"嘘を握った右手" 第12話
『俺ははいらない』
えり子が泣いている。
『夫にだけは言わないでください』
『と別れろ。それから、もう嘘をつくな』
『約束したら黙っててくれるんですか』
『これが最だ』
脅迫。
銭求。
えり子の主張とは違っていた。
健にも責任はあった。
既婚者であるえり子との関係を続けた。
りに任せ、を殴った。
証拠を使ってえり子を支配しようとした面も否定できない。
だが、を求してはいなかった。
夫へ無条件で暴するつもりだったわけでもなかった。
彼が求めたのは、
「もう嘘をつくな」
ということだった。
方で。
えり子とは、事件からわさび畑のを計算していた。
の部から見つかった帳。
予収穫量。
販売価格。
代。
運送費。
最終利益。
『1億8000万円』
事件の1週。
えり子は薬業者へ話し、
「借が急に契約をやめた、畑の作物は主が販売できるか」
と尋ねている。
健がぬから。
健がいない未来を考えていた。
11。
佐藤えり子と伊藤の裁判が始まった。
法廷には遺族。
記者。
の民。
田美紀は黒いで傍聴席最列へ座った。
事件からわずかな期で、髪にいものが増えていた。
えり子は黒いスーツ。
は俯いたまま入廷した。
2は度も目をわせなかった。
検察は事件を、偶発な争いではなく事準備のある共同犯だと主張した。
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偽の契約。
呼びし。
乾燥倉庫。
ロープ。
袋。
ビニールシート。
を隠す。
被害者から証拠の所を聞きす。
にわたる暴。
そのの隠蔽。
さらに、所持品をに持たせることで単独犯に見せようとした。
法廷で、健の最の通話録音が再された。
『俺ははいらない』
んだ兄の声が流れた瞬。
美紀は両でを覆った。
堪えていた涙が落ちた。
『と別れろ。もう嘘をつくな』
えり子はだけを見ていた。
は目を閉じていた。
裁判がむにつれ、2は責任を押しつけった。
。
「脅すだけだとっていました。殺すことを決めたのは佐藤えり子です」
検察。
「あなたは被害者を縛り、暴し、首を圧迫し、遺体を運びました。途で警察へ通報する会は何度もありました」
えり子。
「伊藤が暴力を始めました。私は怖くて止められませんでした」
しかし裁判所は、犯のを見た。
健を呼んだ者。
偽契約を準備した者。
倉庫を選んだ者。
ロープや袋を買った者。
被害者がまだいていることを確認した者。
証拠を消し。
所持品をへ渡し。
責任を1に押しつけようとした者。
2015218。
判決の。
裁判はい判決文を読みげた。
「被告佐藤えり子は、自の貞関係と財産の利益、社会を守るため、被害者を計画に呼びした」
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えり子はかなかった。
「被害者が苦痛を受けている、犯を止する会がありながら、むしろ共犯者へ継続を促した」
傍聴席は静まり返る。
「犯も証拠隠滅をい、共犯者に責任を転嫁しようとした事を考慮すれば、刑事責任は極めてである」
判決。
佐藤えり子。
刑。
法廷にいざわめきが広がった。
えり子は瞬だけ目を閉じた。
泣かなかった。
伊藤。
無期懲役。
は両で顔を覆った。
退廷する直。
彼はえり子へ叫んだ。
「おが全部やらせたんだろ!」
えり子は振り返らなかった。
最まで、を見ることはなかった。
事件。
えり子の夫はと建物を処分した。
婚続きを済ませ、族と共にをれた。
乾燥倉庫は2に取り壊された。
健が育てたわさび畑は、契約と所権をめぐる問題でく放置された。
設備が止まる。
遮幕が破れる。
何もかけて育てた株の半が枯れていった。
田美紀は警察の許を得て、畑からさなわさびの根を1本だけ持ち帰った。
兄が失踪する、自分で印をつけていた区画。
そので残っていたものだった。
美紀は兄の墓の隣へ植えた。
最初の数か。
何もなかった。
枯れたのだとった。
それでも掘り返さなかった。
翌の。
墓参りへった美紀は、を止めた。
黒いの。
さな緑の芽。
わずか1つ。
面を押しげていた。
美紀はそのへしゃがんだ。
い。
何も言わずに見ていた。
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