"消えた金づる夫" 第2話
最初に違を覚えたのは、妻のが増えたことだった。
以から友と買い物や事へくことはかったが、最は帰宅がらかに遅くなっていた。休にも1でかけるようになり、帰ってくると嫌が良かった。
スマートフォンも、肌さず持つようになった。
俺がくを通るだけで画面を伏せ、呂へ入るにも脱所まで持っていく。夜にメッセージが届くと、俺が寝ていることを確認してから返信している様子もあった。
最初は、疑いたくなかった。
夫婦関係がえ切っている自覚はあったが、それでも妻がそこまで骨なことをするとはいたくなかったのだ。
だが、ある休の午。
俺が予定よりく帰宅すると、玄関に見慣れない男性用の靴が置かれていた。
リビングへ入るに話し声が聞こえた。
妻と娘、そしてらない男の声だった。
俺が扉をけると、3は楽しそうにテーブルを囲んでいた。らない男は30代半くらいで、俺を見ると瞬だけ気まずそうな顔をした。
「誰だ?」
俺が尋ねると、妻は平然と答えた。
「友達。拓哉くん」
男は軽くをげた。
「どうも」
まるで、俺の方が招かれていない客のようだった。
娘も男に対して妙に親しげだった。
「拓哉くん、この言ってたさ、今度連れてってよ」
「いいよ。3でこうか」
広告
「やった」
その会話を聞いて、胸の奥にたいものが広がった。
そのから、俺は妻のを注して見るようになった。
そして数週、探偵事務所へ相談した。
自分でも驚くほど静だった。
妻を問い詰めようとはわなかった。証拠もない状態で聞いたところで、どうせ嘘をつかれるだけだと分かっていたからだ。
調査を依頼してから、結果がるまでそれほどはかからなかった。
妻と拓哉は頻繁に会っていた。
2きりで事をしている写真。
腕を組んで歩いている姿。
ホテルへ入るところ。
そして数、緒にてくる様子。
報告を受け取った、議とりは湧かなかった。
ただ、「やっぱりそうだったのか」という覚だけが残った。
もっと辛かったのは、そのだった。
探偵から追加で渡された写真のには、娘も緒に写っていた。
3で買い物をしていた。
映画館へき、レストランで事をし、まるで本当の族のように笑っていた。
妻が浮気をしているだけではなかった。
娘は、それをったで拓哉と付きっていた。
俺をで邪魔者扱いしながら、では母親の浮気相と楽しそうに過ごしていたのだ。
その夜、俺は1で自に座り、探偵の報告を何度も読み返した。
机のには、妻と拓哉がホテルへ入っていく写真が並んでいる。
広告
鳴りたいとはわなかった。
泣く気にもならなかった。
むしろ、のは驚くほど静かだった。
俺はそこで、婚を決めた。
ただ婚届を突きつけるだけではない。
これまで何も俺をづるのように扱い、ので笑い者にしてきた妻。
そして母親の浮気をりながら、緒になって俺を見してきた娘。
この2と完全に縁を切る。
そのために、俺は面で準備を始めた。
まず、婚問題に詳しい弁護士を探した。
探偵から受け取った証拠を持って相談すると、弁護士は類を確認しながら静かに頷いた。
「これだけ揃っていれば、貞為について争う余はかなりないでしょう」
俺は妻だけではなく、拓哉にも責任を取らせたいと伝えた。
弁護士は必な続きを説し、今どのようにめるべきか理してくれた。
その次に、しいまいを探した。
妻と娘が簡単に訪ねてこられないよう、現のマンションからしれた所を選んだ。1でむには分な広さがあり、通勤にも問題はなかった。
契約したのは、計画を実する約2かだった。
もちろん妻には何も言わなかった。
な類や必なものは、しずつ自分の部へ集めた。
妻と娘が気づかない程度に荷物を理し、いつでもけるようにした。
そんなで、妻は自分から決定な会を作ってくれた。
ある夜、娘と緒に旅雑誌を広げながら、楽しそうに言った。
「今度の週末、拓哉くんとハワイ旅にってくるから」
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
吹雪の一杯
