"吹雪の一杯" 第6話
「どうして毎、をつけますか?」
富美子はし考えた。
「習慣です」
「それだけ?」
「……誰も来ないでも」
言葉を探す。
「もし誰かが急に来た、がついてた方がいいでしょう。寒い玄関より、その方がいいから」
トーマスはしばらく何も言わなかった。
やがて、静かにカメラをろした。
「Thank you」
発。
トーマスは、あの夜に掛けてもらった半纏をきれいに畳み、両で富美子へ返した。
「これ、僕を助けた」
「古い半纏ですよ」
「だから、いい」
玄関をる、度振り返った。
「この、消さないでください」
富美子は笑った。
「薪代を払ってくれるならね」
トーマスも笑った。
真帆もそのの午、をりることになった。
「自治体で公資料を確認してきます。あとは、周辺のの取引事例も」
「そこまでしてもらわなくても」
「私が気になるんです」
「どうして?」
真帆は、柱の傷へ目を向けた。
「しだけ、昔の借りを返したくて」
そのを富美子が尋ねるに、真帆はをげた。
がいなくなると、灯里館はまた静かになった。
けれど、その静けさは以とは違ってじられた。
数までは、誰もいないことに慣れていた。それなのに、トーマスと真帆がいたをってしまったせいで、囲炉裏のまでさく見えた。
富美子は帳で、辰リゾートの買い取り提案をもう度いた。
1780万円。
いのかいのか。
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自分には分からない。
だが。
の焦り。
源泉への質問。
閉鎖林の作業。
どれも、の片隅に引っかかった。
その。
提案の最のページにある、さな文字へ初めて目が止まった。
《本提示は、隣接取得を提とする》
隣接。
裏。
富美子が夫から聞かされたことのないの話。
数。
真帆から本の話が入る。
その声は。
宿にいたより、らかにかった。
「女将さん」
「どうしました?」
「ご主の名がてきました」
「お父さんの?」
「はい」
話の向こうでをめくる音がした。
「ただし、付がおかしいんです」
富美子の胸がざわついた。
「何が?」
真帆は数秒黙ったあと、ゆっくり言った。
「ご主がくなったヶに、ご主自が利用へ同したことになっています」
真帆が再び灯里館へ来たのは、その翌だった。
持ってきたのは、自治体へ事相談資料として提されていた《利用に関する同確認》のコピーだった。対象には灯里館と、その裏側にある林の部が含まれている。
同者。
隆。
署名もある。
見慣れた実印の印もある。
しかし。
付は、隆がくなってからヶだった。
「これ、本物じゃないわ」
富美子は言った。
「なくとも付どおりに、ご主が署名したものではありません」
真帆は慎に答えた。
コピーしか確認できていない。
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昔の類から署名や印を転用したのか、単純な資料理の誤りなのか、それとも別の事があるのか。現段階では、まだ断定できないという。
「でも、こんなことある?」
「普通はありません」
富美子は類を何度も見た。
隆がくなったあと、実印はすぐに廃止の続きをしている。では誰が、この印を持っていたのか。
。
の登記を扱った。
事会社。
親族。
考えれば、過の契約に実印が残っている所はいくつもある。
「自治体側も確認を始めるそうです」
「さんはってるとう?」
「分かりません。営業担当に全部らせる会社ばかりではないですから」
真帆は、最初からだけを悪と決めつけてはいなかった。その静さが、富美子にはしだった。
そんな話をしている最。
帳の話が鳴った。
「はい、灯里館です」
「Hello?」
聞き取れない英語。
富美子は戸惑った。
何とか名らしきものを聞き取り、真帆へ受話器を渡した。数分話したあと、真帆が話を切る。
「イギリスから予約の問いわせです」
「イギリス?」
その直。
また話が鳴った。
今度は台湾。
さらにメールが件。
件。
件。
パソコンをく。
予約フォームに14件。
更する。
31件。
さらに更。
58件。
「何が起きてるの?」
真帆はスマートフォンを確認した。
そして。
わず笑った。
「トーマスさんです」
「あの?」
「あの夜の映像を公してます」
画をく。
タイトルは英語だったが、本語字幕がついていた。
吹の夜。
灯里館のかり。
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