"消えた金づる夫" 第4話
俺は最に部を見回し、鍵を持ってへた。
妻と娘が今頃、拓哉と緒に空港で笑っているのか、それとももうのにいるのかは分からない。
どちらでもよかった。
帰国した、この部にはもう何もない。
その事実をった2がどんな顔をするのか。
像すると、い忘れていた笑いが込みげてきた。
だが、これで終わりではなかった。
むしろ、ここからが本番だった。
居へ荷物を運び終えると、俺はすぐに弁護士へ連絡した。
「妻たちは今、へました」
話の向こうで弁護士が確認する。
「予定通りですね」
「ああ。本格にめてください」
俺は以から、婚のを確に伝えていた。
弁護士には探偵の調査報告も渡してある。妻と拓哉の関係について、や所を含めた記録は揃っていた。
妻だけではない。
拓哉の素性についても、探偵は調べていた。
氏名。
齢。
んでいる所。
勤務先。
族構成。
必な範囲の報は、すでに弁護士へ共してある。
俺はに任せて相の会社へ乗り込んだり、族へ言いふらしたりするつもりはなかった。
それをすれば自分が利になる能性がある。
あくまで法律に従って、妻と拓哉の両方に責任を取らせる。
その方針は最初から変わっていなかった。
方、んでいたマンションについても、管理会社とは事に話をめていた。
広告
そこは賃貸物件だった。
妻は「私たちの」と言っていたが、所しているわけではない。
契約関係を理し、俺が退するための続きをめた。
俺が居へ移った、妻たちがそのまま当然のように戻って暮らし続けられる状態にはしなかった。
妻と娘の私物については、くのレンタル倉庫へ移してある。
倉庫の鍵は、妻の実へ送る配をした。
帰国、必なら自分で取りにけばいい。
妻の両親には、すでに事を説してあった。
最初に話をした、義父はしばらく無言だった。
「本当に、あいつがそんなことを?」
俺は探偵から受け取った報の部を、必な範囲で伝えた。
娘まで妻と浮気相の関係をっており、3で何度もかけていること。
そして今度、3でハワイへ旅すること。
義母は話の向こうで泣いていた。
義父はい声で言った。
「敏文君、申し訳ない」
俺は謝ってほしいわけではなかった。
「お義父さんたちの責任ではありません。ただ、今そちらへく能性があるとったので、先に伝えておきたかったんです」
義父はく答えた。
「分かった」
そこまで準備してから、俺は居のベッドへ横になった。
計を見ると、もう夜だった。
議なことに、そのは何かぶりにく眠れた。
誰かが廊を歩く音を気にする必もない。
広告
妻が帰宅してため息をつくこともない。
娘が俺を見て嫌そうな顔をすることもない。
翌朝、目を覚ました。
部は静かだった。
俺は井を見げながら、自分が本当に1になったことを実した。
寂しいとうかもしれないと覚悟していた。
だが実際には違った。
ただ、楽だった。
朝をべ、会社へき、仕事をして帰る。
誰かの嫌を取る必もなく、自分が使ったものだけ片づければいい。
それまで庭で消耗していたが、急に自分のものになったようにじた。
ハワイへっている妻からは、連絡がなかった。
当然だろう。
俺が旅当の朝に言ったことなど、本気にしていない。
「永に帰ってこなくていい」
あの言葉も、嫉妬した夫の負け惜しみだとっているはずだった。
娘も同じだろう。
俺がをるなど、考えもしない。
なぜなら2にとって、俺はどれだけ馬鹿にしても必ずにいて、働いてを持ってくるだったからだ。
俺自が、その関係を許してきた。
だからこそ、最まで気づかなかった。
数。
仕事を終え、居で夕を取っていただった。
テーブルのに置いていたスマートフォンが激しく震えた。
画面に表示された名を見て、俺は箸を置いた。
妻だった。
いよいよ帰ってきたらしい。
俺は数回鳴るのを待ってから、ゆっくり通話ボタンを押した。
「もしもし」
次の瞬、妻の鳴り声がにび込んできた。
広告
おすすめ作品
-
完結第14話
私の退職金を奪った家族に、私は何も言わず家を出た