夫が遺した山あいの温泉旅館「灯里館」を、一人で守り続けてきた70歳の富美子。 しかし返済期限まで残り三ヶ月。1500万円の借金を抱え、親族や開発会社からは「もう旅館を売れ」と迫られていた。 そんなある吹雪の夜、富美子は雪の中で倒れていた一人の外国人男性を助ける。凍えた彼に差し出したのは、囲炉裏の火と、いつもの味噌汁だった。 ただの親切のはずだった。 だが、その外国人が残した映像をきっかけに、灯里館には世界中から予約が殺到する。さらに、旅館を買い取ろうとする開発会社が本当に狙っていたもの、そして亡き夫が密かに守ろうとしていた“山の秘密”が少しずつ明らかになっていく。 夫は本当に旅館を売ろうとしていたのか。 なぜ死後の日付で、夫の署名が残されていたのか。 消えかけた囲炉裏の火が、富美子の人生をもう一度動かし始める――。因果応報|人生逆転1.9萬字5 10 -
完結第12話
アクセル細工の報い
深夜1時、森雪穂のスマホに届いた防犯カメラの通知。 ガレージの映像に映っていたのは、夫・翔太だった。彼は周囲を気にしながら、雪穂が祖父から受け継いだ大切な車に何かをしていた。 翌朝、翔太は不自然なほど雪穂を車で外出させようとする。だが雪穂は知らないふりをしたまま、車には乗らなかった。 そんな時、突然やって来た義両親が「今日だけ車を貸してほしい」と言い出す。見栄のために雪穂の車を借りようとする2人を、なぜか翔太だけが必死に止め始めた。 「待ってくれ。その車はやめろ」 昨夜、夫は車に何をしたのか。 そして、義両親がその車に乗った瞬間、翔太の隠していた本性が静かに崩れ始める――。因果応報|夫婦1.8萬字5 1971 -
完結第12話
凍った再婚式
36年間連れ添った夫の鞄から、妻・佳子が見つけたのは、見知らぬ女性との結婚招待状だった。 しかも日付は3月14日。会場は京都・祇園の高級旅館。招待客は約100人。夫はまだ離婚も成立していない妻を残したまま、別の女性との“再婚式”を準備していた。 だが佳子は泣かなかった。問い詰めることもなく、招待状を写真に収め、静かに元の場所へ戻した。 夫婦の共有口座から消えていた金。京都に隠されていた3800万円のマンション。退職予定の夫に支払われる2500万円の退職金。そして、妻を財産から外そうとする遺言。 36年間、夫の予定も家計も管理してきた佳子は、すでにすべてを記録していた。 そして迎えた再婚式当日。 祝福に包まれるはずだった会場へ、一通の呼出状が届けられる。 夫が新しい人生を始めるはずだったその日、明るみに出たのは、誰にも知られたくなかった嘘と隠し財産だった――。因果応報|不倫1.7萬字5 435 -
完結第12話
泥まみれの客と黒塗り5台
土砂降りの夜、タクシー運転手の佐藤美咲は、泥だらけで道端に立ち尽くす1人の老人を見つけた。 他のタクシーは、車が汚れることを嫌って次々と通り過ぎていく。中には、老人をあざ笑い、泥水まで浴びせて走り去る運転手もいた。 月末までにノルマを達成できなければクビ。幼い娘の手術を控え、仕事を失うわけにはいかない美咲も、一瞬だけ迷った。 それでも彼女は車を止める。 「シートなんて洗えばいいんです」 そう言って老人を乗せ、傘を差し、温かい缶コーヒーを手渡した。 しかし翌朝、美咲を待っていたのは、汚された車両と突然の解雇通告だった。 泣き崩れる彼女の前に、5台の黒塗りの車が営業所へ現れる。 昨日の泥だらけの老人は、いったい何者だったのか。 たった1本の缶コーヒーが、彼女の人生を大きく変えていく――。因果応報|人生逆転1.8萬字5 1286 -
完結第12話
200円の家族
