察官が瞬言葉を詰まらせた。
「健君が……川の方へ落ちたのを見たという子がいます」
「そんなはずない」
吾は即座に否定した。
「川へづくなと言ったんです。あの子は約束した」
誰も返事をしなかった。
やがてのから、さな運靴が1だけ発見された。
健が朝履いていたものだった。
吾はそれを見た瞬、膝から崩れ落ちた。
「健!」
声が音に消される。
「健! 返事をしろ!」
潜士が川へ入り、消防団員たちは流へ向かった。
が暮れても、健は見つからなかった。
子が現へ到着したのは、夕方になってからだった。
彼女は夫へ何も尋ねなかった。
のに置かれた健の靴を度見ただけで、すべてを理解したようだった。
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