妊娠中の麻衣が13年間勤めた会社を退職すると、夫の竜太は退職金420万円を無断で義母の口座へ送金した。「嫁の金は家のために使うもの」と言う義母。返金を求めた麻衣に、夫は「文句があるなら出ていけ」と告げる。 麻衣は実家へ戻り、保存していた送金記録を持って弁護士に相談する。返還を求められた義母は「預かっただけ」と主張するが、自ら提出した口座明細には、夫の奨学金を返すために動かした60万円の記録が残っていた。 420万円を取り戻しても、麻衣は壊れた信頼まで元に戻ったとは思えなかった。離婚後、娘を産み、かつての職場へ復帰する。誰に許可を求めることもなく、自分で稼いだお金の使い道を、自分の手帳に書き込んでいく。嫁姑|夫婦|金銭問題2.2万字5 287 -
完結第15話
妊娠中の娘が逃げ帰った夜、大富豪の母が動いた
妊娠8か月の娘・はるかが、顔に傷を負い、母エリコの家へ逃げ帰ってきた。病院では新しい肋骨の骨折に加え、以前の骨折痕も見つかる。夫・匠による暴力は、一度きりではなかった。 匠は巨大企業グループの創業家の一員。だがエリコはその地位にひるまず、娘の安全を確保し、診断書を残す。同時に信頼する会計士へ調査を頼むと、匠一家が関わる財団に巨額の不正な資金移動の疑いが浮かび上がった。 報道を受けても疑惑を否定し続けた匠は、緊急会見の最中、はるかへの傷害容疑で逮捕される。さらにグループの資金問題にも捜査が及び、権力を盾にしてきた一族は追い詰められていく。 母の行動が事態を動かす一方、すべての始まりにあったのは、はるかが自分とお腹の子を守るため、あの家から逃げ出した決断だった。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.3万字5 1010 -
完結第13話
黒い着物の誓い
「お前んち、ヤクザだっけ?w なら今すぐ呼んでみろよ」 同窓会の席で、私は昔のいじめ加害者に笑われました。 祖母の形見の黒い着物を見て、 「極道の真似事かよ」 そう言った男は、私の胸元に酒を浴びせたのです。 周囲は笑っていました。 10年前、教室で机に落書きをされた時と同じように。 私は怒りを抑え、ただ1本の電話をかけました。 「5分で来てください」 すると―― ホテルの前に現れたのは、30台の黒塗り高級車。 そして、誰もが知るはずのない私の本当の立場を前に、笑っていた同級生たちは凍りつきました。 しかし、そこで終わりではありませんでした。 床に這いつくばって謝罪する男の背後には、 母親が隠していた「400万円の借金」と、10年前の雨の日に繋がる秘密があったのです。 なぜ私は、私を傷つけた相手を救うことになったのか。 そして、あの日の1万円が、10年後に大きな運命の変化を起こすことになるとは――人生逆転|怒り|真実|修羅場1.9万字5 349 -
完結第15話
300億円の恩返し
結婚式当日、白いタキシードを着て新婦を待っていた琢磨に告げられたのは、「結婚は最初からドッキリだった」という言葉。銀行の創業家である新婦の家族は、彼を笑い者にし、その様子まで動画に撮っていた。 駆けつけた妹の未令は、兄を見下す銀行一家の前で財務担当者に電話をかける。彼女は世界各地で事業を営む企業グループの創業者で、その銀行には約300億円を預けていた。無名だった未令の夢を信じ、借入れの保証人になったのも琢磨だった。人生逆転|兄弟姉妹|真相|修羅場2.2万字5 498 -
完結第14話
薬を忘れて戻ると、「歩けない」夫が立っていた
腰の手術後、「一人では歩けない」と訴える夫・健太を介護し、毎週末義実家まで送り続けていた佐織。ところが薬を届けるため引き返すと、健太は電話で「嫁は帰った」と告げ、車椅子から何事もなかったように立ち上がった。 夫を尾行した佐織が目にしたのは、金融業者が入る雑居ビルへ元気に歩いて入る姿だった。病院で確認すると、健太は3週間前から自由歩行を許可されており、痛みを誇張して休職を延長していたことも判明する。 さらに健太は450万円の連帯保証債務を抱え、借金返済のため、休職中に会社の機密情報流出へ関わっていた。義母も息子が歩ける事実を隠し、佐織を無給の介護役兼運転手として利用していたのだ。 佐織は夫を庇わず、記録と証拠を会社や弁護士へ提出し、離婚と財産保全の手続きを進める。嘘の車椅子から立ち上がった夫が社会的信用を失う一方、佐織が誰かを背負う生活を終え、自分の足で新しい人生を歩き始める再生物語。夫婦|介護|金銭問題|不倫2.1万字5 356 -