23歳の大学生・高橋翔太は、感情を捨てたように生きていた。 友人の誘いも断り、食事も会話もすべてを「合理的かどうか」で判断する日々。そんな彼が、ある日ファミレスで会計できずに困っている母子と出会う。 所持金は300円。小さな娘を連れた母親は、夫に貯金を持ち逃げされ、住む場所さえ失っていた。 翔太は不足分の200円を支払い、さらに母子を自分の部屋へ連れて帰る。最初はただの合理的な判断。そのはずだった。 しかし、温かい手料理、少女の「ありがとう」、そして夜中に聞こえた小さな泣き声が、5年間閉ざしていた翔太の心を少しずつ揺らしていく。 なぜ彼は笑わなくなったのか。 なぜ「感情は判断を誤らせる」と言い続けるのか。 助けたはずの母子との出会いは、やがて翔太自身が封じ込めてきた過去を呼び覚ましていく――。因果応報|人生逆転1.9萬字5 681 -
完結第13話
止まったカードと空の家
夫の正文が「会社の旅行」と言って家を出た朝、私はすべてを知っていた。 行き先で待っているのは会社の同僚ではなく、高校時代からの親友・美津。しかも夫は、私名義のクレジットカードを勝手に使い、親友との食事や買い物にまで手を出していた。 泣いて問い詰めることはしなかった。証拠はすでにそろっている。娘も、父親の異変に気づいていた。 「引っ越すよ」 夫が浮気旅行を楽しんでいる間に、私は娘と新しい家へ向かった。そして夫のカードを止め、彼の荷物を“ある場所”へ送りつける。 旅行先で支払いができなくなった夫。荷物を受け取った親友の家。そして、空っぽの部屋へ戻ることになる裏切り者。 夫と親友を同時に失った私が、娘と本当の人生を取り戻すまでの物語。夫婦|親子関係|不倫1.9萬字5 4740 -
完結第13話
16回の拒否
62歳の黒田正は、退職後に始めた一眼レフを手に、地域のハイキングサークルへ参加していた。 「嫌がる人ほど、綺麗に撮ってあげたいんですよ」 そう笑う黒田は、自分の写真が人を喜ばせるものだと信じていた。けれど参加者の高橋みさ子は、何度もはっきり伝えていた。 「SNSには載せないでください」 名前を出さなければいい。綺麗に撮れていれば問題ない。サークル内だけなら大丈夫――黒田はそう考え、みさ子の拒否を自分に都合よく解釈し続ける。 やがて、本人の知らないうちに撮られた写真はSNSへ投稿され、サークルの外にまで広がっていく。 削除しても、もう消えなかったもの。 そして次の集合場所で、みさ子は静かに告げた。 「私は、同じことを16回言いました」 写真の出来ではない。善意かどうかでもない。 「やめてください」という一言を、本当に聞けなかった男が失ったものとは――。人生逆転|修羅場2.0萬字5 108 -
完結第8話
白タク墓参り
夫の命日、私は嫁と孫を連れて墓参りへ向かった。 帰り道、見知らぬ白いタクシーの運転手は、嫁と孫を墓地に残したまま、私だけを乗せて急発進する。 「お客さん、気づいてないの?」 そう言った運転手は、嫁が私の命を狙っていると告げた。けれど、話を聞くうちに私は小さな違和感を覚える。 なぜこの男は、孫の名前を知っているのか。 なぜ嫁の悪口を言いながら、何度も家の名義や権利書の話へ戻るのか。 逃げ場のない車内で、私は亡き夫の言葉を思い出す。 「困った時ほど慌てるな」 鞄の底に入れた携帯電話、孫が書き写した車の番号、そして嫁だけが気づいた不自然な話し方。 離れ離れになった家族が残した小さな手がかりが、やがて1本につながっていく――。因果応報|夫婦|修羅場1.2萬字5 1144 -
完結第13話
消えた御曹司と500万の罠
高卒で、施設育ちで、ただの運転手。 橋本悠人は、恋人からそう見下され、父親になる資格さえ否定された。自分の過去も家族も分からない彼に残っていたのは、ただ真面目に働くことだけだった。 そんなある日、財閥会長・田中健造の専属運転手を任された悠人は、車内でかかってきた海外からの緊急電話に、とっさにスペイン語で応対してしまう。 習った覚えのない言葉。 なぜか知っていた金庫の暗証番号。 初対面のはずなのに、彼を見て泣き崩れた会長夫人。 20年前に失われた会長の息子と、記憶を失った運転手。 偶然にしては重なりすぎる謎の先で、悠人は自分が本当は誰なのかを知っていく。 しかし、その真実を誰よりも恐れる人物が、彼を静かに消そうとしていた――。人生逆転|第二の人生1.9萬字5 330