"消えた金づる夫" 第9話
妻はその分も使っていた。
そしてまた、「もうし欲しい」と言っていたに違いない。
俺がどれだけ稼ぐかが問題だったのではない。
俺のを自分のものとしか考えていなかったことが問題だった。
ある、弁護士から最の確認の連絡が入った。
妻側とのきな続きはほとんど終わったという。
拓哉への対応もんでいた。
俺は話を切った、机の引きしから探偵の報告を取りした。
もう見る必はない。
それでも、捨てる気にはなれなかった。
妻と拓哉が並んで歩く写真。
娘を含めた3が楽しそうにしている写真。
初めて見たは、胸の奥がたくなった。
今見ると、議なほどい来事にじた。
あの、証拠を見つけなければどうなっていただろう。
妻は浮気を続けた。
娘は俺を馬鹿にし続けた。
俺は族のためだといながら働き、へ帰れば邪魔者扱いされる。
何かには、もっとく傷ついていたかもしれない。
そう考えると、あのハワイ旅は最のきっかけだった。
妻と娘は楽しむためにていった。
俺は、そのを使ってを取り戻した。
旅当の朝。
娘に言われた言葉も忘れていない。
「マジで消えてくれないかな」
俺は実際に、2のから消えた。
ただし、そのものから消えたわけではない。
2に支配される活から消えただけだ。
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俺はしい所で働き、暮らしている。
以よりずっと静かに。
そして以より、自分のをきている。
方で妻は、浮気相にも見捨てられ、実からも以のような助けを得られず、自分で活をて直さなければならなくなった。
娘もまた、母親の選択によってきく環境を変えることになった。
俺が望んでいたのは、2が幸になることそのものではなかった。
俺が望んだのは、俺を踏みつけたまま何も失わず、今まで通り暮らしていくことを終わらせることだった。
それができただけで分だった。
それからさらにが過ぎた。
妻からの連絡は、しずつ減っていった。
最初の頃は何度も話やメッセージが来た。
謝罪。
み言。
活の相談。
には「もう度やり直せないか」という内容もあった。
しかし俺は、必な話以には応じなかった。
度壊れた信頼を戻す気はなかった。
何より、妻の「やり直したい」という言葉を聞くたび、あの旅当の朝をいした。
俺が「今でさようならだ」と言った。
妻は笑った。
「何それ、負け惜しみ。けない」
本気で、俺が自分たちかられることなどできないとっていた。
自分が何をしても。
俺をどれだけ見しても。
浮気相と旅へっても。
俺はに残り、働き続ける。
そう信じていた。
娘も同じだった。
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「消えてくれないかな」
あの言が、最の背を押した。
もちろん、娘との関係については妻との婚ほど単純ではなかった。
血のつながった子供であることは変わらない。
さかった頃の記憶まで消えるわけではない。
それでも、何もなかったように元へ戻ることもできなかった。
娘から話が来たある。
以より落ち着いた声で言われた。
「お父さん、本当にごめんなさい」
俺はしばらく黙っていた。
「お母さんがやってること、悪いって分かってた。でも拓哉くんが々買ってくれたり、遊びに連れてってくれたりして、楽しかった」
俺はただ聞いた。
「だから、お父さんのこと悪く言うお母さんにわせてた」
「そうか」
「あんなこと言うつもりじゃなかった」
「でも言った」
娘は黙った。
「言ったことは消せない」
「うん」
「俺も全部忘れることはできない」
話の向こうで、娘が泣いていた。
俺は以のように突き放す言葉は言わなかった。
ただ、今すぐ何もかも元に戻すことはできないと伝えた。
「が必だ」
「分かった」
それだけだった。
妻とは違い、娘との関係が今どうなるのかは俺にも分からない。
だが、なくとも以のように俺だけがし、何をされても許す関係へ戻るつもりはなかった。
ある休。
俺は久しぶりに、以んでいた域のくを通った。
わざわざ見にったわけではない。
仕事の用事でくまで来ただけだった。
くから、かつてんでいたマンションが見えた。
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