完結第15話
時給951円と捨てられた妻の正体
「時給951円の役立たずが、年収2000万円の俺に寄生するな」――夫は私の荷物をゴミ袋に詰め、玄関の外へ放り出した。 しかも愛人との写真を見せつけ、「離婚だ。俺がいなきゃ明日の飯にも困るだろ」と笑った。 私は渡された離婚届を受け取り、「ありがとう。今すぐ出ていくね」とだけ答えた。 夫は最後まで、私が負け惜しみを言っていると思っていた。 翌朝、私はそのまま離婚届を提出し、一本の電話をかけた。 その数時間後、夫は会社の懲罰委員会へ呼び出され、自分を守っていた“ある人物”の正体を初めて知らされる。 さらに愛人は消え、マンションまで退去を求められ、昨日まで自慢していた年収2000万円も一日で消えた。 それから1か月後、300件を超える着信の末、夫は私の会社まで押しかけて大理石の床に額をつけた。 「頼む、もう一度俺を養ってくれ」――私がその男の前に最後の書類を落とした瞬間、本当の反撃が完成した。(続)怒り|夫婦|退職金|金銭問題2.2万字5 882 -
完結第12話
入学式の日、愛人を選んだ夫への「お祝い」
娘・美香の入学式当日、夫・健吾は姿を見せなかった。電話をかけると、「愛人と離婚届を出しに来ている」と笑いながら告げ、妻子を捨てて新生活を始めると宣言する。 泣きそうになるカナからスマートフォンを受け取った義母・富美子は、取り乱すどころか静かに微笑んだ。「本当におめでたい日ね。盛大にお祝いしなくちゃ」。その夜、帰宅した健吾を待っていたのは、白いリボンが掛けられた巨大なケーキだった。 しかしケーキの中には、健吾が大切にしていた高級時計や愛人との品々が隠されていた。自らそれらを切り刻んだ健吾へ、富美子は不倫と会社経費の私的流用を示す証拠を突きつけ、カナは離婚条件を記した書類を差し出す。 娘の晴れの日に家族を裏切った男がすべてを失う一方、血のつながらない嫁と孫を守り抜いた義母。三世代の女性が本当の家族として、新しい幸福を築いていく痛快な逆転物語。夫婦|親子関係1.8万字5 1039 -
完結第12話
夜勤明け、鍵を替えられた私の静かな反撃
30時間の夜勤を終えて帰宅した看護師・南を待っていたのは、義母によって交換された玄関の鍵だった。「反省したら土下座しに来なさい」という連絡に、南は「そうですか。では、さようなら」とだけ返信する。 だが、義母と無職の夫は知らなかった。その高級マンションは、南の勤務先が契約する借り上げ社宅であり、家賃も生活費もすべて南の収入で支えられていたのだ。 南は騒がず、締め出しを自白したSNS投稿を保存。社宅の退去手続き、電気・水道・ガスの解約、弁護士への離婚依頼を淡々と進める。月曜日の午後5時、部屋の明かりが消え、管理会社と警察が玄関に現れた。 自分を家政婦のように扱った家族との関係を断ち切り、誇りある仕事と人生を取り戻す女性の、静かで痛快な逆転物語。因果応報|人生逆転|嫁姑|親子関係1.9万字5 4818 -
完結第11話
元警察官の父が娘に渡した一枚の封筒
久しぶりに会った娘・香織の頬に痣を見つけた元警察官の父・誠一。夫の話になると目をそらす娘に、父は勤務先の住所だけを尋ね、それ以上追及しなかった。 一か月後、再び夫に突き飛ばされた香織へ、父は一通の封筒を渡す。中にあったのは夫の秘密ではなく、香織が「大したことではない」と消してきた異変を、日付順に記した一枚の紙だった。 繰り返される暴力と謝罪の連鎖を認めた香織は、初めて「今日は帰らない」と自分で決断する。父は夫を裁くことも、離婚を命じることもせず、娘が自ら選べる安全な場所だけを守り続けた。 これは、父の静かな愛に支えられた女性が、自分の恐怖を否定するのをやめ、失っていた人生と平穏を取り戻していく再生の物語。夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 684